DSOC研究員の吉村です.
私の好きな歌の歌詞の中に、「案外第0話って後から書かれるよね」みたいなことが書いてあります。(具体的に書くと、どの曲なのかがわかるので雰囲気で書いてます。)
さて, 本連載もそれなりに回数を重ねてきたので, その歌詞のごとく第0話的にこの連載について書きたいと思います. そのため, 今回はあまり技術色は強くないので, 気軽に読んでもらえると良いかと思います.
この連載を書く目的
理由の一つ目:自らのモチベーション維持
この連載をはじめにもらったときから今に到るまで, ずっと同じ目的があってこの連載を続けています. 個人の中での一番大きな目的は単純なもので, 「自らが忙しいという理由にかまけて広く分野の知見を取り込むことを怠らない理由を作るため」です. 冒頭の一言目に毎回テンプレで書いているように, 私の職業は研究員なので現在取り組んでいる業務に関わる技術や知識についての調査は, 当然行なっています. しかし, 弊社の研究員として働く上で「イノベーション」的な側面も求められていると考えていて, それに準ずるアイデアを生み出すためには特定の分野の知識だけを都度必要に駆られて集めるだけではダメだと思っています. アイデアは, あるドメインのものを別のドメインへと転用したり, 応用したりすることで生まれるからです.
先に述べたように「広く分野の知見を取り込むこと」が私個人として重要だと思いながらも, なかなかそういった時間を優先度高く取れないので, 「業務の一環として取り込んでしまう」ことでそれを行わざるを得ないものとしています. これにより, 現在まで継続することができています.
理由の二つ目:採用目的
二つ目の理由に採用目的があります. 弊社で働くことに興味がある方々が, 実際にどんな人間がそこで働いているかを知るのはなかなか困難なことだと思っています. そのような難しさがある中で, 読者にある程度の情報を気軽に得てもらうことも私はこの連載の目的の一つとして置いています. そのため, 毎回, 前置きとして, 多少プライベートな話も盛り込みながら, 自分がどんな人間なのかを表現したりしています. また, 記事の内容についても, 最低限書いている内容について私は理解できている (はず) なので, それらに関連のある人々に新たに弊社に対する興味を持ってもらうことも期待しています.
テーマ決めの準備
次に, この連載を書く時に気をつけていることについて, 紹介します. この連載は, テーマを決めて, 大体3回くらいでそのテーマについての概要を示すという形で書いています. その際にまず重要となるのは, テーマを考えることです. ここでは, 私がテーマを考える上で重要視していることを紹介します.
日本語の情報がないテーマを選ぶ
私は必要な時に必要な人に読まれる記事を書くことを大事にしています.
手軽に全容を理解したい時などには, 多くの方が日本語の記事を探すと思います. しかし, 英語の記事があるからといって, 必ずしも日本語の記事もあるかというとそうではありません. 私は, そこにニーズがあると考えています. さらに, その差分こそが, 日本と他の国との間の差でもあるので, 私はこの連載でささやかながらも, そうした部分を埋めたいと思っています.
どこに役に立つのか把握してテーマを選ぶ
好きなことを好きに書いているというわけではありません. 少なからず, その技術がどういう場面で重要なのかを把握してテーマを選んでいます. また, その技術がどういう場面で使われているのかなどについては, テーマを始める時に記事の中にちゃんと書くように心がけています.
記事を書く準備
テーマを決めた後には, 記事を書きます. 記事を書く時間自体は1~2時間もあれば十分ですが, その準備については非常に多くの時間を使います. そこで, どんなことをやっているのかや, 書く時に気をつけていることを共有します.
確かな情報源を元にする
私はこの連載を書く上で参考にしているのは, 基本的に国際学会で発表されたり, ジャーナルに掲載された論文などです. 時にデファクトスタンダード的になっているような技術については, arXiv から引用したりもしています. このような情報リソースに絞っている理由は, 最低限の内容の確からしさを保証するためです.
テーマについての全体像がある程度わかるまで調査する
また, 記事を書く上では, 内容をある程度構造化して書きたいと思っています. そのため, 特定のテーマについての記事を書く時には, それに対してどのようなアプローチがなされていて, どのように分類できるのかなどに気を使いながら, サーベイをします. 色々なアプローチの手法をバラバラに並べてしまうと, 読者のみなさまも困惑してしまうためです. ブログ記事を書くときの工数のほとんどはここにかけています.
いつまでも調査しない
十分に調査することを心がけているとはいえ, アウトプットできなければ意味がありません. そこで, 記事を投稿する期限を定めてもらっています. そうすることで, その限られた時間でできる範囲最大限の調査をしつつ, ちゃんと記事にするという両立ができます.
この連載を書いていてよかったこと
書くこと自体にモチベーションがありますが, 当然なんらかの反応があれば嬉しいものです. 採用の場面などでは, 私の記事を読みましたと言ってくださる学生さんとも会うことが増え, 書いている意味があったなと思うことが多々あり嬉しい限りです. また, 弊社では会社でブログを書いていること自体も, 評価の対象としてくれるためそういった意味でも副次的に書いている価値は得られています.
まとめ
今回は一切の技術的な内容を排除して, なぜ連載をやっているのかや, 書くまえに注意していることや重要視していることについて書きました. この連載を書いている人間が, どう言うことを考えて書いているのかを汲み取ってもらった上で, 価値ある連載だと思って読んでくださると嬉しいです. 次回は, MLに関する技術の話を今まで通りする予定です.
▼【ML Tech RPT. 】シリーズ
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