はじめまして。Sansanでディレクターをしている、ブランドコミュニケーション部 高橋です。
普段、Sansanのコーポレートブログの編集や撮影をしています。
今回、2018年に業務で撮影した写真を交えながら、自分にとっての「写真を撮る」という一連の行為を、分解してみたいと思います。
ここに書くことは、全て個人的に考えていることです。自分の撮影に対するアプローチや考えが、日々の業務で写真を扱う方や、プライベートで写真を撮る方のお役に立てれば嬉しいです。
決してハウツー的な内容ではありません!
大切なのは、「何を伝えるのか」
人物でも、風景でも、食べ物でも、肝心なのは「誰に何を伝えたいのか」をはっきりさせておくことです。
これは写真に限らず、クリエイティブ全般に言えることだと思います。
写真は撮影時の状況、撮影後の加工などでガラリとアウトプットが変わります。表現に溺れると結果的に見る人が理解できないような仕上がりになってしまうことが多々あります。
表現に力を入れることだけを「こだわって」「一生懸命やってる」のは、伝える相手にとっては本質ではないので、日々気をつけています。
写真を撮る前に、依頼してくれた人(以下、クライアントとします)と、コミュニケーションします。「透明感のある感じで」や「かっこよく」といったような抽象的な言葉を翻訳し、相手がどんな写真を求めているか、誰に対して写真を必要としているのかを聞き出します。
さらに撮った写真がどんなデザインになるのか、わかる場合はそこも確認します。紙媒体なのか、WEBなのか。バナーであればサイズなども知っておいたほうが効率的かつ安心です。
「撮れるかどうか」の判断
「誰に何を伝えるか」をはっきりさせ、いざ撮影! と進めたいところですが、その前に「本当に相手が求めてる写真が撮れるかどうか」を判断するのも重要です。
撮れないときは、機材不足、経験不足、物理的な問題など、何かしら理由があるはずなので、相手にそれをできるだけわかりやすく伝えた上で、別の方法を提案するように心がけています。無理して撮った写真が使われないのは悲しいですからね。
ただ、いろいろな事情から、「相手が求めている写真は撮れない」けれど、どうしても撮らないといけないという状況もあります。
自分の力だけでは何もできない。そんな時は……できるだけ理想に近づけるように頑張る!しかありません。
写真の「良い・悪い」って?
「何を伝える写真なのか」が判明し「撮れる」ことがわかったら撮影に取りかかります。
Sansanには、Nikonの一眼レフと広角からズームまで一通りのレンズがあります。それらを駆使し、あれこれ工夫し、額に汗し、制限があるなか「最高の1枚」と納得できる写真をなんとか撮ります。
そして撮った写真がなぜ優れているか、明確、的確にクライアントに説明するのですが、そのために3つの質問にきちんと答えられるようにしなくてはなりません。※これはアメリカはイリノイ州出身のUXディレクター、トム・グリーヴァーが「デザインの伝え方」という名著に記している内容を元にしています。
- この写真がクライアントの問題をどう解決するか
- この写真がユーザーにもたらす影響は?
- この写真が代替案よりすぐれている理由は?
表現を言葉にするのは練習が必要ですが、相手に伝わればどんな言葉でも良いと思います。そこでのコミュニケーションで、新たに気づくこともあり、もう少し練る必要が出てくることもあります。大切なのはお互いが「最高の1枚」だね!と納得することです。
写真を撮る、ということ
「写真を撮ってて一番楽しいのはどの瞬間ですか?」と、カメラマンさんと初めて仕事するときにいつも質問します。
「子供の頃、ご近所で飼われていた犬の写真を撮って、それを飼い主に見せたところ喜ばれた」これは篠山紀信大先生が、写真家になろうと思った原体験です。
自分が写真を撮ることが好きなのは、7割くらい撮るまでのプロセスが楽しいからです。相手と「最高の1枚」をつくるためのコミュニケーションが楽しいんです。その上で、撮影が2割、目的をなし得たときの達成感が残りの1割です。
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少し概念的な内容になりました。
次回はこのブログ「Sansan Builders Box」でも執筆している、にっしーことDSOC研究員 西田との撮影を題材に、撮影から写真がアウトプットするまでを仔細までお伝えしたいと思います。
最後に、自分の席から見える風景写真で締めくくります。