Sansan Tech Blog

Sansanのものづくりを支えるメンバーの技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信

新卒さん達とプロジェクト管理をボドゲで勉強してみた

Sansan事業部 プロダクト開発部の宮崎です。

今年4月、我がプロダクト開発部にも3名の新卒社員が入社しました。 そしてそのうち1名が我が顧客データHubチームにJoinしてくれました。 そんなわけで(どんなわけ?)私がメンターになることになりました。

メンターになったからにはお勉強のネタを考えなくてはならないのですがここで悩みが…何にしようかな…

色々と学んでほしいけれど…

エンジニアとして仕事をしていくうえで学んでほしいと思うものはたくさんあるものの、全部は無理なのである程度取捨選択していかねばなりません。

が、いざ何を?となるとなかなか選ぶのが難しいもので。

正直、技術的なものはランチ勉強会で盛んにいろいろなものが行われていますし業務の中で調べて実践していく中である程度賄えるかなと思ったので、そうじゃないものにしようかと思いました。

じゃあ、プロジェクト管理かな

エンジニアとして切っても切れないもの、それがプロジェクトです。

複数のメンバーが(たとえ1人でも)チームを組んで、ある目的(リニューアル/新機能追加)の達成のために日々を過ごしていきます。 メンバーとして参画すると初めのうちは細かいタスクを割り振られることが多いため、プロジェクト全体を見て何かを考える機会がどうしても少なくなります。 とはいえ、知らなくていいのか? というとそれもまた違うわけでして。

どうやって勉強してもらうか?

本を読んで…とかも考えたものの、私が眠くなりそうだったより実践的なものがいいかなと思い探しているとこんなものが見つかりました。

プロジェクトテーマパーク

jellyjellycafe.com

実際にやってみた

手札のカードを管理し、みんなで相談して期日前に目標数のアトラクションを建築するという協力型ボードゲームで、おおよその流れはこんな感じです。

  • 期間は10月から6か月間、1か月単位でフェーズが進む
  • 未建設アトラクション数が3(人数によっては2)以下でゲームクリア
  • フェーズの流れはこんな感じ
    • 見積フェーズ
      • メンバーで話し合い、建設するアトラクションを決める
      • 各人にはやる気カード(建築時に使用)というものが渡されているが、やる気カードの具体的な内容(3から‐2の範囲の数字)は喋ってはいけない
      • アトラクションごとに難易度があり、難易度の高いものはメンバーと協力しないと建設できない
    • 建設フェーズ
      • 実際に建設(サイコロを振る)をする
      • サイコロの目とやる気カードに記載されている数字を合算し、アトラクションの指定コストを上回ったら建築成功
    • 振り返りフェーズ
      • 見積通り進めば「信頼」が増え、見積もりを下回ると「信頼」が減る
      • 「信頼」が0になると即ゲームオーバー

とってもプロジェクトっぽいですね。嫌な過去が思い出されます

いきなり暗雲が立ち込める

プロジェクトにはたくさんの人が関わります。

そして、人にはそれぞれ役割があります。 このゲームでもそれは再現されており、各プレイヤーには役割が付与されます。 新卒3人のうち2人は特にネガティブ要素のない役割を引きましたが うち1人が引いたのはなんと「無口」。

この役割、見積フェーズで一切しゃべることができないという結構強烈なもの。 結果見積もりを2人で行わなくてはならない状態に…

リスクコントロールは難しい

このゲーム、実は各月で「イベント」が発生します。

開始時点では「雨マーク(ネガティブ)」「曇りマーク(ややネガティブ)」「晴れマーク(ポジティブ)」程度のことしかわからず 月を進めていくとその月のイベントの詳細が初めてわかるようになっています。

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今回のプレイ時はプロジェクト前半は「ポジティブ」なイベント、後半には「ネガティブ」なイベントが発生する という状況でした。 ということはプロジェクト前半になるべく建設を進めないと 後半に発生する「ネガティブイベント」で建設が滞り、目標達成が難しそうであると判断できます。

「全部で12アトラクションだからとりあえず2アトラクションずつ作ればなんとかなるよね」 …おやおや、本当にそれで大丈夫でしょうか。

進捗が怪しい…

見積フェーズで1人が全くしゃべれないため「必ず2アトラクションずつ作る」ことがなかなか困難であることに気づく面々。

見積を下回ると「信頼」が下がり、0になった時点でゲームオーバーとなるため、無謀な計画はできません。 かといって消極的な計画では6か月で予定数を建設しきることができません。 無口を引いたメンバーはボソッと「しゃべれないのきつい…」とこぼしてました。 端から見てても正直きつそうでした。

「あれ?これじゃあ終わらない…?」

2か月間、何とか2アトラクションずつ作り、しゃべれなかったメンバーも「信頼」を引き換えに 役割をチェンジ、ようやっとドライブしそう…と、そうは問屋が卸しません。

実はこのゲーム、建設をし続けてやる気カードを使い切ったメンバーは「有給休暇」を取らねばなりません。 ワークライフバランス、働き方改革の時代です。有給はちゃんと消化せねばなりません。

1人休みが出ると当然、残りのメンバーで対処することになります。 状況を見直すと2か月間は1人ずつ有給を取らねばならないことが判明します。

「…やばい、終わらないかも」

さぁ、このプロジェクトはいったいどうなってしまうのでしょう。

「ここでインフルエンザかよ…」

ゲーム内の年も明け、いよいよ佳境に。

後半はネガティブイベントが立て続いていたのですが…ここで出てきた最大のネガティブイベントが

「インフルエンザ」

冬の風物詩ですね。

メンターの1人が 「前職のプロジェクトがインフルエンザで休みが出たせいで炎上しかけた」と言ってました。本当に笑えません。 ただそこは今年の新卒さんたちは優秀で、誰1人インフルエンザに罹患することなく乗り切りってました。

「このアトラクション、もう建設できないじゃん…」

残り1か月。未建設アトラクションは2つまでがクリア条件なのに、現時点で4つ。

当初の予定通り進んでいればこの時点で2つだったはずなのですが。 ここで皆あることに気づきます。

「このジェットコースターもう絶対に作れなくない?」 f:id:s_yuka:20190531134903j:plain 建設対象として選べるものは並べたカードの一番下にあるもののみ。 ジェットコースターは一番建設コストが高く、3人がかりでかつ、 ポジティブなイベントがあるときに建設しないとまず作れないアトラクションです。

建設コストが高いからと後回しにしていたツケがここで回ってきます。

ジェットコースターより後ろに控えるカードはジェットコースター以下の建設コストだったのに ジェットコースターが建設されないことで、後ろに控えるアトラクションも建設不能になってしまいました。

必然的に選択肢はその他の列にあるアトラクションを何とか建設する以外になくなってしまいました。

何とか開園

どうにかこうにかジェットコースター以外のアトラクションを何とか作り上げ、無事未建設アトラクション2以下でクリア条件を満たし、ゲームセット。お疲れ様でした! f:id:kitasi:20190426131133j:plain

みんなの感想

メンバーから感想を得ましたので記載しておきます。

新卒の皆様

ゲームとは思えないくらいリアリティがありました。
他人の調子がわからないところや
タスクに影響する外的要因がギリギリでしか分からないところ、
自分のキャラクターのカラーなどに
特にリアリティ(あるある)を感じました。

また、ゲームのゴール達成のために
慎重になる部分、チャレンジングになる部分のバランスを考えさせられた。

とっても楽しかったです。
また、やりたいです!!
ゲームの中で残建築数の推移グラフを作るのですが、
その中で工数の違いや状況に応じて想定より作業速度が遅くなる過程を
直感的に見ることができて面白かったです。
スケジュールに余裕を持っておくことの重要性を再確認できました。
見積り関しては他の人との連携が重要だと思いました.
見積りの時に喋れないキャラクターがいた時に, チームとしてどこまでできるのか
ということが掴めなかった時に特にそう感じました.
あとは見積り後に不測の事態に見舞われることもあるので
そういったことも考えながらやるっていうのが難しかったですね.
チームとしてのタスク管理というかプロジェクト管理? 的なもののエッセンスを体験できたと思います.

メンターの皆様

プロジェクト終盤でインフルの危機が発生とか、リアルに見た事があるのでよくできてると思いました。
全体的によくできてるなーと思いました。
今回は3人だったのでうまく意思疎通できていたように思いましたが
もっと人数増やすと変わるんだろうなと。
おそらく人数増えても楽にならないゲームバランスだろうと思うので。

最後に

見積もりの難しさ、リスクコントロールの難しさ、スケジール管理、チームとして動くこと等々

私が思ってた以上にゲームを通じて学んでもらうことができたようです。 これからますます活躍してくれることを期待して、筆をおこうと思います。

さて、ガントチャートそろそろ引こうかな。

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