こんにちは、ブランドコミュニケーション部・テクニカルライターの五味春香です。
新卒で取扱説明書の制作会社に入り、いろいろなメーカーの取扱説明書を作っていました。
現在はSansan株式会社で、クラウド名刺管理サービス「Sansan」のヘルプページの編集や校正に取り組んでいます。
さて、最近は直感的な操作ですぐに使える家電製品が多くなりましたが、皆さんはその取扱説明書って読んでいますか?
(これ以降、特記がない限り、ハードウエアとソフトウエアの両方を指して「製品」、紙の取扱説明書とウェブやアプリのヘルプページの両方を指して「取説」と呼びます)
私は取説が大好きで、ハードウエア・ソフトウエアに限らずどんな製品でもだいたい取説には目を通してしまいます。
でも読まずに捨ててしまう人や必要ないと感じている人も多いようで、日陰の存在になっているのを残念に思っています。
今日はあまり省みられることのない取説について、その魅力と楽しみ方をご紹介します。
取説の魅力とは
ずばり私が思う取説の魅力は、情報量が多いこと。当然と言えば当然ですが、これに尽きます。取説にはその製品のほぼ全てが載っています。基本的な使い方はもちろん、活用方法やトラブル対応などの情報がたっぷり詰まっています。
せっかく製品を持っているのだから、取説を読まないのはもったいない!
でも、製品を買った直後に全て読むのは現実的ではないと思っています。*1
使い方に慣れる過程で忘れてしまいますし、そもそも読む余裕がないこともあります。
買った当初はそれで良いのです。取説の魅力を存分に味わうには、最初に全て読もうとしないのが大事です。
取説はどこかにしまっておいてください。
ではいつ読むべきかと言うと、「読む必要がないとき」です。
必要がないのに読む?
長く使っている製品ほど、使い方は固定されていきます。私の家にはオーブンレンジがありますが、買った当時はトーストやクッキーを焼くなどいろいろ挑戦していました。しかし今では単純な温め機能しか使っていません…。
ふと先日、レンジの取説を開いてみました。
すると、このレンジには発酵モードがあることと、何か1つだけ温めるときはターンテーブルの中央に置くのが良い*2ということを発見しました(地味な発見で恐縮です)。
数年前、ヨーグルト作りにはまっていた時期があるのですが、冬場は温度調整が大変でした。この発酵モードを知っていればあの苦労をしなくて済んだのかと後悔しています。
また、レンジで何かを温めるときは端っこに置いて庫内を回遊させるのが最善だと思っていたので、まさに「早く言ってよ〜」という気持ちになりました。
この他にもラップをかけた方が良いかどうかの一覧や、仕上がり温度の微調整など、すぐに使えて面白そうな知識をたくさん見つけられたのです。
このように、その製品に慣れたときこそ取説を開いてみてください。ぱらぱらと目次に目を通し、気になったところだけのつまみ読みで問題ありません。
「便利な使い方」の章は狙い目です。きっと、知らなかった機能や忘れていた活用方法を紹介してくれるでしょう。
固定概念を覆してくれるのが取説の楽しさだと感じています。
取説の活用は他にも
すでに持っている製品の活用だけでなく、これから手にする製品を選ぶ場合にも取説は役に立ちます。複数の製品を比べるとき、取説をのぞいてみると違いがわかりやすくなるのです。
ウェブサービスにアカウント登録してみたら使い勝手が悪かった、家電を買ったら機能が想像と違った…という経験はないでしょうか。
ランディングページにはだいたい良いことしか書かれていませんが、ヘルプページにはできることとできないことが明記してあります。
きっちり機能で比べるにはこの方法がおすすめです。
ただし、ソフトウエアの取説はアカウント登録しないと見られないこともあるので注意です。
取説が手元にないときは
とはいえ、ハードウエアについては製品UIの洗練に伴って同梱される取説は少なくなりました。セットアップを案内する紙だけというものも少なくありません。そんなときはだいたい、メーカーの公式サイトに詳しい取説が出ています。QRコードでスマートフォンから取説サイトに飛べるようになっていることが多いので、ぜひ一度見てみてください。
ウェブサービスやアプリといったソフトウエアの取説は、設定メニューの中にあったり「ヘルプ」「よくある質問」として画面の隅に配置されたりしています。
ちなみに、紙の取説は家の中で一カ所にまとめておくと便利です。
製品を買ったらとりあえず取説や保証書をまとめてここに放り込むと決めておけば、「取説どこやったっけ?」と探す手間を省けます。
数年ごとに取説を整理すると、処分した製品の説明書が出てくることがあって、なつかしい気持ちになれます(笑)
なお取説を捨ててしまった場合は、「製品の型番+取説」などのキーワードで検索すれば見つかります。*3
終わりに
私は取説が好きでテクニカルライターになりました。分厚い取説ほど情報量がたっぷりあって、いつ読んでもわくわくさせてくれます。
次に読む本が決まっていない人は、お手元の取説を手に取ってみるのもあり…かもしれません!?
よく知っている製品の新しい一面が見えてきますよ!