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エンジニアキャリア論(エンジニア type 対談後記)

CTO の 藤倉 です。

エムスリー株式会社で VPoE をされている山崎さんとエンジニアのキャリアについて対談させていただいた記事が、エンジニア type さんで先日公開されました。この企画の裏側や、記事の中では伝えきれなかったことについて書いてみたいと思います。

type.jp

そもそもこの対談企画、山崎さんと「一緒に何かやりたいですねー」という軽めのノリで始まっています。山崎さんとはここ一年くらいの間でお会いする機会が何度かあり、お互いに考えが一致するところもあって意気投合しました。エムスリーさんは医療系の SaaS ビジネスを展開されており、ビジネス向け SaaS を提供する Sansan とは雰囲気が似ているところがあります。特に、エンジニアの採用や育成という部分では共通することが多い。そんな会話をしている中で、企画が立ち上がっていったのでした。

私は 20 年以上の間、ソフトウェアのエンジニアをしています。そんな私がこれまでに経験したり、考えたりしたことをお伝えできれば、同じようなことで悩む人が少しでも減るのではないかという想いもありました。

エンジニアのキャリア

日本でソフトウェアエンジニアという職種が生まれて、まだ数十年しか経っていません。我々のような自社サービスを開発するエンジニアという役割も最近になって確立されてきた感があります。そのため、私にとってもロールモデルと呼べるような先人達は多くはなく、皆手探りです。さらには、ゲーム業界で働くソフトウェアエンジニア、SI 業界のエンジニア、自社サービス開発のエンジニアは、プログラミングという行為は同じでも、それぞれに文化も違うし、求められる能力も、開発プロセスも全く異なります。業界の外から見たときに、そこで生きていくことが想像しにくいということも、キャリアに悩む一因になっているように思います。

分岐点の謎

記事では、20 代後半のエンジニア、これから 30 代を迎える人を想像しながらお話をしましたが、そもそもなぜ 30 代になるころにキャリアの選択が求められるのでしょう?

私は、組織で求められる能力と、それまでに培ってきた経験のすり合わせが必要な時期になってくるからなのだと思っています。

20 代で社会人を始めると、みんなが成長の余地をたくさん持っています。キャリアの選択肢は無限にも思えます。最初は、与えられる仕事はどれも初めてのことが多く、何かをやるたびに知識や経験を得て成長していきます。そして、30 歳を迎える頃には、自分の得意分野が朧げながら見えてくるようになります。一方で、組織内での立場も若手から中堅へと変わり、期待されるレベルも相応に上がっていきます。このとき、組織で期待されるレベルで成果を出せる領域というのが、自分の得意分野に限定されていくわけです。苦手なことや経験が多くない分野では、組織の期待には応えられないということですね。ただし、30 歳の頃には、努力次第ではまだ挽回することも可能です。ここで、経験上はプロジェクトのマネジメントが得意な気がするという感覚、エンジニアとして最前線に居続けたいという欲求、今なら挽回できるかもしれないという希望などが相まって、悩みが生まれるのだろうと思います。

キャリアという路

さらに悩ましいのは、自分のキャリアは自分の意思だけでは決定されないということです。それどころか、自分のスキルですら自分の思いとは別のところで発達したりもするから厄介です。

組織で働く以上は、期待される役割を全うする義務があります。多くの場合は、自分ができることと、組織が必要としていることが重なる部分で成果を出すことが期待されます。それが、自分のやりたいこととも重なっていればとても幸せですが、そうでないこともあります。それは悲観的なものばかりではなく、意外とやってみたら面白くて、新たな自分の発見に繋がったりするということもありますが。

つまり、キャリアというものは、自身の力で構築していくものというよりは、結果としてついてくるものだと思うのです。自分の意思や希望、時に偶然の出会いなどを経て紡がれていくものではないかと。

抽象度を上げてみる

キャリアがそういうものだったとしても、やはり自分が望まないことはやりたくはないものです。そこで私がお薦めしたいのは(記事の中でお話ししているのは)、もっと究極的に自分のやりたいことを見据えてみる方法です。エンジニアとしてコードを書くのか、プロジェクトマネジメントをするのか、マネージャをするのかということですら手段の一つと言えるような抽象度です。そうすれば、目の前の選択が大きな問題ではなくなり、頭を悩ますことが少なくなります。

この方法の欠点は、それを見つけることがすごく難しいということです。身も蓋もありませんけれども。しかしながら、難しいと言えども不可能だとは思いません。究極的な自分のやりたいことですから、見定めるのにも時間がかかると思います。それでも、自分は一体何がしたいのか、どういう状態だったら幸せなのかを考えて、言語化してみることで、日々の悩みが少しづつクリアになっていくと思います。また、このレベルのやりたいことも、時間の経過とともに変化します。人との出会いや気づき、偶然の発見などがきっかけになることがあります。そうしたら、またその変化を言語化するように試みます。そうして、常に自分のやりたいこと、根源的な欲求を把握できるようになれば、キャリアの悩みとは無縁の生活が送れます。

これは個人の感想であり、私の持論です。ですが、もしキャリアに悩んでいて答えが見つからないという方は、一度お試しいただければと思います。

この後の企画

本当は対談の中で話したかったことはまだまだたくさんありますが、時間や紙面の都合上、話しきれませんでした。これは山崎さんも同様のようで、対談の続きをやろうということになりました。エムスリーさんと Sansan の合同イベントとして企画しています。対談の中では話せなかったことや、記事を読んでいただいた方々からのご質問に答えられるようなイベントにしたいと考えています。

これからのキャリアについてのヒントを探している方は、ぜひご参加ください。

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