こんにちは、SansanでEightのCEM(Chief Engineering Manager)として開発組織のマネジメントをしている鈴木康寛です。 この度、サンフランシスコで開催されたGitHub Universeというカンファレンスに参加してきました。
このカンファレンスは年に一度開催されるものであり、GitHubのプロダクトのアップデートに関する発表や、オープンソースコミュニティに代表されるようなユーザー側の発表も行われます。ソフトウェア業界を代表する方々にそのような知見を広め、さらに業界を前進させるための取り組みとしてGitHubが主催しているものです。私が知る限りでは、20名程度の日本人の方が参加されていました。
今回はGitHub Japanの方のご好意もあって、カンファレンスに加えて、前日のミートアップやGitHub HQのオフィスツアーにも参加させていただくことができました。本ブログシリーズでは、イベントの前日から会期中、会期後のGitHub社見学までを4回にわけてご紹介していきます。私の主観を通したご紹介にはなりますが、今後GitHub Universeや仕事でサンフランシスコに行かれる方の参考になれば幸いです。どうぞお付き合いください。
前日の動き
12日の夕方の便で日本を飛び立ち、サンフランシスコ現地に昼過ぎに到着しました。 時差が-17時間あるので、出発した時刻よりも到着した時刻のほうが早いという若干のタイムスリップ感があり、ちょっと得した気分です。 (このツケは、帰国の際に来ることになるわけですがw)
その感覚を味わう間もなく、14時から事前ミートアップ(Universe Birds of a Feather)があるため足早に空港を後にし、GitHubのHQに向かいます。
交通手段
私は今回が2回目のサンフランシスコだったので、市内への移動には慣れているBARTという列車を使いました。だいたい市内まで$10程度です。
今回帰国日に空港でBARTのアプリがあることを知りました。そのアプリを使うと25%OFFになるらしいので、もしまた来ることがあれば次回からはアプリを使おうと思います。
市内では基本的にMuniBusやMuniMetroの路線が縦横無尽に張り巡らされているので、1Dayパス($5:ケーブルカー除く)を買ってしまえば、ほとんどどこでも行けてしまいます。 こちらもアプリがあり、今回利用しました。ケーブルカーは観光の目玉ということもあり別料金になっているようです。*1
また御存知の通り、UberやLyftも交通手段として当たり前に使えるので、目的地まで直行したい場合は便利です。今回同じく参加された日本人の方は多く利用されていました。 ただし、こちらは距離がある場合にはその分割高になります。
Limeという電動キックスケーターも流行っているようで、Googleマップのルート検索の候補としてもでてくるのには驚きました。乗る勇気は自分にはありませんでしたw
Universe Birds of a Feather
空港から直行したので、スーツケースを引きながら若干遅れてGitHubオフィスに到着しました。
受付ではGitHub Japanの方々が出迎えてくれました。 今回この事前ミートアップに参加する日本人はどうやら私一人のようでした。コンテンツは今回のGitHub Universeに関連するテーマについてグループに分かれてディスカッションするというものです。
余談ですが、私の英語力は数年前に受けたTOEICで600点台後半と特段高いわけではなく、日常会話が何となくできるくらいのレベルです。そのレベルの人間がネイティブの方々に混ざってディスカッションするということで正直びびっていましたが、これも経験だと思い挑戦してみました。 *2
Universe Birds of a Feather についてまとめると以下です。
- GitHub関係者から招待を受けた人が参加する事前ミートアップ
- GitHub Universeにちなんだテーマに沿ってディスカッション形式で議論
- 基本英語
- 自己紹介の後、テーマ毎のディスカッションに入っていく
議論前に説明を聞いている様子はこんな感じでした。
1枠目: Security (Table: 4)
参加企業
- Equifax
- IBM
- GDIT
- NAB
- Capital One
- Tektronix
- Target
感想
参加した感想を箇条書きでまとめてみます。
- テーマの性格や参加企業の多様性もあり、結構議論内容が幅広くなった
- 時差ボケもあり、完全に英語脳に切り替わっていない状態で参加するのはかなりきつく、交わされる英語での会話についていくのがやっとだった
- いかにクローズドな環境下でシステムやデータを管理するか、権限周りを厳密に管理するかなど一般的な話が多かった印象
- 直前にGitHubに買収されたSemmleの話題も上がっていたが、私は事前理解が足りていなかったこともあり、ついていけず後悔
- 後半では、Availabilityの話も。何かあった時にすぐ復旧できるようなインフラ構成にしているかや、メンテナンスのポリシーをオープンにしてユーザーにも理解してもらう姿勢が重要など、なるほどと思う話が聞けた
国境を超えても、セキュリティはすべての企業にとって普遍的なテーマだと感じました。特にオープンソースのライブラリを使ってサービスを運営している企業や重要なデータを取り扱っている企業にとっては、セキュリティリスクを排除することが何より大切だと改めて認識しました。
弊社も一層セキュリティに対する意識をあげていくべく、今回のカンファレンスの内容をプロダクト開発に活かしていきたいと考えます。
2枠目: Open Source Practices (Table: 1)
参加企業
- County of Los Angeles ISD
- McKesson
- American Airlines
- Cisco
- Genentech
- Thomson Reuters
- Tektronix
- Capital One
- Slack
感想
こちらの感想も箇条書きにします。
- こちらの方が専門的な話になりすぎないため、結構話についていくことができた
- Thomson Reutersの人がオープンソースをフォークして社内(プライベート)でオレオレプラグインが多く出来上がってしまう問題に悪戦苦闘しているエピソードを皮切りに議論が白熱
- パブリックにして対外的にもフィードバックが得られる状態をつくることであるべき姿にしていく派(民主派)と、そうはいっても社内の状況や文化によって実際には難しい派(保守派)に分かれて激論が繰り広げられた
- 後半は、強いエンジニアがいる中でコントリビューターになるための手段として、まずはドキュメントからPRを出してみるなど定番の話も出た
- Starを獲得しているライブラリがやはり使われやすく信頼もされやすいよねという話から、いかにしてStarを稼げるか、オープンソースコミュニティにもマーケティング的な側面は重要だよねという話などが面白かった
個人的には、「多くの日本人は英語に苦手意識があり、英語でコミュニケーションがなされているところになかなか入っていけないもどかしさがある」という話を、ディスカッション中にずっと密かに抱えていましたが、英語でのコミュニケーションが大前提となっている場に投げてみる勇気がありませんでしたorz
ただ反応を聞いてみたかったので、ディスカッション後のネットワーキングの時間に隣のGitHub社員の人に話してみると、「なるほどそういう視点はなかったし、他にもそういう立場の人がコミュニティの中で埋もれているかもしれないのでなにか出来ることはないかな」と議論が発展したのでとても良かったなと思いました。コミュニケーションで利用している言語ごとにアナリティクスをとったらなにか知見が得られるかもしれないとか、Rubyの様に日本発祥のコミュニティのやり方が何か参考にならないかなど、貴重な意見交換ができたので、少しはインパクトを残せたのではないかと思います。
まとめ
怒涛の1日目が終了しました。明日からがGitHub Universe本番ではありますが、かなりインプットの多い一日となりました。 以下、雑多な感想です。
- 羽田からサンフランシスコは偏西風の影響もあってか、思ったより近かった。9時間弱で着いたので予想していた飛行機内での疲労感はそれほどなかった。
- とはいえ、英語脳が構築されるのには馴染むための時間がかかるので、その後の濃厚なディスカッションにすぐに順応するのは難しかった。また、そこで脳を酷使したこともあり、追い打ちをかけるような時差ボケがつらかった
- ディスカッションが英語メインで進行する場に、いかに割って入っていくかは難易度が高かった。日本人は基本的に人の話が終わるのを待ってから自分が話すという形の会話のキャッチボールをする文化圏の人間なので、どうしても聞き役に回ってしまう。*3
- 多種多様な企業から参加者が集まっており、中にはお硬い会社の管理職と思われる方も参加していたが、技術的なこともキャッチアップしていて話せる人ばかりだったので、アメリカ凄いとなった
ということで、今回はここまでとし、次回はいよいよGitHub Universe当日のレポートをしたいと思います。
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