Sansan Tech Blog

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「SocSci Meetup 2~社会科学をビルドする~」イベントレポート

2019年6月18日、Sansan株式会社DSOC R&D発の社会科学分野の勉強会 「SocSci Meetup 2~社会科学をビルドする~」が開催された。今回も Sansan DSOC研究員の前嶋が、当日の熱量そのままに、イベントレポートをお届けする。

※第1回のレポートはこちら

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SocSciとは

「Tech全盛の時代に、社会科学が立ち上がる。」

DSOCはSansan株式会社のデータ化・データ活用の統括部門である。DSOCには、画像処理・機械学習のチームだけでなく、社会科学をバックグラウンドとしたデータサイエンティストからなるチームが存在する。このチームのミッションは、社会科学の知見をサービス開発に応用することである。

sansan-dsoc.com

…が、その試みはまだ十分に達成されているとは言えない。そこで、社会科学の有用性を徹底的に考えていくためのコミュニティ”SocSci”を立ち上げた。同じような課題を持った人々を呼び、議論し、ともに考えていくことが狙いである。

工夫

SocSci Meetupでは、「社会科学の有用性を徹底的に考えていく」という目的を達成するために、いくつか実験的な試みを行っている。

まず、登壇者やテーマの選定については、「社会科学の有用性について考える」という軸を保ちながらも、できるだけ専門領域の幅が広くなるように設定している。というのも、私たちは、様々なバックグラウンドを持つ人々が自由闊達に議論することで、新たな価値が生まれると信じているからである。そのような場は、すべての参加者にとって安全で、かつそれぞれの個性が尊重されなければならない。このようなコンセプトを守るために、今回からアンチハラスメントポリシーを策定した。

また、一般的な研究会とは異なり、IT系の勉強会のようなカジュアルさを持たせることも重要であると考えている。講義形式のようにならないように、椅子をある程度ランダムに配置したり、キャンピングチェアを利用するなど、くだけた雰囲気になるような工夫を施している。

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発表概要

まずはSansan DSOC R&DのJuanから「Future-Proofな経済学とは?」というタイトルで報告が行われた。金融危機や人工知能の登場によって経済学の存在価値が問い直されている中で、Futre-Proof=将来にわたって有効な経済学とは何か?を検討する報告であった。発表の中では、適切なインセンティブ設計によって実世界の問題を実時間で解決したり、テキストデータや画像データといった新しいデータ構造に対応したり、人工知能と協力するという指針が示された。経済学は不要になるばかりか、これからますます面白い研究テーマが見えてくるという。

speakerdeck.com

筑波大学システム情報系社会工学域助教の佐野幸恵さんの発表「ウェブから読み解く空気感」では、大規模ブログデータから「なんとなくの空気感」、つまり「怒り」や「混乱」などの集合的感情を抽出する試みについて紹介していただいた。例えば、1年を通してみるとバレンタインデーの2月14日や入学式が集中する4月7日などは緊張が高まり、週の中では月曜日に憂鬱が高まるといった結果が得られる。これらの感情の定量化は、東日本大震災のようなイベント後に「いつCMを再開すればよいか?」などの意思決定の利用にも役立てることが可能だという。

www.slideshare.net

ZOZO研究所リサーチサイエンティストで東京大学大学院学際情報学府博士課程在学中の藤嶋陽子さんの発表「ファッション研究者はファッション“の”研究といかに関わることができるのか?」では、主に人文系の観点から見た、これまでの、そしてこれからのファッション研究ついての考察がなされた。

「ファッション研究」には、大きく分けて2つの立場が存在しているという。実物の服などのオブジェクトを考えるのか、それとも産業や文化現象としてのファッションを考えるのか。この異質性は、ファッション研究では「大いなる分断(great divide)」として呼ばれてきた。「ファッション」は日常的用語であり、その対象はオートクチュールからマスファッションまで多様であり、その定義域は曖昧である。これが学問的な体系化を困難にしてきた。さらに最近では、ファッション研究の「外部」で、流行の伝播などをデータ分析から解き明かそうとする情報学的なアプローチも登場している。このような流れの中で、これまでのファッション研究が前提としていたファッションの「近代性」を批判的に再考すること、「ファッションを通じて何を問うのか?」が改めて重要になってくるという。

speakerdeck.com

議論

フリーディスカッションでは、発表内容をきっかけとしながら、それぞれがそれぞれの問題意識を話し合う姿が見られた。私自身も参加者の話を聞く中で職種などのバックグランドは大きく異なるという印象を抱いたが、普段交わることのない他者同士が議論できるのは貴重と感じた。SocSciではこれからもそのような場を提供していくつもりである。

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ご登壇いただいたスピーカーの方々、ならびにイベントに応募・参加していただいた方々に、今一度感謝申し上げます。

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