はじめに
はじめまして。技術本部 Sansan Engineering Unit Data Hubグループの今村です。
みなさんはインプットをどのようにアウトプットしているでしょうか?もちろん業務が1番のアウトプットの場であることは間違いありません。しかし、私たちのチームでは次のような問題意識がありました。
- そうは言ってもまだまだアウトプットが足りない
- アウトプットの場が業務だけだと、学んだことが実際に使われなかった場合、偏りが生じる
- 学んだ知識がプロジェクトを担当したメンバーだけに閉じてしまってチーム全体に広がらない
以上の問題を解決するために、私たちは「Learning Session」という形で、チームが学びをアウトプットをしやすい場を設けています。
今回はその Learning Session について書きます。
Learning Session とは?
Learning Session はチーム内で学んだことや学びたいことを共有し合う場です。
ポイントは取り組みのハードルを極力低くすること。
リラックスした雰囲気で、特に準備や成果を求めないことを原則として設けることで、アウトプットする習慣を醸成しつつ、チームの知識レベル向上を目指します。
また、所属チームメンバーだけではなくグループメンバーが自由に参加できる形式で開催しており、他チームとの交流の場にもなっています。
開催形式
開催形式は次の通りです。
- 週に1回
- 時間は30分
- 参加者は自チームメンバー + グループ全員が自由に参加可能
- Teamflow というバーチャルオフィスで誰でもウェルカムスタンスで実施(後述)
どんな内容でセッションしているのか?
プロジェクトで得た知見や技術トピックをチームに還元することを想定し、内容はライトなものからヘビーなものまでさまざまです。
ライトな内容の例としては、「最近見つけた社内ドキュメントをシェアする」や「社内システムのコードをさんぽする」などがあります。最近のライトな話題で言えば、Azure が提供する Blob Storage というストレージサービスには3種類あるといった基本的な知識を、公式ドキュメントをまとめて発表してくれたりしました。
一方、ヘビーな内容としては、開発中に苦労した箇所をドキュメントにまとめ、それを議論するなどがあります。直近だと、Azure が提供する SDK に不具合があることを発見した内容を共有してれました。
その内容は、こちらのブログにまとめてくれています。
30分の中で複数のトピックを扱うこともあれば、参加者間で議論が白熱し、1つのトピックだけで会が終わることもあります。
よくでてくるトピックは次のようにまとめられます。
- 社外記事(扱っている技術の公式ドキュメント含む)について議論する
- ミスをポストモーテム的に共有する
- 調査で使用したスクリプトやクエリを共有する
- 社内システムの仕様を確認する
工夫していること
取り組みのハードルを下げ、アウトプットや参加のしやすさを重視しています。
その工夫のひとつとして、Slackのリアク字チャンネラーアプリを使用しています。このアプリは、あらかじめ決めたリアクションスタンプを押した Slack ポストを特定のチャンネルに自動転送するアプリです。
「これはチームに共有するとタメになりそう」や「気になるけど今は時間がない。でも、後でみんなと話したい」といったトピックにリアクションさえつければ、即時 Learning Session 専用チャンネルへ投稿されるようにしています。
「自分が学んだ内容じゃないけど、このトピックはぜひ共有してほしい」と他人からリアクションを押されることもしばしばあります。
指先1つでトピックの提示ができるのでさまざまなレベルのトピックを扱えています。
ちなみに使うリアクションは自由に設定できます。私たちが麦わら帽子を使っているのは、チームメンバーの好きなマンガが『ONE PIECE』だったからです。
また、Google Meet や Zoom ではなく Teamflow というバーチャルオフィスを利用しています。開放的な空間で途中参加、退出も自由というカタチでやっているので、他のチームのメンバーも時間に余裕があるときや興味深いトピックについて話しているときに気軽に参加してくれるようになりました。
Data Hub での Teamflow 活用の様子は次の記事で紹介しています。
やってみた感想
やってみて大きな効果だなと感じるのは、自然と「知識に対するアンテナが立つ」ことです。
必要な技術をキャッチアップする際も、「これは Learning Session で共有したら面白そうだ」という視点で自分の中で体系立てて理解し、まとめることをより意識するようになりました。
「インプットするときはアウトプットを前提にするとよい」というのは知的生産の文脈でよく語られるテクニックです。
Learning Session を行うことで、チーム全体でそれを自然に実践できるようになってきた手応えがあります。