Sansan Tech Blog

Sansanのものづくりを支えるメンバーの技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信

【ML Tech RPT. 】第16回 構造に関連する機械学習を学ぶ (2) ~系列ラベリング~

f:id:ssatsuki040508:20181210005017p:plain
DSOC研究員の吉村です. 昨今の情勢により, 外食をすることが難しくなり, 私も自炊をするようにしました. 折角自炊をするのでスキルを高めたいと思い, 最近はオムレツを綺麗に焼く練習ばかりしています. その結果, 一日にかなりの数の卵を食べてしまっているので, 非常に不安です.

さて, 今回は前回始まった構造に関する機械学習の話題の詳細に入っていきます. 構造に関する話題の2回目である今回は, 系列 (series, sequential) を扱う機械学習について書いていきます.

系列データと言うとざっと次の二つが思い浮かぶかと思います. 一つが自然言語文 (natural language text) で, もう一つが時系列データ (time series data) です. これらは概ね前者を系列データに関連する分類問題の枠組みの問題設定, 後者を系列データに関連する回帰の枠組みの問題設定と捉えることができます. 今回は, 前者の系列データに関連する分類問題 (特に, 系列ラベリング)の方を中心に見ていきます.

続きを読む

プロジェクトの成否を決める非機能要件を定義するには

こんにちは、Sansanプロダクト開発部 プロダクトグループの清水です。 直近で非機能要件の定義について頭を悩ませられる事もあったので、改めて非機能要件の定義について記事にしてみました。

非機能要件とは?

ビジネス目的を果たす事に成功するソフトウェアには、どのように振舞うかという機能以外にも重要な要素があります。 いわゆる非機能要件とよばれるものです。非機能要件が満たされない場合、機能的には十分だったとしても結果としてソフトウェアがビジネス目的に対して良い成果をもたらせない事になるケースがあります。

例えば、機能要件としてユーザ一覧を表示させる画面を持つWebシステムがあったとします。たとえユーザ一覧を表示できたとしてもレスポンスが極端に遅かったり、何回か表示させるとエラーが返ってくるなど期待する品質が満たせてなかったりすると、ユーザにとってはWebシステムを利用する事に非常にストレスがかかり、結局利用されなくなってしまうなどの事態を引き起こしてしまいます。このような事態を避けるためにソフトウェアの振る舞い以外に期待されるソフトウェアの品質属性 (Quality Attributes) *1を決定する事が非機能要件の殆どを占めます。非機能要件は設計やアーキテクチャに大きな影響を与える可能性が高いので、プロジェクトの後半で追加する事になると大きなコストを払う事になります。

*1:品質特性と呼ばれる事もある

続きを読む

【つながりに効く、ネットワーク研究小話】vol.14 もう一つの「社会的距離」

f:id:sansan_maejima:20191220100905p:plain

Sansan DSOC研究員の前嶋です。「つながりに効く、ネットワーク研究小話」の第14回です。本来は今頃、夏鳥を観察しに戸隠高原に遠征する予定だったのですが、新型コロナウイルス禍の中で、自宅待機を余儀なくされています。

ソーシャル・ディスタンシング

このような先行きの見えない状況の中、バズワードになっているのが「社会的距離」です。「社会的距離(戦略)」とは、「ソーシャル・ディスタンシング」とも呼ばれ、ウイルスの感染を防ぐために、他者との距離を一定程度確保することを指します。最近では、スーパーのレジ待機列に、前の人との距離の目安となるようなテープが貼られることも増えてきました。

社会学を専攻している私は、この言葉をテレビのニュース番組で初めて耳にした時、虚を突かれました。なぜなら、「社会的距離」は社会学の中で、とりわけ社会ネットワーク研究に近い領域で伝統的に用いられてきた用語だからです。

続きを読む

B2BマルチテナントSaaSの認証にAuth0を使うときに知っておきたかったこと

こんにちは、新規事業開発室の加藤です。私たちのチームでは新規事業のプロダクトとしてB2BのマルチテナントSaaSを開発しており、その認証にAuth0を使っています。今回Auth0を初めて使用する中で試行錯誤することが多かったので、最初から知っておきたかったことをまとめておきます。

Auth0とは

Auth0はIdentity as a Service (IDaaS) と呼ばれる認証をサービスとして提供するSaaSです。シンプルなID・パスワードによるログインや、Google・Facebookアカウントなどのいわゆるソーシャルログインだけでなく、エンタープライズ向けのG SuiteやAzure AD、SAMLなどのシングルサインオン (SSO) に幅広く対応しているのが特徴です。

なお、Auth0は自社の従業員のID管理にも利用できますが、本稿ではあくまでプロダクト開発者目線で、プロダクトのエンドユーザーの認証を目的として利用しています。また、エンタープライズ向けのSSOに対応しているDeveloper Pro以上のプランを前提としています。

続きを読む

【Geek Seek Toolsで買われた、気になるモノ達】第11回「Logicool G304(無線ゲーミングマウス)」

f:id:hartmann3555:20200417170324j:plain

はじめに

こんにちは。DSOC Data Direction Group でデータエンジニアをしている千葉祐大です。

直近半年で新居を購入し絶賛建築中だったのですが、予定どおり引っ越しはできそうなものの、新型コロナの影響で工期自体は伸びて周りの足場が外せないらしく、結果、ネットの工事ができずに生殺し状態になるのではないかとヒヤヒヤしているここ最近です。

さて、この連載は弊社の社内制度である Geek Seek Tools *1で購入されたガジェットの中から、僕がイケてると感じたものを気の赴くままに紹介していく連載となっています。

今回は、ちょうど在宅勤務を見越して制度の残額を使って購入した、G304 LIGHTSPEEDワイヤレス ゲーミング マウス を紹介したいと思います。

数年ぶりにマウスを購入

ここ数年は仕事でもプライベートでもほぼ Mac しか使っておらず、OS の親和性もありずっとトラックパッドのみを使い続けてきました。
ですが、ちょうどタイミング悪く自宅で使っていた Magic Trackpad*2 のボタンが故障してしまったので、これを期にマウスを買ってみることにしました。

*1:生産性向上に資するガジェット・デバイスその他が購入しやすくなる制度。Geek Seek Tools の詳しい説明については第1回をご覧ください。

*2:旧式の単三電池2本で駆動するタイプ。最新機種とは異なり、クリック入力は物理的なボタンで行われる。

続きを読む

歴史をたどってディープラーニングを学ぶ 第五回 LeNetは何を学習したのか

こんにちは、ニューラルネット老人こと糟谷勇児です。
最近、黄鉄鉱化したアンモナイトの化石を買ってみました。
化石は地面に埋まった骨や殻が、長い時間をかけて周りの地盤の成分に置換されていき、中身は元の成分ではなく、周りの成分に置き換わっているらしいです。
黄鉄鉱化したアンモナイトは黄鉄鉱に置き換わっているので、キラキラ金属質に輝いています。
しかし、パイライトディケイと言って、数年で酸化し風化してしまう運命だそうです。
その間にできるだけいろいろな人に見てほしいな、となんとなく思いました。

f:id:kasuya_ug:20200405220446j:plain
黄鉄鉱化アンモナイト(買ったときにはすでにボロボロしていた)


そんなことはどうでもいいのですが、前回はコンボリューショナルニューラルネットの一種、LeNetを作ってきました。しかし、作ってみましたというのと、83%で飛行機と船を見分けましたというところで力尽きてしまいました。
せっかく作ったので、今回はいろいろ分析していきましょう。

続きを読む

キーボードつくるよ! 前編

こんにちは。Sansanキーボードおじさんの一人、吉田です。

いきなりですが私が普段業務で使っているキーボードはこちらの エスリル ニューキーボード − NISSE です。

f:id:k-yoshida33:20200408213044j:plain
普段使っているキーボード NISSE

以前は肩こり軽減のために左右が分離したキーボード*1を使用していましたが、「左右これくらい離した方が疲れないかな?」「この角度だとどうだろう」みたいなことを毎日考えてしまい正直疲れていました。

そんなときに

  • 一体型
  • 肩が凝りにくそう
  • キーマップがカスタマイズできる

といった特徴を持つこのキーボードを見つけ、1年半ほどNISSEで快適なキーボード生活を送っています。

しかし自分にとって気になるところがいくつかあり、それらを改善したいなとずっと考えていました。

  • 打鍵感が柔らかすぎる
    • NISSEはPCB*2に直接スイッチをマウント*3する構造になっておりそれが柔らかい打鍵感を生んでいます。
    • 最近は高級なカスタムキーボード*4に触れる機会が多くなりもっと金属チックな固い打鍵感が欲しくなってきました。
  • ファンクションキーを利用していないのでその分サイズを小さくしたい
    • キーマップをカスタマイズすることで、ファンクションキーまで指を伸ばさなくても特定のキーの組み合わせで同等の入力ができるようにしています。
  • 小指のキーが若干押しにくいのでキーの位置を調整したい

これらの気になりポイントを改善するには...そうや、自作や!となるわけです。

前置きが長くなりましたが、今回はNISSEを参考にして自分用のキーボードを作った話を前編後編に分けて紹介します。

なお今回の記事を書き始めた時点で3Dモデリングや電子工作の知識が全くなく、すごいものは出来上がりませんので生暖かい目で見守っていただけると幸いです。

*1:ErgoDoxを使っていました。 ErgoDox Mechanical Keyboard

*2:プリント基板のこと。PCB - Self-Made Keyboards in Japan

*3:スイッチをはめること

*4:カスタムキーボードについてはこちらの記事が詳しいです。 カスタムキーボードって何? どこで買えるの? 自作キーボードとの関係は? 調べてみました! – recompile.net

続きを読む

© Sansan, Inc.