Sansan株式会社の山本純平と申します。Sansan事業部にてモバイルアプリのプロダクトマネージャをしています。
今年に入ってから、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」のコンセプトが新しくなりました。新しいコンセプトは「Sansan, Where Business Starts - 名刺管理から、ビジネスがはじまる」です。その新しいコンセプトについてはChief Product Offcerの大津によるこちらの記事が詳しいのですが、その中で以下の3つのソリューションが紹介されています。
- AI名刺管理
- 同僚コラボレーション
- 顧客データHub
私たちのチームは、このソリューションのうち「AI名刺管理」の機能の一環として、アプリからの名刺撮影の精度の向上に注力してきました。
機械学習を用いた名刺撮影
名刺をデータ化して管理するSansanのシステムの上で、名刺を撮影する機能はデータの入り口となる非常に重要なポイントです。今回、私たちはモバイルアプリでの名刺の認識、撮影機能を、OpenCVを使った画像処理による認識から、TensorFlowを使ったディープラーニングによる名刺の認識へとアップデートしました。
ディープラーニングとは多層のニューラルネットワークによる機械学習の手法です。私たちはこの技術を名刺の認識に応用しました。今回は名刺の検出と切り出しの行程に分け、それぞれの行程にてより高速で精度の高い名刺の検出と、さらに正確な名刺の切り出しに注力することで、
- 白い背景の上での白い名刺の検出
- 複雑な背景上での名刺の検出
- 影がある状況での検出
などの、従来の画像処理では困難だった状況での名刺の認識が可能になりました。*1
さらに、これをモバイルアプリケーション上でリアルタイムに動作させるために、モデルサイズ、計算量、画像の前処理など試行錯誤を重ね、今回実用にこぎ着けることができました。
名刺撮影の精度が劇的に向上
今回名刺の読み取り時に特に向上したポイントは以下の通り。
- 白い机の上で白い名刺を撮影してもOK
- 名刺ケースなどの上で撮影してもOK
- 並べて撮るときに名刺同士の間隔が狭くてもOK
- 影が映り込んでも、暗い場所でも読みとれる
早速新しい名刺撮影機能を試してみます。
白い机の上で4枚の名刺の間隔を詰めて並べた状態で、撮影してみました。従来バージョンだと1枚ずつ認識するのが難しかったのですが、新バージョンならこの通り。*2
名刺の間隔が狭い状態で、また影が映り込んでいたとしても、正しく名刺を認識することができています!
このように、精度が劇的に向上したアプリからの名刺の撮影を是非試してみてください!
さいごに
Sansanはビジネスの出会いの証である名刺を企業の資産に変えてきました。
これからは、資産となった名刺をよりスムーズに活用できる環境を整えることで、各企業のビジネスをよりスムーズにスタートさせるお手伝いをしていきたいと考えています。