Sansan Tech Blog

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Engineering Team Presentation 第二弾「各社のサービス品質を支えるベストプラクティス」を開催しました

こんにちは、プロダクト戦略開発室 技術ブランディンググループの相場です。

今回は先日開催した「Engineering Team Presentation 〜各社のサービス品質を支えるベストプラクティス〜」のイベントレポートをお届けしたいと思います。
sansan.connpass.com

ご好評いただいた第一弾「各社の事業を支えるアーキテクチャ」に続き、第二弾は「各社のサービス品質を支えるベストプラクティス」をテーマに、ラクスル、DeNA、メルペイ、日本経済新聞社とSansanをあわせた5社からエンジニアが集まり、開発現場における品質向上やプロセス改善のための取り組みを発表しました。

発表1:『加速するサービス展開を支える共通 UI コンポーネント開発』

ラクスル株式会社 ラクスル事業本部 システム開発部(ラクスル) RIU開発5G
フロントエンドエンジニア 菅野 彬氏

印刷のラクスルでは、ノベルティダイレクトメールといった様々なサービスがサブドメインで立ち上がっているフェーズである。各サービスでデザインが統一されておらず、サービスごとのリポジトリで実装されているため、UIコンポーネントの品質をサービスを超えて担保することが難しくなっていた。実装も品質もバラバラという状況で、共通UIプロジェクトが発足し、サービス間で共通のUI群をパッケージとして準備した。
成果として、品質差の解消や、デザイナーとのコミュニケーション効率アップなどが挙げられる。今後も継続して更なる整備を行い、ミニマムで作ったものの足元を固めていく予定。

発表2:『品質作り込みのための開発プロセス改善』

株式会社ディー・エヌ・エー 品質管理部SWETグループ
SWET 片山 大樹氏

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本セッションの資料の公開はございません。ご了承ください。

DeNAのライブコミュニケーションアプリ「Pococha」を担当するエンジニアが持つ課題の一つに、「QA工数の膨れ上がり」があった。しかし定量的な計測結果がなかったため、まずはプロダクトの状態を可視化することから取り組んだ。
バグチケットから傾向を分析したところ、仕様起因のバグが多いことがわかり、それらを減らすためのプロセス改善を行なった。バグの早期発見、埋め込み防止を目指す、という開発イメージを開発側とQA側で共有した。QA側は実装開始前に機能ごとに仕様レビューを行い、開発の早い段階でテスト活動を行うことで品質を作り込んでいる。

発表3:『名刺データ化精度99.9%を実現する独自技術』

Sansan株式会社 DSOC(Data Strategy & Operation Center)
サービス開発部 GEES/JES/COE Group エンジニア 湯村 直樹

法人向け名刺管理サービス「Sansan」では名刺データ化の精度99.9%を実現しており、これには独自開発システム「GEES」が採用されている。約10年かけて培ってきたノウハウで、AIと人を活用し、それらの特徴を組み合わせてシステムを構築している。
データを分割しマージする処理があるが、名刺のデザインも変化していく中で、情報の重要度や正しい並びを判断することは難しい。様々な変化に対応し、改善サイクルを回してシステムを進化させ続けることで、品質を保っている。

発表4:『「全員品質」を実現するためのメルペイにおけるDevOpsの取り組み』

株式会社メルペイ メルペイQA
QA Engineer 櫻井 みづき氏

スマホ決済サービス「メルペイ」はローンチから約2年で1,000万人以上が利用するサービスとなったが、リリースラッシュで技術的負債が累積していた。継続的に価値を届け続けるというフェーズにおいて、これまでの負債の解消と新しい仕組みとしてDevOpsに取り組んでいる。
メルペイでは、開発サイクルのすべての活動の中でQAや改善活動を行い、テストし続けている。開発チームと運用チームが協力して価値を繰り返し提供するために、「全員品質」(=役割や立場を越境し、One Teamで品質を作り上げること)という共通認識が社内に根付いており、良いサービスは全員で創るというマインドセットのもとで開発にあたっている。

発表5:『多様なBtoBサービスのためのデザインシステム』

株式会社日本経済新聞社 デジタル事業 情報サービスユニット
エンジニア 清野 光平氏

日本経済新聞社では、1970年開始の日経NEEDSや84年(97年からWEBサービス)開始の日経テレコンなど新旧多様なBtoBサービスを提供している。
BtoBサービスは足し算で成長するため、多機能が優先され画面数が多くなり、息の長いサービスではデザインや実装の負債がたまっていく。そこで、デザイン品質向上の最初の一歩としてデザイントークン*1を導入した。トークンはデザインファイルからビルドツールを通して、実装で使う形式に変換している。
これにより、品質やメンテナンス性があがるだけでなく、デザイナーとエンジニアの共通言語化によりコミュニケーションも円滑となった。今後も徐々にデザインシステムを実装していく予定。

さいごに

各社の発表の後には弊社CTO 藤倉をモデレーターとして、今回登壇いただいた皆さんとQ&A・Talk Sessionを行いました。
今回は品質を大きなテーマとして、ラクスルさんと日経さんがデザイン品質、DeNAさんとメルペイさんがQA、当社はサービス品質について取り上げました。品質向上の取り組み・考え方も各社の事業フェーズや文化により異なり、とても興味深かったです。

本レポートではイベント全体を簡単にまとめましたが、詳しいレポートは Builders Box の会員専用サイトに6月上旬に公開予定です。ぜひ下記からご登録の上、ご覧いただければと思います。
buildersbox-online.com

ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた企業の皆様、ありがとうございました。
また次回のイベントでお会いしましょう!


第一弾のイベントレポートはこちら
buildersbox.corp-sansan.com

*1:データとして表現されたデザイン上の決定事項のこと

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