Sansan Tech Blog

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【組織の道も一歩から】vol.1 プロダクト開発における「組織デザイン」の仕事とは?

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こんにちは。Sansan事業部プロダクト開発部の平松です。

実は、Sansanのプロダクト開発部には、組織運営を専門にしている「組織デザイングループ」というグループが存在していて、私はそのグループに所属しています。開発組織の中に組織運営を専門にする部隊がいるというのは、もしかしたら少し珍しいかもしれません。

活動を初めて1年ちょっとになるのですが、部門のパフォーマンスを最大化するために、組織的な観点からアプローチする取り組みを行っています。今回は私達がどんな活動を行っているかの紹介と、その活動の中で記事を読んでくださる方々のヒントになるようなものが提供できればと思っています。

組織デザイングループは組織拡大の流れの中で生まれた

会社一の大所帯

組織デザイングループが所属するプロダクト開発部はSansanを開発している部門です。ミッションは「プロダクトの価値向上」で、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなど多くのメンバーが在籍しています。

グループを立ち上げた2019年5月当時、プロダクト開発部は部長配下の約90名で一つの大きなグループとして活動していました*1。情報の伝達やメンバー育成・評価などに課題が見え始め、今後拡大していく組織を構造化していく必要性を感じていました。

組織的な観点から部門に関わり部長と同じ目線で動く

そこで大きく組織体制を変更したのですが、その時、部長の補佐として組織運営をすることになったのが組織デザイングループです。立ち上げ当時は、部長が注意を向ける組織マネジメントの中でも特に、採用、育成、コミュニケーションの活性、ナレッジ・マネジメント、部門運営体制の構築などを担当し、組織の状態に対する部長の視野を補完しながら活動を始めました。

去年末に採用や育成を担当するもう1つのグループと分かれましたが、活動期間は1年3ヶ月ほどになりました。担当する分野が定性的で形がないものが多く、立ち上げ当初は何を目指してやっていけば良いのか、自分たちでも手探り状態で大変でした。今も大変さは変わらないのですが、いろいろな取り組みをする中で、徐々にグループとして成果を出せる状態になってきています。

メンバーは現場のエンジニアや部門アシスタントも

現在のメンバーは7名。開発業務と兼務でエンジニアメンバー*2もグループに所属しています。課題を肌で感じているメンバーがいることが組織デザイングループの強みでもあり、より現場の状況にフィットする活動ができると考えています。

部内には庶務業務をやってくれるメンバーもいるのですが、グループに所属してもらって運営業務の効率化などにも向き合っています。

長い目で見て効果が出るもの、それが組織デザインの仕事

今期のグループのテーマを「新しい環境下におけるコラボレーションの改善」としています。withコロナの状況において、部門として先手を打つべきところを考え、施策を実施しています。

取り組んでいる施策は、短期的に見て結果が出るものは正直少なく、そこが取り組む難しさでもあるのですが、長期的に見ると、部門にとって必ず良いものをもたらす活動であると信じて、メンバー全員で取り組んでいます。

withコロナにおける部内のコミュニケーション促進

大きな部門なので、ただでさえチームやプロジェクトのメンバー以外とは交流の機会が少なくなりがちなのですが、加えて現在全社的なリモート勤務も実施しているので、業務以外のコミュニケーションが取りづらい状態になっています。個々人の人柄が分かると、業務のコミュニケーションもスムーズになると考えているのですが、雑談は人柄を知るのに良い機会だと思うので、力を入れて取り組みたい施策です。

各開発チームで創意工夫しているケースもありますが、チームを越えたコミュニケーションを促進するため、以下のようなことを行っています。

  • オンライン飲み会開催*3
  • 雑談チャンネルを用意*4
  • コミュニケーションツールの検証*5
組織デザイングループバックログ
Hallwayでの雑談模様です

ドキュメントの整備と内容を最新に保つ仕組みづくり

開発を進める上で必要な情報は今までもドキュメント化してきましたが、情報の鮮度は未だ課題の一つです。また、去年から外国籍のメンバーが続々と入社してきており、日本語一辺倒だったドキュメントの英語化が必要になりました。認識のずれを解消したり、情報を共有しやすくするという点でドキュメントは有用です。リモートワークでドキュメントの重要性が増している中、以下のようなことを行っています。

  • 蓄積されているドキュメントから古い情報を皆で見つける企画を実施
  • 必要なドキュメントの英語化と日英訳での同時更新の意識付け

Slackを利用した定型業務の効率化

Sansanでは今年の6月から全社的にSlackを導入しました。プロダクト開発部では以前からSlackを利用していたのですが、部内に閉じていたSlackでのコミュニケーションが部外に広がったことにより、定型業務などもSlackを使って効率化できる環境が整ってきています。現在、部門のアシスタント業務を担当しているメンバーがGAS(Google Apps Script)を使った業務効率化に取り組んでいます。

プロダクト開発と同じく、バックログを作って活動している

兼務者が半数以上を占め、工数が限られている中で、私達がどのように活動を行っているのかというと、開発と同じようにバックログを作っています。四半期ごとにやるべきことを優先度付けして対応していくスタイルです。メンバー全員でやることを持ち寄り、最終的な優先度はグループマネージャーが決めています。

案件ごとに担当者をアサイン*6して、一緒に動くメンバーも同時にアサインします。一人で案件を担当することはほぼなく、基本的にはチームで進めていく形にしています。

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組織デザイングループバックログ
ツールを使ってバックログを管理しています

加えて、四半期ごとに組織デザインに割ける工数を宣言してもらっています。組織デザイングループとして活動できる全体時間の予測を立てて、グループの活動をスムーズに行うためです。以前はメンバー個人の裁量に任せていた部分がありましたが、費やす時間をあらかじめ宣言しておくことで、個々人だけではなく、グループとしても動きやすくなったように思います。

組織的観点から「第2領域」に取り組み、ミッションを実現したい

個人的に、組織デザインの仕事は、スティーブン・R・コヴィーの著書「7つの習慣」でいう「第2領域」つまり「緊急ではないが重要なこと」だと考えています。仕事というのは、どうしても緊急なことに引っ張られがちです。そんな中でも、こういった時間を意志と意図を持って確保していくということが大事だと思います。

何のために第2領域に取り組むのかというと、それは部門のミッションを実現するため以外の何ものでもありません。「プロダクトの価値向上」のためにプロダクトを開発することもその一つですし、開発している組織を良くしていくことも、すべてミッションにつながっています。

組織デザイングループの強みは、現場のメンバーが主体的に活動しているという点です。誰かに言われたものをやるのではなく、自分たちで課題を特定し、解決策を考えていく、そういった能動的な動きが出来るグループでありたいし、その点を意識してグループの活動を推進しています。

まだまだ圧倒的な成果を出すには至っていませんが、先を見据えて今自分たちができることは何かということに考えを巡らすことは組織のためにもなるし、ひいては自分たちのためにもなる。そう考えています。

今後も取り組みを紹介していきます!

これまで紹介してきた組織デザインの活動について、今後各メンバーがブログを書いていく予定ですので、ぜひお楽しみに。

ここまでお付き合いいただいてありがとうございました!



buildersbox.corp-sansan.com
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*1:現在のプロダクト開発部は120名で、9つのグループで活動しています(会社の中でも一番大きい部門です)

*2:1on1のワークショップ記事を書いている光川やDeployGateの利用について書いている原田、デリゲーションポーカーについて書いている岡野も組織デザインのメンバーとして活動しています。

*3:Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って実施しています

*4:Hallwayというサービスを試しています

*5:RemoやSpatialChatを試しました

*6:アサインする案件は、メンバーの強みや興味なども考慮しています。

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