Sansan Builders Box

Sansanのものづくりを支える技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信

廃棄される名刺の行方を考えてみた - ICE デザインワークショップ

SansanのブランディングやICEのイベント周りの企画をしているHanakoです。

SansanのクリエイティブプロジェクトICEのメンバーがチームに分かれ、それぞれテーマを決めて活動する ICE WORK SHOPというものがあります。テーマはグループで決めて、最終的なアウトプットは「こういうものがSansanにあったら…」と、ものづくりの観点で企画し、実際につくってみるプロジェクトです。各チームごとにアイディアを出し合い、企画を考えるところから始めます。
今回は、そんなチームのひとつが取り組んだ企画のプロセスをレポートします。



「廃棄される会社の名刺で何かをつくる」

1:企画のプロセス

わたしたちは「Sansanらしさ」というとても抽象度が高いところから企画を考えはじめました。

Sansanらしさ。
これまでにないものや、新しい価値、ビジネスでの気づき、人脈、名刺…

Sansanが提供しているサービスに関連するツールといえば、さまざまな出会いをつなげていく「名刺」になります。
わたしたちが目を向けたのは、データ化された名刺と、その後の行方です。

一般企業ではデータ化された名刺は、個人で保管する場合もありますが、機密文書処理として処分するケ—スも多いようです。これには専用のシステムがあり、完全密閉された箱で溶解処理され、一部不純物を取り除いて再生紙となります。

ただ、捨てた紙はユーザーのもとには二度ともどってきません。


もし名刺という「出会いの証」が、データ化したのち、再び形を変えてユーザーのもとに還ってきたら? ユーザーがデータ化した名刺の先までを、考えていくことは「Sansan」らしい。
では、「名刺をリビルドするのはどうだろう?」


この考えにたどり着いたのも「リビルディング」という概念からでした。もとはリビルディングセンターというアメリカのポートランドで生まれた「建築物の建て替えとして出る廃材を処分するのではなく、次につないでいく」サービスです。
アメリカではこのようなしくみがあり、文化として根付いているそうです。

大量生産大量消費の時代は終わり、これからは人口が増加し続ける中で限られた資源との共存を考えていくことが当たり前になるといわれています。
ツールが役目を果たし、処分される代わりに新たなストーリーやデザインが吹き込まれ、次に引き継がれていくこと事体、クリエイティブな行為であり、これからの時代の流れになるだろうなと思いました。
考えてみたら名刺も木と水でできているわけです。木も水も有限です。



通常、紙を作る場合、木を伐採するだけでなく洗浄し、溶解処理を行うための大量の水が必要で、わたしたちの思う以上に紙をつくりだすことは環境へのインパクトがあります。

年間、Sansanに取り込まれている名刺枚数は数十万枚。
少し規模が大きいことですが、これらがオフィスで使われるノートや付箋、ティッシュ、名刺になり、企業に還元することで、「Sansanとしてできる等身大の社会への還元」として、素敵なツールを企業に還すことを当たり前のようにやっていくことができたらと考えました。

ちなみに当社では「Scan for Trees」という、Sansanでデータ化した名刺枚数に応じて植樹が必要な土地に木を植えるプロジェクトがあります。

このような社会活動の一環として名刺をリビルドしてユーザーに還元することができたら…。
壮大ですが、それだけやりがいもありそう。わたしたちのチームは社内プレゼンできるレベルに持っていくため動き出しました。


2:ワークショップの実践

リサーチを重ねる中で、コピー用紙を資源に変える アップサイクルサービス
「PELP!」に出会いました。
このペルプというサービスは、山陽製紙(株)が手がけているもので
不用なコピー用紙を回収し、オリジナルのオフィス用品やライフスタイル雑貨に生まれ変わらせるというサービスです。

山陽製紙の方々に、「名刺をリビルディングする」ことに共感いただき、何ができるかを探る機会をつくりました。
とはいえ、交換後の名刺は非常にセンシティブな情報ですし、山陽製紙さまとしても、クリアすべきハードルは多いとのこと。
両者社内提案をして様子をみるため、まずは簡単にできることから始めることにしました。


1) 手近な企業内で余るコーポレート名刺で、実際に再生紙の実験をし、名刺から再生紙を作るイメージをもつための紙すきのワークショップと、その記録
2) アップサイクルしたツールをデザイン、メッセージングし、社内でプレゼンできるものを用意


サンプルとして考えたのは企業内で余るコーポレート名刺です。
会社では、部署移動などでお役御免になった名刺というものが存在し、残念ながら処分されてしまいます。

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山陽製紙さまにご協力いただき、不要な名刺を使用して、新たな紙として再生させることを、簡易的に体験できる紙すきのワークショップをすることになりました。
用意したものは私たち社員の名刺です。



まずは名刺をミキサーにかけ、粉々にします。絵としてなんともシュールですが、とてもたのしい体験でした。



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名刺をミキサーに入れて粉々にします。


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今回のワークショップのために、山陽製紙の皆様のご協力をいただきました。


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名刺と繊維を混ぜたりいろんなトライをしてみました。

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粉々にした紙の繊維をまとめて、糸を混ぜたり、アレンジは色々できそうです。

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個性あふれる、みんなの再生紙。

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アイロンをかけると、普通に手触りの良い紙になります。


今回のプロジェクトに興味を持ってくださった山陽製紙の取締役の方もワークショップのお手伝いをしにかけつけてくださいました。


実際にこのようなノベルティができます。
紙はクラフトペーパーのような質感で、細かな模様が手作り感があって素敵でした。

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写真左は社員の作品でもある名刺の再生紙。この名刺をアップサイクルする企画が形になったら…素敵です。


このようにすでに形になっているものにデザインを入れることもできますが、オリジナルでゼロベースで制作することもできるようです。


3:ワークショップの感想と、今後の展望

今回は山陽製紙さまのご協力のもと、名刺から再生紙を作る体験をさせていただきました。
紙すきという手触りのある体験をすることで、改めてものづくりの楽しさを感じることができました。

手作業なので個人個人の作る紙はバラバラで味があるものでしたが、実際に名刺を再生することになれば、それらは風合いのある紙としてきれいに処理され、名刺からノベルティを作ることが可能になります。


このように、サービスとしてデータ化された後の名刺が、形をかえてノベルティとしてアップサイクルされていく姿を想像して、ワクワクしたのですが、とはいえ、個人情報でもある名刺の回収とそれを問題ない形で処理するために、その技術を持つ企業とのコラボレーションが必要かもしれませんし、これらを実現させるには、大きな壁がいくつもあることは事実です。

ただ、この企画を進めるにあたり、大きな気づきを得ることができました。

1)
私たちの持っている名刺は質感へのこだわりから、マットPP加工という表面加工をしています。これがあることで再生紙を作ることが難しいことがわかりました。今回は特別にマットPP加工なしの名刺をこの企画のために作成しましたが、改めて自分たちの名刺のあり方を見つめ直す良い機会となりました。

2)
何か大きなものを作る、提案する際に、自分たちだけの技術や知見に頼るだけでは広がらないこともあります。
他の企業や人とのコラボレーションによって、企画が大きく膨らむこともあり、そんな協力者との出会いからプロジェクトを通して深く考えるきっかけもらったりして面白かったです。
今回山陽製紙さまとの「出会い」は、さまざまな気づきからイノベーションを生み出す可能性を秘めていることを感じましたし、この「出会い」から企画を形にしていけたらと思います。

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このような素晴らしい気づきを与えてくれた山陽製紙のみなさま、ご協力本当にありがとうございました!!

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PELP!(ペルプ)山陽製紙株式会社

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