Sansan Tech Blog

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CPO(Chief Product Officer)って何するの?

初めまして、SansanでCPO(Chief Product Officer)をしている大津です。

CPOって国内では聞き慣れない肩書きですよね。
人に会うと必ず「CPOってどんな仕事するんですか? どんな役割ですか?」と聞かれます。
正直に言うと、私自身もまだはっきりとは役割を掴みきれてないんですよね。

実は最近、SalesforceのCPOやCTOの話を聞く機会に恵まれまして、それらをきっかけに少しずつ考えがまとまってきました。
ブログ編集部の鈴木さんから「大津さん何かブログ記事書いてよ」と言われ、何を書こうか迷ったのですが、これを機に私なりの解釈でCPOの役割について書いてみようかなと思います。

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CPOはプロダクトオーナーではない

就任したての時は、よく周りから「CPOがプロダクトオーナー」「CPOがプロダクトをどうしていくか決める」と思われがちでした。
もちろん今後を含めプロダクトがどうあるべきかを考える役割なので、私の意図が大きく関わってはくるのですが、最終的なプロダクトに関する決定権は対象事業の事業責任者にあるべきと私は思っています。
プロダクトのあり方は事業推進における手段でしかなく、「プロダクトかくあるべき」と事業意図を無視して振りかざすと、例えユーザが求めるプロダクトになれたとしても事業を永続的に支えるプロダクトにはなれません。
最終決定権があるという意味において、プロダクトオーナーは事業責任者であるべきだし、CPOはそれを支えるポジションとして、

  • プロダクトのあるべき姿を提案する
  • 事業の狙いを理解し、プロダクトのバランスを取る

という役割が良いのかなと考えています。

開発部は短期、CPOは中期に向き合う

弊社では、CPOおよびCPO室は各事業部内に属さず、組織的には社長直下に位置します。
そのため、就任後しばらくは「各事業部内の開発部と役割が被らないのか」という懸念の声が少なからずありました。
私の考えとしては、

  • 開発部:プロダクトが短期的にどうあるべきかに向き合い、KPIとリリースにコミット
  • CPO:プロダクトが中期的にどうあるべきかに向き合い、ユーザの利用状況とプロダクトクオリティにコミット

という役割分担なのかな、と思っています。

事業部内からプロダクトを見ていると、どうしても短期的なKPIやリリースに引っ張られ、中期的な向き合いが冷静にできなくなります。
例えば、目の前としてはDAUを上げるためにキャンペーンを打ちまくりたいけど、それをしてしまうと長い目で見るとユーザが離れてしまい兼ねない、等。
KPIを優先しすぎると先手先手で中期的な施策を打つことが難しくなります。
事業部の外からCPOが冷静な目で戦略を策定し、中期的なマイルストンや施策案を作成することで、この弱点を補う形が望ましいのではないでしょうか。

データ分析とモック作成が超重要

上記役割を実現するために最も重要なのが「データ分析」と「モック作成」です。
中期的な向き合いはPDCAサイクルのスピードが落ちやすいため、より慎重にプランを練る必要があります。
なんとなくこちらが正しそう、程度の認識ではミスした時のインパクトが大きいため、データ分析を徹底的に行い、確度を上げて行く必要があります。
また、データ分析を元に練ったプランは、道中においてもデータを見れば仮説が確からしいかどうか判断することができます。
属人的な感性に頼りすぎた意思決定は、道中の手応えを掴みにくく、気付いた時にはもう遅いとなりかねません。
ビッグデータに向き合い、データを根拠としたPredictiveな分析力が重要だなと感じます。
また、フワッとした方針や資料で関係者に中期のイメージをつけてもらうのは非常に難しく、それなりにディテールを纏ったモックが必要なシーンが多いです。
モックを常日頃から作成し、それを用いて事業責任者やCEOと意識をすり合わせて行くことで、ズレも含め具体的な手応えを得ることができます。
データ分析とモック作成の力、この2つはCPOおよびCPO室の役割を果たす上で非常に重要なスキルだと考えます。

社内浸透も大きな役割

プロダクトの中期イメージについて事業責任者の承認を得た後、事業部内外問わず、社内にそれを浸透させることも重要な役割です。
狂ったように繰り返し繰り返しプロダクトがどうなっていくかについて説明し、社内でプロダクトに関わる社員全員の向く方向を揃えていく必要があります。
出来るだけわかりやすい言葉、わかりやすい資料を供給して、社員全員の理解を最大限手伝いたいですね。


まだまだ役割を語る上で重要な点はあるように思いますが、自分の中では以上4点が最近整理できた大きなポイントでした。
上記のような役割が社内にあった方がいいかも、と思った人がいたならぜひ社内にCPOポジションを設置してみてはいかがでしょうか。

ちなみに弊社は9月にCPO室を設立しまして、チームとして上記役割に向き合っていこうと体制作りに勤しんでいます。
絶賛チームメンバー募集中ですので、こんな役割でキャリアを積みたい、成果を出したい、という方がいましたらぜひお声かけください。

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