
はじめに
Digitization部でグループマネジャーをしている中村です。Sansanは4社目の会社で、入社して半年弱が経過しました。外資系IT企業と国内製造業IT部門での経験から、Digitization部の魅力を語りたいと思います。
まず、Sansanという会社の魅力は、外資系IT企業の文化と国内企業が持っている文化をうまく融合したような文化だと感じています。Sansanは創業20期を迎える成長企業ですが、カリフォルニアのIT企業のようなアントレプレナーシップに富んだ元気な側面がある一方で、日本の老舗企業から感じられる企業理念への共感力や全社の一体感のようなものを強く感じました。そんなSansanのDigitization部の魅力は大きく以下の3つだと思います。
- 0.1円、0.1%が事業インパクトにつながる部門
- 人とAIのオペレーションが交差する難しさに向き合っている
- コードの向こう側にあるリアルな世界との接点
Digitization部の仕事
Digitization部の魅力を語る前に、この部門がどんな仕事をしているのかをご紹介します。Digitization部のミッションは「データ化で事業をリードする」です。名刺・請求書・契約書といった紙媒体で表現された情報をデジタルデータに変換する仕事を担っています。このデジタイズ業務の大きな流れは、データスキャンとデータエントリーに分かれます。

データスキャンは、紙をスキャンしてPDFや画像データに変換する業務です。段ボールで配送された名刺・請求書・契約書を開梱・開封・枚数の確認などを経てスキャニングを行うため、物理的なオペレーション設計や、スキャンデータと物理資料のひも付けなどのデータ管理設計が重要になります。
スキャンを経てPDFや画像になったデータから、意味のあるデータ(企業名、氏名、取引日、銀行名、口座番号、金額、契約の種類など)を抽出する業務がデータエントリーです。データエントリーではAIによるデータの識別とオペレーターによるデータの入力の2つの視点で業務が設計されています。特にオペレーターによるデータ入力では、入力ミスを防ぎ、認知負荷を下げるためのUX設計と、複数のオペレーターで1件のデータを分担して入力するための分散処理設計が重要になります。
このようにDigitization部の仕事は、Sansanのプロダクトセグメントである名刺・請求書・契約書のすべてに深く関わり、コスト・品質・納期について、常に最適なバランスを取ることを大切にしています。
Digitization部の魅力
0.1円、0.1%が事業インパクトにつながる部門
Digitization部は、単に特定のプロダクトの一機能を作る部門ではありません。Sansanの価値の源泉である「アナログ情報を正確なデジタルデータに変換する」という仕組みを支える部門です。
名刺、請求書、契約書などの情報は、そのままでは検索も集計も分析もできません。そこに書かれている情報を、正確で使いやすいデータに変換してはじめて、プロダクトの中で価値を持ちます。また、この仕組みはSansan、Bill One、Contract Oneなど、複数のプロダクトを横断しています。

Digitization部の魅力の1つは改善のインパクトが事業成果に近いことです。データ化の品質が上がれば、ユーザー体験が向上します。処理速度が上がれば、価値提供までの時間を短くできます。コストが下がれば、事業全体の収益性に貢献できます。
扱うデータ量が月間で億単位と大きいため、0.1円のコスト削減や0.1%の精度向上といった改善が大きなインパクトにつながります。自分の改善が、品質・コスト・スピードを通じてプロダクト価値や事業成果に直結する。そこに、Digitization部ならではのエンジニアリングの面白さがあると感じています。
人とAIのオペレーションが交差する難しさ
AIによるアナログデータの認識能力は大きく向上しています。一方で、紙媒体に記録されたアナログデータには、人にしか理解できないケースが多くあります。
例えば、業界特有の表記、企業ごとの慣習、文脈に依存して省略された情報などは、単純な文字認識だけでは扱いきれません。そこには、ドメイン知識や業務理解を持ったオペレーターの判断が必要になります。
Digitization部では、AIによる自動化と、オペレーターによるデータスキャン・データ入力・確認作業を、どう効率的につないでいくかを考えます。これはソフトウェアエンジニアリングであると同時に、人の作業をどう設計するかというオペレーションエンジニアリングでもあり、人とマシン、あるいはアナログとデジタルという両面から難題に挑戦していく面白さがあります。
コードの向こう側にあるリアルな世界との接点
Digitization部では、技術的に正しいだけでは不十分です。現場で無理なく運用できること、品質が担保されること、コストが合うこと、そしてスケールすることが求められます。
そこには、リアルな大量データ、リアルな人の作業、リアルなコスト制約の中で、最適解を探る難しさがあります。
実際、Digitization部の職場では、オペレーターチームはすぐ隣の席にいて、開発中の画面を見せながら「これでOKですか?」「ここは、こんな感じでお願いします」といった会話が日常的に行われます。仕様書だけで完結するのではなく、現場の反応を見ながら改善していける環境があります。
また、データスキャンを担当するチームは、スキャンセンターのオペレーションにも向き合います。そこでは、請求書や契約書をまとめるクリアフォルダの重量さえも課題となります。お客様からお預かりした書類をどの棚に分類して、今どこにあるのか、という製造業のロケーション管理のような仕組みも構築しています。
このようなリアルな世界との接点を持てるDigitization部は、金融システムの保守開発や、製造業の情シスを経験してきた私から見ると、「止められない基盤」と「改善し続ける現場」の両方を持っている部門だと感じています。
Digitization部の今後の挑戦
Sansanは名刺のデータ化から始まり、請求書・契約書とそのデータ化の領域を広げてきました。これは、Digitization部が持つ人とAIのオペレーションで「多様な情報を精度高くデータ化できる」という価値に支えられているからだと感じています。
この価値を2つの観点から、よりスケーラブルなものにしていくのが今後の挑戦です。
まずは、多能工化(ひとりが複数業務を担える状態)の推進です。名刺・請求書・契約書は、扱う書類の形式も、読み取る項目も、品質の基準も大きく異なるため、これまではドメインごとに特化したチームが個別に運営されてきました。ひとりが複数のドメインを担えるようになれば、業務量の波や新しい業務の立ち上げにも、機動的に人を再配置できるようになります。これは前職の製造業でも同様の流れがあり、人手不足への対応という見方をされることが多いですが、実態としてはそこで働く人の成長を促し、組織として人を大切にしていきながら全体の効率を高める取り組みだと捉えています。
もう一つは、名刺・請求書・契約書の次の領域である企業の組織情報や取引情報などのビジネスデータへの拡大です。この領域は、これまでの紙媒体の情報をデジタル化することとは違って、定期的に更新され続ける企業情報を取り扱うという点で、大きなチャレンジがあります。ここでも人にしかできない判断や設計が重要になり、人とAIの双方に向き合う、とても面白い仕事になると思っています。
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