こんにちは。UXリサーチセンターの林です。
プレスリリースを発表しましたが、昨年からの準備期間を経て、6月よりプロダクト横断でUXリサーチを行う組織を立ち上げました。BtoBプロダクトを主軸とする企業でUXリサーチ専門の組織を持つのは比較的珍しいかと思いますので、どんな経緯でどんな特徴を持った組織を立ち上げたのかご紹介したいと思います。
UXリサーチとは?
UXは語る人の立場等も含めて、その定義にゆらぎのある言葉ですが、社内機能としての我々の役割を反映したUXリサーチの定義として下記を定めています。
(本当に価値あるものをユーザーに提供し続けるために)
定量・定性の両側面から専門性を持って、客観的な視点・中立的な立場から、ユーザーが置かれている状況、文脈において、ユーザーがどう思考し行動するのかを理解し、プロダクトの意思決定を支援する
まず、ユーザー体験自体は必ずしもプロダクトに限定された話ではありませんが、後述するように、提供するプロダクトの増加に対応することが新組織の設立目的でもあるため、現時点ではプロダクトに関わるユーザー体験にフォーカスしたリサーチを中心に行なっています。現在Sansanでは複数のプロダクトを提供していますが、プロダクトごとに1~複数人のPdMが担当しています。PdMの仕事は多岐に渡りますが、最も重要な仕事の一つにユーザーの課題やニーズを理解し、使いやすいソリューションを提供することがあります。特にSansanでは、これまでにない新たな市場を切り開くようなサービスを提供しようとしてきたため、ユーザーの課題の芯を捉え、初めて触れるソリューションでもわかりやすい物を提供することが非常に重要になってきます。そういった、PdMがプロダクト上で行うユーザーに関わる意思決定を支援するために、ユーザーに対するインタビューやアンケート、ログ解析等を行っています。
なぜ専門組織?
今回新たに専門組織として立ち上げましたが、元々Sansanでは、実際にユーザーと対話し、ユーザーを理解することで本質的な価値を届けようという活動は、当たり前のこととして行われてきました。ではなぜこのタイミングに新組織を立ち上げたかと言うと、一つに出会いからイノベーションを生み出すというミッションを推し進め、ユーザーに多角的な価値を届けるため、複数のプロダクトを提供し始めている背景があります。創業初期からのSansan、Eightに加え、最近ではリリース後好評をいただいているクラウド請求書受領サービスのBillOne等、複数のプロダクトの計画、提供を開始しています。成長のフェーズが違うそれぞれのプロダクトのPdMにリサーチによる意思決定の支援を提供すること、そしてこれからも増えていくと予想される多くのプロダクトにもリサーチ機能を提供するため、プロダクト横断のリサーチ組織を立ち上げました。
また、専門組織にすることで、リサーチ経験やナレッジの蓄積、手法の高度化やプロセスの最適化、メンバーへの教育体制の構築等を通して機能性を高めることや、プロダクト外の組織であることから、より中立的な立場から意思決定の支援ができる等のメリットもあると考えています。
定量・定性どちらのリサーチも重視
UXリサーチというと、インタビュー等、定性調査のイメージを持たれる方もいるかと思いますが、アンケート等の定量手法はもちろん、ログ解析も含め、より定量的な側面からのユーザー理解、意思決定支援にも力を入れていくため、UXリサーチセンター内にはデータアナリストも所属しています(プロダクトによっては、我々と別に、そのプロダクト専属のデータアナリストチームも存在します)。もともと立ち上げ準備段階のチームの母体が、データアナリスト中心のチームで、そこから定性的な側面を強めてきた経緯もあるのですが、ユーザーへの価値提供に真摯に向き合うと、定量・定性、どちらかだけのリサーチではなく、組み合わせていく必要性を強く感じていました。そのため、新組織では定量・定性どちらにも力を入れ、よりユーザーを理解し、価値を提供できる体制を構築しています。近年UXリサーチに力を入れている海外企業では、その役割分担が進んできていることもあり、定量分析に強いUXリサーチャーの求人も増えてきています。定量も定性もバランスよく活用していく流れは今後ますます強まっていくのではないでしょうか。
さいごに
今回、UXリサーチセンターの設立目的や特徴の概要をご紹介しました。今後、リサーチの実査や、他の組織との関わり方等、より具体的な取り組み内容もこちらのブログで発信していきたいと考えています。まだ日本では馴染みの薄い職種ですのでご参考になれば幸いです。