Sansan Tech Blog

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Discord を使って作る簡単バーチャルオフィス〜実例もあるよ〜

Sansan事業部プロダクト開発部 Data Hub プロダクトグループの宮崎です。

最近の趣味は筋トレです。なかやまきんに君の動画にドはまりしています。

今日は Discord を使ってバーチャルオフィスを作ってみたという話をしたいと思います。

え?二番煎じ? 知ってた でも案外とあるツールが

他の組織でどのように使われてるかって興味ありませんか?

「こういう使い方もあるんだ」という感じで参考にしていただければと思います。

Discord とは

色々なところで紹介記事が出ているので、詳細は引用先に譲りますが

簡単に言ってしまうとゲームに特化したチャットサービスです。

app.famitsu.com

バーチャルオフィスの変遷

まず、はじめに当グループのバーチャルオフィス(的な何か)の変遷を簡単にご紹介します。

大体以下のような感じでした。

=> コロナ禍が始まり、3月下旬からメンバー全員(当時 10名)が在宅勤務にシフト

=> コミュニケーションがとりにくくなったのでオンライン上のたまり場(常時接続)を作るために Google Meet をとりあえず使い始める

=> CPU 使用率が高すぎて常時接続がつらい状況になる

=> 4月後半頃から CPU にやさしい Zoom に引っ越し

=> 5月から9月上旬 Zoom でしばらく頑張るが、困ったことが増え、さらに引っ越し先を探す

=> 9月中旬 Discord に再引っ越し

約 4ヶ月ほど Zoom で運用し続けたのですが…何に困って引っ越しを決意したか、この後さらに詳しく掘り下げます。

Zoom を使っていた時に困ったこと

Zoom を使用し始めた当初は問題だった CPU 使用率が改善されたこともあり

快適に使っていたのですが、日が経つにつれて以下の問題が出始めました。

部屋が足りない問題

大きなプロジェクトが並行して走るようになってから「プロジェクトに関わるメンバーだけで相談をしたい」という場面が増えました。

それに対して Zoom 上で作れる部屋は原則一つだけ*1です

ブレイクアウトセッションを使えば確かに部屋は増やせるのですが、部屋を作る権限はホストにしかないので、メンバーが自由に部屋を作ることができません。

それに業務を終えて全員が接続を切ってしまうと、せっかく作った部屋が消滅してしまうので、その点でも解決策としては不十分でした。

打ち合わせの度に別のツールを使うのめんどくさい問題

Zoom を使い始めたあたりから

  • メンバーのたまり場 => Zoom
  • MTG や本番環境での作業のためのダブルチェック => 都度 Google Meet で URL を発行

とやっていたのですが「都度 URL を発行」というのが地味にめんどくさく

時間の経過と共にメンバーから不満の声が上がり始めました。

話しかけにくすぎ問題

全員が1部屋に集まっているので、何かあれば話しかけてアドバイスを求められて便利じゃん。

…と最初は思っていたのですが

「人数が多すぎて話かけるのを躊躇してしまう」という声がメンバーから出始めました。

さらに加えて「話しかける対象の人が今、話せる状態なのか一見してわからない」と言う声もありました。

かく言う自分もいつの間にか「緊急時以外は話しかけるのめんどくさい」と思うようになっていました。

これらの不満を解消するためには?

上がった不満を分析してみた結果、要するに

  • 「リアルオフィスの MTG ルームと同じ感覚で使える永続化された部屋が欲しい」
  • 「用途別に使える永続化された部屋も欲しい」
  • 「各人の状態(話しかけていいかどうか、今何をしているか)がぱっとわかるようにしたい」

と言うことだとわかり、そんなサービスがあれば引っ越しをしたいと思うようになりました。

何度かメンバーと話し合った結果、白羽の矢が立ったのが Discord でした。

部屋割り

若干の社内調整を行い Discord を使う許可を得て、9月中旬頃から使い始めました。

試行錯誤をした結果、今は以下のような部屋割で落ち着いています

Discord の部屋割り

ワークルーム

リアルオフィスの自席があるエリアと同じ感覚で使う部屋。

始業時と終業時はここで全員集まり、短時間の MTG を行っています。

コーヒーマシン

リアルオフィスにコーヒーマシンがあり、そこでよく雑談が発生していたので

それをバーチャルオフィスでも再現したいと思い作った部屋。

ここでランチミーティングや、読書会が開かれたりもします。

食堂

今、ご飯を食べていることを意思表示する部屋。

在宅勤務をしていると12時きっかりに昼食をとるとは限らないので

こうやって意思表示できるのが意外と便利だと感じてます。

夜間対応中は「ちょっと晩飯(夜食)食ってきます」の意思表示にも使われています。

ダブルチェック部屋(2部屋)

弊部および弊グループでは本番環境にあるリソースに対する変更作業は

必ず複数人でダブルチェックすることになっています。

「DB に Update 文発行したいんで Wチェック-1 に来てください」

みたいなやり取りがよく Slack 上で行われています。

MTG ルーム(3部屋)

リアルオフィスの会議室とほぼ同じです。

いちいち URL を発行する必要なく、ワンクリックで移動ができるので

気軽に MTG ができるようになり、その結果コミュニケーションの量も Zoom 時代より上がりました。

PdM/LE 相談室

PdM(プロダクトマネージャー) と LE(リードエンジニア)が

プロダクトの新機能、改修などの相談をする専用スペースです。

この部屋を使って MTG を日次で短時間(15分)で行っています。

MTG ルームでもよかったのですが、場所を別にした方が気合も入るということで作ってみました。

各プロジェクトルーム

プロジェクトメンバーが集まって、必要に応じて朝会、夕会をしたり、相談事をする専用スペースです。

ここで相談をしていると他のプロジェクトメンバーも話を聞けるので、助言がもらえたりして案外捗ります。

精神と時の部屋

元ネタはもはや私が解説するまでもないでしょう。

「作業に集中したいんで緊急時以外話しかけないでください」

という意思表示をするための部屋です。

この部屋を使うと仕事は捗りますが、プロジェクトの遅延を2年分取り戻せたりはしません。

別の空間で会議中

「会議中なので原則レスポンスできない」ことを意思表示するための部屋。

グループマネージャーの誤爆防止個室

グループマネージャーは立場上メンバーの耳に入れられないことを

偉い人たちと話す機会があるので

万が一にも誤爆をしないようにと予防目的で作りました。

よく利用されているところを見ると、グループマネージャーはこの個室に満足しているようです*2

その他利用上のルールとして決めたこと

部屋割りを決めて、しばらく運用をしていると

「うっかりミュートを忘れて生活音を垂れ流す」という事件*3が稀によく発生するようになりました。

それに対して最初は Slack 上で「ミュートを忘れてるで」とメンションしていたのですが

それにも気づかず、そのまま垂れ流し続ける…ということもしばしばでした。

この問題に対して「ミュートになっていない人をコーヒーマシンにワープさせる*4

というルールを決め運用することにしました。

Slack でメッセージ出すよりも簡単に解決でき、指摘される側も(名指しされるよりは)恥ずかしくないので結構ワークしています。

Discord の使いごこち

やや私やメンバーの主観が入りますが、以下のように感じています。

部屋の管理

これは想定通りで、必要に応じて部屋割りを考え、用意することができるので本当に便利だと感じてます。

音声通話

遅延や音質が気になったことはほとんどありません。

ただ、無料プランで使っていた時は音声が途切れる、そもそも音声接続できないなど

トラブルが稀によく発生していました。

今は Lv1 のサーバーブースト*5をして概ね解消できています。

画面共有

無料プランだと 720p/30fps なので解像度の高いモニター(4Kとか)で

さらに Visual Studio を全画面にした状態で画面共有でコードレビュー

…なんてことをするとかなり辛いです。

でも裏を返すと Full HD のノート PC の画面を共有をする分にはそれほどツラみはありません。

ただもっと快適に使うには Lv2 のサーバーブーストを行って

1080p/60fps での画面共有ができるようにした方が良いかもと思い始めています。

常時接続した際の負荷

現在弊グループには13人のメンバーがいるのですが、全員がカメラをオンにすると

CPU 使用率が 100 %近く*6に達してしまいます。

恐らく Discord のアプリの中で映像をエンコードしてしているせいだと思うのですが

多人数でカメラオンの MTG をする際に結構ネックになります。

そのため Zoom を利用していた時は基本的にカメラを常時オンにしていたのですが

今はカメラは必要な時だけオンにするようにしています。

最後に

まだまだ使い方に改善の余地があると感じてはいるものの

今のところは結構いい感じかなと思っています。

この記事が在宅勤務のメンバーとのコミュニケーションに課題を感じている方々にとって少しでも役に立てば幸いです。


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*1:Zoom の仕様(ウェビナーツール)を考えれば当然なのですが…

*2:本人に聞いたことはないですが

*3:常習犯の一人は私

*4:寝落ち対策の記事ですが、問題意識はほぼ同じ https://loumo.jp/archives/15015#i-2

*5:いわゆる課金 https://support.discord.com/hc/ja/articles/360028038352-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88-

*6:Core™ i7-8650U の場合

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