Sansan Tech Blog

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Eightのデータ分析チームのお仕事

こんにちは。Eight事業部でデータアナリストをしている林田です。
今回はEightのデータ分析チームの仕事と働き方について書いてみようと思います。

データ分析チームの仕事って?

Eightのデータ分析チームのミッションは「Eightが保有するあらゆるデータを活用して、プロダクト開発とビジネス開発をドライブすることで、Eight事業部のグロースのスピードと質を上げていくこと」です。

これだけだとやや抽象的ですが、要は事業のグロースにデータで寄与できるのであれば何でもするということです。メンバーはそれぞれが担当するサービス領域を持ち、そのサービスの開発、マーケティング、営業等の活動に主体的に関わります。担当領域のグロースにどう関わるかは個人の裁量に任せられています。主な業務は下記の通りです。

  • PMと組んで施策の企画、効果測定、振り返りをする
  • エンジニアと新規テーブルやログの設計を行う
  • マーケターの追うKPIやファネルを可視化する
  • 営業資料の元となるデータを集計する
  • CS(カスタマーサクセス)業務のためのダッシュボードを作成する
  • 有志にSQLをレクチャーする

今回は1つ1つを詳細に語ることは避けますが、データに関わる幅広い業務をカバーしていることが伝わるでしょうか?

担当領域制は1人でカバーすべき業務範囲が広くて大変なことも多いですが、その分深いドメイン知識とたくさんのインサイトが得られます。サービスの理解が分析や考察の質に直結すると言っても過言ではないため、これらのメリットは何物にも代えがたいと感じます。

データ分析チームの働き方

担当領域が「縦」に通る働き方の軸だとするならば、これに直交するのがチームとしての「横」の連携です。担当領域での裁量の高い働き方はなるべく生かしつつ、タスクがキャパシティを超えたり難易度の高い課題にぶつかったりしたときにはチームで協力し合うような働き方を目指しています。タスクの定量評価とコミュニケーションの設計の2点からご紹介したいと思います。

タスクの定量評価

これについてはRettyさんのデータ分析チームの影響を強く受けています(とても参考にさせて頂いています。ありがとうございます!)。具体的にはタスクに対してポイント(工数)とベネフィット(発揮できた価値)をラベルづけして、事業に貢献できた度合を計測しています。タスクの管理はスプレッドシートを使用しており、ポイントとベネフィットは次のような選択肢からプルダウンで選べるようにしています。

  • ポイント
    • 1: 5分~1時間以内(瞬殺)
    • 2: 2時間以内(楽勝)
    • 3: 3時間以内(ちょっとかかるが何をやるかが明確)
    • 5: 5時間以上(案件の内容が抽象度高く、難易度が高い案件)
  • ベネフィット
    • 0:ミッションと関係がない作業だった
    • 1:リスト抽出しただけ
    • 2:現状把握に役立ったが、意思決定には寄与していない
    • 3:仕様や施策の意思決定に寄与した
    • 5:部門OKRレベルの意思決定に寄与した
    • 10:事業部OKRレベルの意思決定に寄与した
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ポイントとベネフィットの例

ベネフィットは重要な意思決定に関与するほど高くなるように傾斜をつけてあります。厳密な判断基準のある物差しではないので判断が難しい場面もありますが、迷ったら他のメンバーに相談するというシンプルな手法で十分解決できています。導入後2週間は相談がちょくちょく起きていましたが、その過程で共通認識が形成され、今では殆ど悩まずに同じような基準で判断できていると感じます。

これによって、週ごとの対応完了数や、コストパフォーマンス(稼働した工数に対してどれだけの価値を発揮できているか)を定量評価することが可能になります。

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定量評価の例

上記の他にはメンバーごと、依頼目的ごとなどの単位でもポイントを集計しています。以前は対応完了数しか計測していなかったのですが、ポイントとベネフィットを計測するようになってからチームの状態をより正確に把握できるようになりました。

コミュニケーションの設計

ここはスクラム開発のプラクティスを参考にしています。元々Eightの各開発チームがスクラム開発を行っており、そこからデータ分析チームにも活かせる部分を取り入れました。現在は下記のイベントを実施しています。

  • 夕会:毎日夕方にその日できたこと、できなかったことを報告します。お互いの取り組んでいるタスクをざっくり把握することができます。何か課題に直面している場合はこの場で検知できるので、解決に向けて早期に協力することができます。デイリースクラムに相当します。
  • レトロスペクティブ:毎週金曜に1週間を振り返ります。対応したタスクの総ポイントや総ベネフィットを確認するほか、働き方に改善できることがないかを議論します。もし改善できることがあれば優先度を決めて新たなタスクとして追加します。
  • プランニング:毎週月曜日にその週に進めるタスクの合意と担当のアサインを行います。それぞれの担当領域のタスクは誰がやるべきかが明らかなので、この場で扱うのはチームとして詰んでいる改善タスクのみです。

とくに重要なのはチームの状態を定量的に評価し、改善策を考えるレトロスペクティブです。少人数のチームで広い業務範囲をカバーするためには、自分たちの働き方についてもデータに基づいた意思決定でパフォーマンスを改善し続けることが欠かせないと考えています。

この場で提起されて改善に至った課題の例としては「同じようなデータ抽出依頼が頻発してデータ分析を行う時間が圧迫されていたので、SQLテンプレートを配布して依頼者自身で欲しいデータを抽出できるようにした」「メンバー間のSQLレビューに時間がかかっていたため、コーディングガイドラインを整備してSQLの可読性を上げた」等があります。

データ分析チームのこれから

データ分析チームが昨年末に組成されてから早くも4クオーター目に突入しました。事業部内での認知はそれなりに得られ、データを用いた意思決定プロセスやチームとしての働き方もだんだん固まってきました。チームとしても1人のデータアナリストとしても、成長の実感を得やすくとてもやりがいのあるフェーズだと感じます。今後はデータを元に意思決定する文化を更に広めつつ、より多くの人がより簡単に分析できるデータ基盤の整備にも挑んでいきたいと思っています。



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