こんにちは、SansanでCPOとしてプロダクトの責任者をやっている大津です。
先日弊社のオンライン記者会見において、「オンライン名刺 / オンライン名刺交換」の発表がありました。
実際のリリースは6月ということでもう少し先ですが、開発現場に関わる立場としては、今が正に勝負所という状況です。
世の中の状況が状況でしたので、出来るだけポジティブかつ違和感ない形で発表したかったわけですが、SNS上でも予想以上にたくさんの良い反響をいただきまして嬉しい限りです。
今回の記事では、我々が如何にしてこの機能の着想に至ったか、そのプロセスや開発に込めた想いを少しお話しできたらと思います。
名刺なら気軽に渡せる
「名刺なんて交換しなくてもFacebookでいいよね」「名刺いつまであるんだろうね」よく知り合いにもこんなことを言われますが、その度に、プロフィール交換と名刺交換は同じものに見られやすいんだなと感じます。
私も名刺と深く関わる前は同じ感覚を持っていましたが、今となっては全然別のものに見えています。
昨今の世には、デジタルプロフィールを交換できるサービスが様々あります。Facebook、LinkedIn、弊社のEightも似たポジションですね。
これらには必ずついて回る大きな不都合があります。
それは、「登録しているプロフィール情報をリッチにすればするほど、見せる相手を限定したくなる」という不都合です。
仕事で100人に会ったとして、その100人全員に見せようという気にはなれません。人によるとは思いますが、何らか無意識にでもポリシーを持って見せる相手を選ぶのではないでしょうか。結果として、記録される出会いの量は一定量に絞られることになりませんか?
一方、名刺はどうでしょう。
仕事で関わった人に対して自分の名刺を渡すことを躊躇したり、相手を選んだりする人は少ないのではないでしょうか。
100人に出会ったなら、100人に気軽に渡せるのが名刺だなと思います(もちろん手持ちの名刺が切れていなければ、ですが)。
会社に持たされているから、という無意識な言い訳ができるからなのか、記載されている情報が限られているからなのか。
間違いなく言えることは、名刺に記載されている情報が適量でとどまっているからこそ生まれている気軽さであり、記載情報をリッチ化すればするほど損なわれてしまう特性ではないでしょうか。
気軽に渡せる程度の情報でとどまっていること、渡すことに抵抗感がないところまで習慣化されているところが名刺の強みなんです。
もし名刺交換の記録を漏らさずデジタル化出来たなら、結果として仕事上の出会いのほとんどが漏れなく記録されることになります。
ビジネスの出会いの証として、名刺および名刺交換という習慣は独特な強みを持っていると言えます。
オンライン会議/商談は出会いの記録が漏れやすい
コロナの影響もあり、リモート環境下で働く人がこれまで以上に増えていると思います。
また、オリンピック時期の仕事環境を視野に入れて昨年あたりからリモート勤務に備えていた企業も多かったことでしょう。
オンライン会議、オンライン商談といった機会はもはや当たり前のように発生しています。
そんな時に問題になるのが「名刺交換がスムーズに行えない」という点です。
前段でお話した通り、SNSなどを使った連絡先交換は相手を選ぶ傾向にあり、ビジネスで気軽に連絡先交換をする手段としては用いづらいです。
特にオンライン商談において、営業する側からそのような話を切り出すことはかなり心理的障壁が高いと言えます。
オンラインなので対面で会ったこともない相手の時も多いですし、ただでさえ時間を割いて営業させてもらう立場であれば尚更、いきなりSNSで繋がりましょう、とは切り出しづらいですよね。
連絡先をもらうだけならメールの署名で事足りるのですが、やはり名刺をもらえないと出会いの記録が残りづらいという点で不便です。
特に名刺管理としてSansanを使っているユーザーの皆さんはそう感じるのではないでしょうか。
言うまでもなく、弊社内でもSansanを利用して名刺管理を行なっています。
特に営業活動において、Sansanというシステムは生命線です。
外部とのMTG前には必ずSansanで相手のことを検索しますし、社内の同僚が会ったことがあるのか、どのような話をしたのかなど予習します。
実は私が入社間もない時、Sansanの営業を行なっていた時期がありまして、一度大きな恥をかいたことがあります。
「Sansanを使って社内の人脈を共有しましょう!」と得意顔で営業していたのですが、営業中にお客様から「最近御社の○○さんとお会いしましたよ、話聞いてないですかね?」と言われてしまったのです。
もちろん事前にSansanで検索して社内の同僚がそのお客様に会っていないか調べてはいたのですが、データは全く残っていませんでした。
そんなことがあっては当然その営業は台無しです。
失意の中でお客様に「失礼ですが、いつ誰とお話いただきましたか?」と聞いたところ相手はEight事業部の人だとわかりました。
すぐにEight事業部のフロアに行き、経緯を確認してみたところ、Sansanに名刺データが記録されていなかった理由は「オンライン会議だったから名刺をもらえてなかったから」でした。
出会いの記録に抜け漏れがあるとビジネス上失礼も起こりやすいですし、社内での連携がうまく行きません。
オンライン会議やオンライン商談が増えてきた昨今において、このような問題はかなりの頻度で起こるのではと思っています。
オンライン名刺なら顔写真も交換できる
弊社員の持つ名刺には、必ず社員の顔写真が載っています。
渡す際によくお客様に、「顔が覚えやすくていいですよね」と褒められます。仕事をする上で顔を相手に覚えてもらうことは非常に重要ですよね。
私がSansanと関わりを持ち始めた10年前くらいからずっとSansanの名刺には顔写真が載っていた気がします。
オンライン名刺であれば、名刺情報だけでなく追加で情報を載せることもできるな、と当初から考えていました。
顔写真を載せられるようにすれば、弊社の名刺のように相手から喜ばれるのではないかと考えたのですが、前段でお話した通り、情報を載せれば載せるほど気軽に渡せなくなるというジレンマがあります。そのため、顔写真だけなら大丈夫かどうか、という線引きは非常にセンシティブでした。
結果、少し悩みましたが、顔写真だけは載せられるようにしました。
この辺りはぜひ使ってみて皆さんからの感想が聞きたいです。
プレスリリース時はポジティブな反応しかなかったので少し安心していますが、実際使ってみてどうかが大事だなと思っています。
オンライン名刺のリリースは6月を予定しています。
この機能が世にでることで、リモートワークや新しい働き方がより一層パフォーマンスを伴ったものとなり、皆さんの働き方がより柔軟になれば幸いです。
Sansanの開発現場は、世の中の流れやユーザーのニーズに注意を払いながら新たなソリューションを提供できるよう日々開発に努めています。
今後ともSansanの進化にご期待ください。
buildersbox.corp-sansan.com
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