Sansan Tech Blog

Sansanのものづくりを支えるメンバーの技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信

Dawn of Innovation :SIP2019登壇レポート

f:id:sansan_nissy:20190325174321j:plain
こんにちは!DSOCの西田です。
最近、Cから始まる大好きなブランドと心中すると心に決め、Yから始まるブランドの服をたくさん売りました。今のところ、悔いはありません。


さて、今回はそんな強い信念を持ちながら挑んだイベントSIP2019の登壇レポートをお届けします!
SIP2019で私が携わったものは大きく4つあります!

  1. [Day1 Session] Think Different とは何か?
  2. [Day2 Closing Keynote Session] 知を融合せよ ~イノベーションを生む組織の法則~
  3. [Artwork] Dawn of Innovation
  4. [Booth] DSOCブース

2つのセッションと展示会場でのデータビジュアライゼーション「Dawn of Innovation」の展示とDSOCブースの準備です。
今回はセッション2つとデータビジュアライゼーションの作品について当日の様子をご紹介します。



[Day1 Session] Think Different とは何か?

f:id:sansan_nissy:20190325175730j:plain

まず、1日目の午後に行われた「Think Different とは何か?」というセッション。日頃から研究のディスカッションを行う石川善樹さんと永山晋さんと登壇しました。

このセッションは700名以上の大きな会場で行われ、発表の準備している時から緊張していたのですが、いざ登壇してみると全然緊張せず、楽しく話すことができました!

セッションのタイトルにある"Think Different"とは、1997年のApple社のスローガンであり、人類を前進させた偉大な人たちを称えた広告で使われた言葉です。世界を変えた者が実践する「”Think Different”とは何か?」「“Think Different”は天才にのみ許されるものなのか?」それとも「誰にでも実践できるものなのか?」といったところに迫るのがこのセッションの目的でした。

セッションは3人それぞれ15分程度で、石川さんは「俳句」、永山さんは「音楽」、私は「ファッション」という各々の得意分野(笑?)を切り口にThink Differentの本質について語りました。

私は一番大好きなブランドであるCOMME des GARCONSの、のちに「黒の衝撃」と呼ばれるコレクションをもとにThink Differentを説明しました。1982年のそのコレクションまではパリコレで黒を使うことはタブーとされていたところに、COMME des GARCONSは黒をメインで使ったコレクションを発表しました。そして、賛否両論がありながらも、その後パリコレで黒が当たり前に使われるような流れを作りました。まさに、Think Differentなのです!

そんなThink Differentをどうやったら誰にでも起こせるのかについて詳しく説明したいところですが、字数の関係もあり、ここでは書くのは難しいです...

私の発表のサマリーを一言で伝えるならば、

独立心を持ち、まずは1人でアイデアを考えよう!

ということになります! 1人の時間を作って考えるステップを忘れずにということですかね。

一体どういうことですか? と思われた方は、こちらの登壇資料をご覧ください!
speakerdeck.com

え、もうちょっと知りたいという方はこちらの私のブログの連載をご覧ください!

buildersbox.corp-sansan.com

「石川さんと永山さんの話も知りたい!」「セッション聞いたけど、もう一度聞きたい!」というそこのあなたは、こちらの六本木ヒルズで開催されるイベントにお越しください! 今回よりアップグレードした話が聞けるかもしれません。

www.academyhills.com

[Day2 Closing Keynote Session] 知を融合せよ ~イノベーションを生む組織の法則~

f:id:sansan_nissy:20190325174705j:plain

次に、2日目の大トリとなるClosing Keynote Session「知を融合せよ ~イノベーションを生む組織の法則~」です。こちらはMITメディアラボのセザー・ヒダルゴ准教授、そして石川善樹さんと永山晋さんとの4人でのセッションでした。ヒダルゴ氏の研究について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

bnl.media
blogs.scientificamerican.com


ヒダルゴ氏は、知識の経済的な価値に着目し、長期的な経済成長を予測する経済複雑性指標を開発しています。経済複雑性指標はどのような指標なのかを簡単に説明すると、生産している製品の多様性と希少性を見た指標です。何かしらの製品を作るのにはいろんな知識が必要になるので、多様な製品を作ることができるということは、多様な知識があることを示唆し、その多様な知識を組み合わせてさらに新しい製品を生み出せることになります。さらに、世界を見てもある国にしか生産できない希少な製品というのは、その国にしかできない技術力だったり知識だったりを有していることで評価できます。そういった知識を活用すれば、さらに他の国に真似できない製品を産み出せるポテンシャルがあるということです。

日本は失われた30年とも言われる状況ですが、経済複雑性指標を見れば、1位を獲得していることから日本経済にはポテンシャルがあることが言えます。そんな状況で、これからイノベーションを生み出していくにはコラボレーションしていくことが重要です。ヒダルゴ氏とのセッションで印象的だったのはどうチームでコラボレーションしていくかの議論でした。

ヒダルゴ氏は、研究プロジェクトを進めるにはインテリジェント・タスクナレッジ・タスクの両方をこなす必要があると主張していました。インテリジェント・タスクとは、例えば何かしらの演算をするなどの手を動かして課題を解決していくもので若手が得意とするもの、ナレッジ・タスクは「どの問題を解けばいいのか」や「なぜ解決する必要があるのか」などの経験を積まないと分からない視点が必要なタスクで、ベテランが得意とするものです。すなわち、プロジェクトを進める上で若手とベテランの多様性があることがコラボレーションの秘訣であるということです。さらに、ヒダルゴ氏は今後少子高齢化が進む中で、若手にとってどれだけ魅力的な環境を創るれるかということが求められるという主張していました。

ディスカッションを通して、プロジェクトで結果を出すには、チームに年齢の多様性を保ちながら、若手もベテランもお互い見えている視点が違うことを互いに把握し、理解し合うことが大切だと思いました。私の上司の信条として「許可を求めるな謝罪せよ」という言葉があります。まだ働いてからの経験の浅い自分にとってはその環境が魅力で、果敢にチャレンジしていくことで経験のある先輩方から色々と学べることができています。この環境に感謝しつつ、引き続きチャレンジしては経験のある方を巻き込んで仕事をしていきたいなと改めて思いました。

[Artwork] Dawn of Innovation

f:id:sansan_nissy:20190325175110j:plain

セッションとは別に、展示会場では幅10メートル近くに及ぶ大きな三方面スクリーンを用いた、データビジュアライゼーションのアートワークを展示しました。

このアートワークでは、企業間の名刺交換の様子*1を描いており、とりわけイノベーションを起こすのに重要とされるコミュニティ間をまたぐつながりを強調して可視化しました。こちらのアートワークは株式会社Qosmoさんと共同で開発し、つながりができる瞬間やコントローラーで宇宙のような空間を移動する時には音が鳴るように開発しており、かつそのサウンドもデザインしています。
実際の動画はこちらのツイートを参照ください!


アートワークのタイトルは「Dawn of Innovation」です。日本語に訳すならば「イノベーションの夜明け」です。なぜ「夜明け」かというと、上記で説明した失われた30年とも言われる状況でありながらも経済複雑性指標は1位であり、これからイノベーションを生み出していきたいという思いを込めてこのタイトルをつけました。


「このビジュアライゼーションについてもっと知りたい!」「会場でも見たけど、もう一度見たい!」というそこのあなた! 4月5日に開催される、弊社のクリエイター向けイベントSansan PLUS +Xで再度展示する、かつその制作の裏側についても報告します!
jp.corp-sansan.com

New to the World

最後にこのイベントを通じて学んだことを少し書きたいと思います。

このイベント中に Closing Keynote Session で共に登壇したヒダルゴ氏と会食に行く機会がありました。
その際に彼が、「『新しい』というのは2つの視点があって、"New to the Local" と "New to the World" がある」と言っていたことがとても印象に残ってます。"New to the Local" は「すでにあるものだけど、その場所・業界にとっては新しいもの」で、"New to the World" とは「これまでに全くなかった新しいもの」という意味です。
さらに、今回のビジュアライゼーションを開発してきたチームの方から「これまでにないものを創る」という気持ちや意気込みを強く感じ、私自身、最後の最後までデータに向き合って準備できました。


何かを考えて生み出すとき、最後はアウトプットを見られて誰かに評価されるものです。その評価において、アウトプットが理解されないことを恐れるからなのか、誰しも、どうしてもこれまでの前例をベースにして考えてしまいがちです。でも、本当に新しくてすごいもの創ろうと思ったら、前例や流行り廃りを気にせず、強い信念を持って真剣に打ち込む必要があると改めて実感させられました。そういう気持ちを持っていたけれども、もっと強い気持ちを持たないとダメだなと思わされるような、なにかそういう強い刺激をもらえたことが、このイベントを通じて得た一番のものでした。
"New to the World" という世界初のものにこだわる気持ちを忘れずに日々研究に打ち込みたいと思います!

*1:本ビジュアライゼーションの制作・分析に当たっては、Eightのデータについて個人を匿名化し、Eightの利用規約で許諾を得ている範囲で使用しています。本データビジュアライゼーション上では、個人名や特定の会社名は表示されません。

© Sansan, Inc.