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NPS®をプロダクト改善に活かす

こんにちは、SansanでCPOとしてプロダクトの責任者をやっている大津です。

みなさん、NPS®ってご存知ですか?
NPS®はNet Promoter Score(ネットプロモータースコア)の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。

弊社では今年からNPS®をプロダクト改善に活かす取り組みを本格的に始めています。今回はこの取り組みについて少しご紹介したいと思います。

NPSをプロダクト改善に活かすコツはリレーショナル調査

多くの企業が、NPSと向き合った結果、NPSのスコア結果だけを定点観測するに留まってしまい打ち手につながらないという課題にぶつかります。

ここで重要なことは、NPSの増減がプロダクトのどの機能の満足性や提供価値と関係しているのかを紐解くことです。
これを紐解くためにオススメしたいのが、NPS調査と同時に「リレーショナル調査」も実施することです。リレーショナル調査とは、どんな要素がNPSへの貢献度が高いかをチェックする調査です。

理解を深めるために具体的な例を挙げます。

弊社が提供している個人向け名刺アプリEightでは、いくつかのメイン機能が存在しますが、例として話をわかりやすくするために、以下2点のみをプロダクト内のメイン機能と考えてリレーショナル調査を設計してみます。

  • 名刺を撮影してデータ化する
  • データ化した名刺情報を検索、閲覧する

NPSのメイン設問である以下設問の後に、

Q1:個人向け名刺アプリEightを同僚や友人に薦める可能性はどのくらいありますか?
A:0~10

リレーショナル調査として以下のような設問を用意します。

Q2:Eightの以下機能について満足度を教えてください
Q2-1:名刺を撮影してデータ化する
 A2-1:0~10
Q2-2:データ化した名刺情報を検索、閲覧する
 A2-2:0~10

この結果、NPSとして0~10のどのあたりにつけた人が、各機能にどれだけ満足しているかが確認できます。

もし、NPSを高くつける人は「名刺を撮影してデータ化する」満足度が高く、NPSを低くつける人はこの満足度が低い関係にあった場合、この機能はNPSへの貢献度が高い機能と言えます。
つまり、もし調査を通してこの事実とともに「この機能の満足度が平均的に低い」という事実が発覚した場合、この機能を強化することがNPSを高めていく打ち手となります。逆に貢献度が低いのであれば、満足度平均が低いからといって改善すればNPSが改善するかというとそうでもありません。

つまり図にするとこのような4象限に分けることができ、改善着手すべき機能が一目瞭然となります。

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いかがですか?
これなら打ち手につながるNPS調査が実施できると感じませんか?

リレーショナル調査を実施する際の注意点

リレーショナル調査を実施する際には以下の3点を注意する必要があります。

  • 回答者が質問されている対象機能を認識できるよう配慮する
  • 回答者が実際に機能を利用しているかどうかを確認する
  • 価格やサポートサービスなど、プロダクト内の機能以外の要素についても質問する

一つ目、「回答者が質問されている対象機能を認識できるよう配慮する」ためには、シンプルに質問を洗練することが重要です。
例えば、「名刺を撮影する」という機能について満足ですか? と聞いた場合、回答者によっては、「撮影するカメラ機能のみを指しているのかな? それともその後のデータ化が正確にされるかも含んでいるのかな?」と悩んでしまいます。
悩まないにしても、こちらの意図がデータ化まで含んでいたとしたなら、カメラ機能だけを想起して満足度を答えた回答者がいた場合ノイズになります。
そのため、質問を受けた側がどの機能を指したものと認識するかを、丁寧に確認しながら質問を練り上げることをオススメします。具体的には、周りの同僚や家族に質問を見せ、違和感なく答えられるか、認識の齟齬がないかを簡易的にテストする手法がオススメです。

二つ目、「回答者が実際に機能を利用しているかどうかを確認する」ですが、これはなぜ必要かというと、人によっては使ったこともない機能に対して適当に回答をしてしまうことがあるからです。
これを許してしまうと回答にノイズが混じり、正確な状況把握ができなくなります。
防ぐ方法は2つで、サービスの利用ログと突き合わせる方法と利用経験の有無を質問で聞いてしまう方法です。
もしアンケート配信ツールなどを利用している場合、配信対象のサービス利用ログを参照して、使ったことがある機能についてのみ満足度を聞くことをオススメします。答える側にとっても、使ったことのない機能について質問されることがないので、質問総数が少なくなって回答する際のストレスも軽減されます。この形であれば正確な調査が可能ですよね。

しかし、このような調査方法は専用のツールを利用する必要があるなど、実現環境が限られます。よって、完璧な対策とは言えませんが、より簡易な方法として「利用経験の有無を質問で聞いてしまう」のも手です。

満足度を聞く前に、『Q:以下の機能のうち、利用経験のあるものを全て選んでください』といった質問を用意し、リレーショナル調査をしたい対象機能を羅列します。その上で、利用したことがある、と選ばれたものに対してのみ満足度の質問を表示するのです。
もちろんこの形でも利用経験について虚偽の回答は一定免れないのですが、対策しなかったケースと比べると格段にノイズが薄まります。

最後に三つ目、「価格やサポートサービスなど、プロダクト内の機能以外の要素についても質問する」ことをオススメします。
プロダクトと向き合う専用メンバーがNPSに向き合うケースでよくあることのですが、プロダクトに関するNPSにはプロダクト内の機能のみが関係していると思い込みがちです。
プロダクト利用者からすると「価格が高いか安いか」「サポート対応が良いかどうか」「会社やブランドへのイメージが良いかどうか」といった話もプロダクトと向き合う上で影響していることが多く、これらも総合的に評価した上でNPSを回答している可能性が高いです。
そのため、満足度を聞く対象はプロダクト内の機能だけに留めず、上記のような要素も同時に聞くことをオススメします。もしかすると機能的な不満は全くないのにサポート品質や価格を問題としてNPSが低くなっているかもしれません。

さいごに

以上、弊社が取り組むNPS®を使ったプロダクト改善から得た知見の共有でした。
弊社はこれからもこのように様々な手法を用いながら、出来るだけ細やかにユーザの声を拾い上げ、EightもSansanもより良いプロダクトとなるよう努めてまいります。

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