Sansan Tech Blog

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Sansanの展示会ブースデザインを刷新しました

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こんにちは。Sansanの三坂です。
Sansanのマーケティング&ブランディング施策において、デザインやデザインディレクションに携わっています。
今回Sansanの展示会ブースのデザインを刷新したのですが、普段お話しする機会のないデザインの裏側について少しご紹介させて頂きます。


 
  

「展示会ブース刷新プロジェクト」が動き出すまで

刷新前は、設計会社にブースのデザインをある程度お任せしており、上がってきたデザインのチェックをする際にも「トンマナがずれてないか」「見た目的に変なところはないか」程度の確認に留めていました。

というのも、年間を通じた運用プランニングがすでに確立していたため、調整できることが限られていたからです。

しかし、体制に変更があり、展示会で使用するクリエイティブについて本格的に相談を受けていくことになったのと、2017年にロゴが変わったことでブランド表現の幅が広くなったこともあり、より「展示会ブースの特性」を活かした表現にチャレンジできるようになりました。それは、以前から着手したかったことでもあります。

夏に入り、展示会の新シーズンに向けた調整が動き出したタイミングで、ブースデザイン刷新プロジェクトが動き出しました。 

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2017年から使用している新ロゴ
 
 

コンセプトにつながるエッセンス探し

まず最初に行ったことは、とにかくたくさんのブースを自分の目で見ることです。
新プロジェクトや、デザイン設計を外部にお願いする案件では、「○○したい」というコンセプトを明確にせずに、相手まかせにしてしまうと、着地までに時間がかかったり、着地点がみえずに〆切合わせのクリエイティブ、最悪お蔵入りという悲しい結果になってしまうため、頭の片隅でなんとなくできていたコンセプトを確立するために、業種問わずいくつかのイベントに足を運びブース視察からはじめました。

実際にイベント会場に足を運んでみると、インターネットで情報収集が簡単にできるにも関わらず、わざわざ会場に足を運んで自社の課題解決にむけたサービスを探してブースに立ち寄る方が沢山いらっしゃることに、改めて驚きを感じました。それは、イベントの種類や会場の雰囲気に関わらず、共通して持った感想でした。

せっかく、会場に来てブースに立ち寄ってくれるわけですから、その方達になんとなくでも良いので「このサービスを使ったら、会社が何か良い方向へ変わりそう」と思ってもらえるような「未来への期待感を印象づけられる空間(ブース)づくりをしよう!」というのが明確になり、刷新コンセプトの大枠が固まりました。
 
 
  

軸を忘れずにデザイン設計に落とし込む

どうやったら、少しでもそういった気持ちになってもらえるのか??
展示会担当者や、実際にブースに立って運営する皆さんの要望も整理しながら、制作会社へオリエンをして具体的な構造やビジュアル設計に落とし込んでもらいました。
こういった案件ではデザイン調整が進むうちに、「何が目的がであったか」の論点がズレていくことがあるので主に下記の点を抑えながら進めていきました。


・プロダクトを主役としたシンプルさ
これまではSansanサービスのデモ機をいくつか置いて、それを使って社員が説明するスタイルでしたが、それだけだと設置した数のぶんしかデモ機に触れられないので、対応できるお客様の人数に限りがありました。また、デモ機の設置も2個前後と少なかったので、もしかしたら機会損失につながってたかもしれません。

そこで、今回は会場のスペースにあわせてデモを体験できるiPadを設置して、一人でも多くのお客様がサービスに触れられるような設計にしつつ、プロダクト以外の要素を削ぎ落とすシンプルな構造に着地しました。 

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多くの方にサービスを体験してもらうことを目指しました 
 

・ 期待感と熱量
次に進めたのは、期待感が膨らむ印象につなげるための、構造とビジュアルへの落とし込みです。

テンプレート感や既視感が出てしまうと、会場で他のブースに紛れてしまいますし、来場者に与える印象も薄くなってしまいます。また、「課題解決につながる何か」を探しに会場まで足を運んでくださってるわけですから、「サービスを導入したその先にある未来へ期待」を求めているのでは? と仮説をたてて「未来感、先進感、想いの熱量」も表現できないか、構造や照明、材質など細かいところまで展示会担当者と相談しながら決めていきました。

当初、プロダクトやプロダクトを紹介しているwebサイトの世界感に合わせて、使用カラーはホワイト、ブルー、グレーを軸にしてデザインを考えていましたが、会場の熱量に負けてしまいそうでしたので、ロゴで使われている「パッションレッド」をコンセプトカラーにすることにしました。「パッションレッド」を床下の照明と、展示会用のストラップに使用し、熱量の表現をブースデザインに落とし込んで行きました。

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ストラップやTシャツもブースとの一体感を考えました

 
・トンマナとコンセプト
調整が進む中でいくつかの壁にぶつかりましたが、とくに難しかったのは、前述したプロダクトやwebサイトの世界観がある中で、今回のコンセプトである未来感や熱量を、どうやって立体物で表現するかということでした。
 
デザインについては「なぜそうするのか??」を繰り返し考えましたが、結果的には元々のコンセプトの大枠どおり「未来への期待感を印象づけられる空間」を目指して表現することに決定しました。

いつものトンマナとは違いますが、展示会ブースデザインに特化した設計とし、設置するプロダクトやフライヤー内にそのエッセンスを盛り込んでいくことにしました。





今後はソフト面とのバランスも

今回の刷新プロジェクトでは、見た目(ハード面)の印象をどう設計して行くかに軸を振りましたが、「現場での使い勝手」や「訴求面の強化」などのソフト面とのバランス強化が次の課題だと感じています。展示会チームの皆さんと連携しながらブラッシュアップを図っていきたいと思います。
もちろん今回のデザインが絶対的なベストだとは思っていませんので、運営サイドの皆さん、来場してくださる皆さんの双方にとって魅力的な空間になるよう、引き続きプロジェクトに携わることができればと思います。

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