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帝国データバンクとSansanの共同研究の可能性ーSIP2019のセッション報告

初めてブログを書くDSOCの研究員の戸田です。社会科学のデータサイエンティストとして、DSOCの研究開発の中でも経済学などの視点から分析をする仕事をしていますが、最近は自然言語処理や機械学習に興味を持ち始め、社内の専門家たちと勉強会をしています。

このブログでは3月15日に開催されたイベント「Sansan Innovation Project 2019(SIP2019)」のセッションの一つである「ネットワークがビジネスを加速させる:営業プロセス可視化の可能性〜帝国データバンクとSansanの共同研究の展望〜」についての内容をご紹介します。

帝国データバンクとSansanはこれまでも名刺情報と企業情報の連携を進めてきましたが、その一環として共同研究契約を締結し、企業間の取引・人脈ネットワークの分析をテーマを行う予定です(共同研究開始のプレスリリースはこちら)。
jp.corp-sansan.comこのセッションでは共同研究によって何を分析し何ができるのかについて議論しました。また、帝国データバンクとSansanが互いの強みを活かして行った、これまでの取り組みについても紹介しました。


帝国データバンクの研究部門であるデータソリューション企画部総合研究所では長年にわたり蓄積してきた取引データを活用し、RESAS(地域経済分析システム)の構築や分析、複数の大学との共同研究を進めてきました。セッションでは、今回の共同研究を進めるにあたっての予備的な分析として、個人向け名刺アプリ「Eight」のデータの分析についても紹介がありました。*1
2016年に名刺交換だけがある企業間で、2017年に新たに取引関係が生じているのは1%に過ぎず、名刺交換をしているからといって取引がされているとは限らないことがわかりました。取引につながりやすい「出会い」は、すでに取引関係のある企業のそれぞれに属する二者であることが重要だという発見があり、取引につながる効率的な方法が存在することが示唆されます。*2

Sansanからは、「Eight」のデータについて分析を行っている取り組みを紹介しました。*3
近年注目されている、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)*4をベースとした、データの可視化を実験的に提供しているSansan Labsの一機能である「ABMダッシュボード2」(詳細はこちらSansan Labs | DSOC)について触れ、自社の保有している名刺情報を共有することにより、営業先となる企業とどれだけ名刺交換しているかが可視化でき、営業戦略に貢献できるという話をしました。

以上の紹介に続いて、共同研究の今後の可能性について議論されました。
帝国データバンクとSansanのお互いの強みを活かすと何ができるか、といった点では、取引につながる名刺交換の重要性について触れられました。ABMの考え方をふまえると、正しい相手に対してアプローチすることが重要であり、どの部署のどの役職の人と出会うべきかきちんと考える必要があるという意見が出ました。
業績の高い優秀な営業担当者は、これまでの経験からどうすれば効率的に売上を伸ばせるかわかっていますが、それは暗黙知で共有されていないだけでなく、積極的に他者に知識を披露すると、自身の強みが活かされなくなると思い、共有する誘因もありません。データに基づく営業プロセスを可視化することで、多くの営業担当者が活躍するための助けとなり、自社の業績に良い影響を与えるでしょう。

上記を踏まえ、人脈を有効活用するために、営業プロセスの情報を記録し蓄積することが重要だという結論に至りました。
名刺交換一つを取っても、記録を取ることで優秀な営業担当者がどのような行動をしているのか明らかになるかもしれませんが、より重要なのは、名刺交換後に「どのように人脈をメンテナンスし発展させていくか」だという意見も出ました。

また、統計的な分析により、自社の立ち位置が見えるということがこの共同研究の強みになるだろうという意見もありました。
営業プロセスなどを記録し可視化することは一部の企業ではすでに実施されているかもしれませんが、それは自社内のみのデータにすぎません。今回の共同研究で統計的な分析による業界平均と比較することで、現状の課題が浮き彫りになったり、さらに発展する余地について何らかの示唆が得られることは、社会に対して大きなインパクトを示すと言えるかもしれません。 

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セッション後に登壇者が集まり撮影しました

上記のような議論をし、ネットを通じて参加者の皆様の声をいただきましたが、総じて大きな期待を持っていただきました。共同研究がスタートしたばかりであり、多くの期待をいただいていることはプレッシャーでもありますが、皆様の期待に応えるよう研究を進めていきたいと考えています。

*1:この共同研究・分析では、Eightサービス利用規約の許諾範囲内で、匿名化したデータを統計的に利用しています。

*2:ただし、名刺交換の背景として営業活動だけでなく社外のイベントで交換するなど様々考えられ、また、名刺交換の背景によって区別することができません。この分析では全ての名刺交換を元に分析しているため、営業活動として名刺交換した枚数に対する割合ではありません

*3:この共同研究・分析では、Eightサービス利用規約の許諾範囲内で、匿名化したデータを統計的に利用しています。

*4:明確にターゲット化した顧客に対してパーソナライズした効率的なマーケティングを行う手法

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