Sansan Builders Box

Sansanのものづくりを支える技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信

写真を撮る、ということ(後編)

こんにちは。ブランドコミュニケーション部 高橋です。

今回は「写真を撮る、ということ」の後編です。

前編を知り合いのカメラマンに「写真について書いたから読んで!」とシェアしました。
その感想をまずはご紹介します。

「恥ずかしい」それが正直な感想。いつから評論家になったの?笑
(雑誌や広告のポートレート撮影で活躍する男性カメラマン N氏)

全体的にいけ好かない筆致。本当にこんなこと考えてる? そこが疑問だわ。一番笑ったのは『表現に力を入れることだけを「こだわって」「一生懸命やってる」のは、伝える相手にとっては本質ではないので、日々気をつけています。』そんなこと思ってるのかよ〜
(昨年写真展が好評だった女性カメラマンO氏)

と、批判を大いに含む、辛辣な意見がバンバン届きました。

これらの意見には持ち前の明るさで対応しましたが、彼らとの付き合い方を改める必要がありそうです。

さて、めげずに本編です。

今回は「Sansan Builders Box」でも執筆している、DSOC研究員 西田との撮影を題材にして、具体的に「写真を撮る」を紐解きます。

バスキアっぽい感じ

ある日、こんなチャットが来ました。

お疲れ様です!

SBBのブログで来年1月よりクリエイティビティにまつわる研究をまとめていく連載ブログを執筆予定です。

イメージは、クリエイティビティということでクリエイションとかアートとかその辺りを連想されるものを考えてます。
よって、バスキアとか良さそうと考えています。

バスキア風の写真を表参道近辺で撮れればと思い、高橋さんにお願いした次第です。

とりあえず孫正義さん風に「撮りましょう!」と気持ちよく返信して、WEBでバスキアの作品やポートレートを確認しました。

自分の中でバスキアというと、ZOZOの前澤社長が作品をドンと購入したことと、10代の頃に観た、その名も「バスキア」という27歳で生涯を閉じた彼の短い人生を豪華俳優陣で追った映画のイメージです。
(余談ですが、映画が公開された96年当時、渋谷の宮下公園近くにあったヨドバシカメラでは、持ち込んだ写真をプリントするサービスをやっていて、この映画のポストカードを白いTシャツにプリントして、公式グッズの如く堂々と着ていました)

「バスキアっぽい感じ」はよく分からないけれど、きっと何かイメージがあるはずだから、それをうまく表現できたらいいな、くらいにしておいて、撮影当日まで楽しみにしていました。

バスキアからプリズムへ

撮影当日の朝、作戦会議を始めると、開口一番、西田から「プリズムというテーマに変えたい」という話が!

アウトプットに向かって依頼者とコンセンサスを取るのが好きな自分ですから、バスキアを一度リセットして、「プリズム」についてイメージを掘り下げました。

「学問」をプリズムに見立てて、実態のない「クリエイティビティ」をそれに通して、いろんな角度からみてみる、というテーマの連載を考えていることが、対話してはっきりしました。そして、その連載にふさわしいバナーのための写真を、撮影しながら詰めていこう、と決めました。(写真は基本横イチに、など基本的な打ち合わせもしつつ)

プリズムをどう伝えるか

ウィキペディアで「プリズム」と調べると『プリズムとは、光を分散・屈折・全反射・複屈折させるための、周囲の空間とは屈折率の異なるガラス・水晶などの透明な媒質でできた多面体』と出てきます。プリズム自体をうまくビジュアルにしたのは、ピンクフロイドの8作目「狂気」のジャケットのアートワークです。

雨男な自分には珍しく、当日は晴天! なんとか写真の中で光を印象的に表現できないものかと、時間の許す限り、考えながら撮影します。

その中で、画角の中に明るい光源を入れることで起きる現象「レンズフレア」と西田のポートレートをうまく融合しよう、という方向で話が固まってきました。

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レンズフレアしつつ、うっすら西田が判別できるレベル。この写真を選びました。

DSOCのサイトリニューアルを手がけた山脇が、撮影に帯同してくれたので、作り手3人でカメラのモニターをのぞき込んで「ここに文字が入ったら収まりが良さそう」や「このビルが邪魔かも」など、都度話し合いながら納得できる一枚を模索します。

写真を撮ってから

撮影後の具体的な流れとしては…
①「Adobe Bridge CC」という、ファイル管理&簡単な現像処理を行うソフトで写真を選びます。

②「Adobe Photoshop CC」で色味やシャープネスの調整、リサイズなどします。

仕上げたい写真のイメージによって、調整具合は異なりますが、大抵、写真全体のハイライトを下げて、シャドウを上げて、コントラストを上げます。

その上で最近導入した「Alien Skin」という、デジタルの写真をアナログの写真に手軽に変換するプラグインソフトを使います。

このソフトが本当に優秀で、大活用しています!

例えば、デジタルカメラで撮った、東京タワーの写真があります。

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Photoshop上で開き、Alien Skinを起動します。

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元々このソフトに入っている、実在する(した)数あるフィルムのプリセットから選び、適用すると…

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まるで選んだフィルムで撮影し、プリントしたような写真があっという間に出来上がります。処理としては、粒子感が加えられ、彩度をガラリと変えます。

ちなみに、この写真は「KODAK ポートラ 400NC」という定番のフィルムをベースに、粒子や彩度を若干カスタムしました。

こうして仕上げた写真を、西田をはじめとするメンバーに共有します。

短い時間でも撮影前や撮影中に仕上がりのイメージを共有しておけば、経験則として、撮影後すんなりデザインの確定まで行けます。

そうしてできたデザインがこちら!

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念のため、渡した写真が文字やグラフィックと調和しているか、つまり写真が出しゃばっていないか確認します。

写真を見る、ということ

最後に、ぜひみなさまにオススメしたいのが、「写真を見る」ということです。

中華料理屋のメニュー、電車の中吊り広告、雑誌の表紙……、1日の中で、一度も写真を目にしないということはありえないくらい、写真に囲まれています。

その写真を選んで、「どうしてこの写真なんだろう」とか「どうやって撮ったんだろう」など勝手に考察すると、かなり暇つぶしになりつつ、撮り方のバリエーションを増やしてくれます。

ぜひぜひ試してみてください。


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撮影後、思わず街頭ファッションスナップを敢行

© Sansan, Inc.