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▲The Prism of Creativity ▽ vol.2 [心理学編] 開放性というバロメーター

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こんにちは、DSOC研究員の西田です!

最近、COMME des GARCONS の2019SSのバラ柄のカットソー&レギンスがお気に入りで、ヘビロテしています。でも、それがはたから見るとタトゥーに見えるらしく、社内の人からは「タトゥー入れたんですか?」とか「タトゥーに見えますね!」と声をかけられますが、タトゥーは入れたくない派です。


さて、前回のブログの通り、本ブログでは心理学、経済学、社会学・経営学、機械学習の4つの切り口から、クリエイティビティの研究について紹介します。今回は心理学編として、どういったパーソナリティがクリエイティビティの発揮につながるのかについて研究をご紹介したいと思います。


開放性というバロメーター

心理学では、ビッグ5と呼ばれるパーソナリティを測る指標を用いて、クリエイティビティだけでなく、学力や職場でのパフォーマンスについて研究を進めています。
ビッグ5には、その名の通り5つのパーソナリティ特性があります。

  1. 開放性(Openness):新しい知識や経験を求める人か?
  2. 誠実性(Conscientiousness):誠実であり、向上心がある人か?
  3. 外向性(Extraversion):積極的にコミュニケーションする人か?
  4. 調和性(Agreeableness):他者と協力的である人か?
  5. 情緒不安定性(Neuroticism):精神が安定している人か?

心理学者のKaufman氏らは、このビッグ5とクリエイティビティの関係について研究をしました。

ビッグ5は、こちらのWEBサイトにもあるような、性格診断のような質問に答えることによって測定することができます。

それでは、クリエイティビティはどのように測定しているのでしょうか?

こちらの研究については、ビッグ5と同様に質問に答える形の自己評価でクリエイティビティを測定しています。その名も、CAQ(Creative Achivement Questionaire)というものです。具体的には以下のような3つのパートに分けた質問に回答してもらい、評価します。*1

  1. アート、ダンス、音楽、チームスポーツ、科学的調査などの13項目について、自分が能力のある、才能がある、他の人よりもトレーニングを受けたことのあると思う分野を選択してもらいます。
  2. 次に上記の13項目のうちの10項目について、どれくらい実践経験があるかやトレーニングを受けたことがあるのかについて8段階で評価をしてもらいます。
  3. 最後に、第3者が自分のクリエイティビティについてどのように評価しているかに関する質問に答えてもらいます。

Kaufman氏らは、このように測定したクリエイティビティとビッグ5の関係性を分析したところ、開放性が最もクリエイティビティを予測する要因であることを実証的に明らかにしました。*2

開放性のある人は、好奇心が旺盛であり、常に新しい発見を求めている傾向のある人です。新しいものや美しいものを探すために色々な経験を積んだ結果、クリエイティブなアイデアに不可欠な要素を発見する可能性が高まるのです。

開放性を構成する3要素

Kaufman氏らは、クリエイティビティに寄与する開放性は以下の3つの要素によって構成されていると考察しています。

  1. 知的エンゲージメント:真実を追い求める、問題解決が好きである、アイデアをよく出す
  2. 感情的エンゲージメント:感情を深く探る、直感を使う、共感する
  3. 美的エンゲージメント:ファンタジーやアートを探求する、美に没頭する

さらに、これらのエンゲージメントによって、クリエイティビティが発揮できる領域も異なることが分析されています。その結果、知的エンゲージメントのある人は、科学においてクリエイティビティを発揮しやすい一方で、感情的エンゲージメントと美的エンゲージメントのある人は芸術分野において活躍する傾向にあることが報告されています。*3

つまり、開放性があって「新しい経験や知識を追い求める人」とはいえ、追い求めるものが異なればクリエイティブなアウトプットの分野も異なるということです。

この結果には多くの人が共感することが多いのではないでしょうか?自分の周りでも、面白いアイデアを出すのが得意な人は意外なキャリアを積んでいたり、なんでもチャレンジしてみる人が多い印象です。

この一連の研究を知ったとき、社内のデザイナーの「感性は移動した距離の分だけ豊かになる」という言葉を思い出しました。実際に、留学がクリエイティビティに影響を与えるという研究もあるようです。私自身、研究員というポジション柄、常に新しいアイデアや研究テーマを見つけに行かなければいけません。常にクリエイティブでいるためにも、オフィスや家に籠ってばかりではなくて、気が向かないようなことでも積極的に行動して行こうと思いました。

・・・と思う一方で、クリエイティブな研究者やアーティストには、インドア志向が強い人も多い気がしています。ということで、次回は「孤独」という視点でクリエイティビティを見た研究について紹介したいと思います。それではまた次回!

*1:Carson, S. H., Peterson, J. B., & Higgins, D. M. (2005). Reliability, validity, and factor structure of the creative achievement questionnaire. Creativity Research Journal, 17(1), 37-50.

*2:Kaufman, S. B., & Gregoire, C. (2016).Wired to create: Unraveling the mysteries of the creative mind. Penguin.

*3:Kaufman, S. B., Quilty, L. C., Grazioplene, R. G., Hirsh, J. B., Gray, J. R., Peterson, J. B., & DeYoung, C. G. (2016). Openness to experience and intellect differentially predict creative achievement in the arts and sciences.Journal of personality,84(2), 248-258.

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