こんにちは、SansanでEightのCEMとして開発組織のマネジメントをしている鈴木康寛です。この記事は本シリーズ最後の記事です。カンファレンスが終わりメインイベントはこなした感がありますが、せっかくSFに来ていることもあるので、できる限りインプットをすべく精力的に活動しました。
Algolia訪問
Algolia は今年大型の資金調達も行っている、フランスの創業者によって創られた、検索に特化したSaaSのスタートアップです。
本社がSFにあり、オフィス自体はSalesforce towerのすぐ近くにありました。
Eightではユーザーが所有する名刺や、ユーザー自体の検索をサービス上から行なうことができます。その検索の仕組みは主にElasticSearchを使って構築していますが、それとの違いや、何が優れているのかを中心にソリューションエンジニアの方に話を聞いてきました。
検索のカスタマイズが柔軟かつ容易にできること
Algoliaの話を聞いての感想を一言でまとめるとこれに尽きるかなと思います。
検索エンジンにおいて最も重要なことは、いかに 「ユーザーが求める検索結果を返してあげられるか」だと思いますが、Algoliaはそれを柔軟かつ容易にカスタマイズすることができると感じました。
検索結果のチューニング
設定画面のデモを見せてもらいましたが、UIベースで簡単に検索結果のチューニングを行なうことができます。検索結果のスコア計算に優先する属性情報の並び替えやソート順序の設定などが直感的にUI上から可能、かつ検索結果への反映も早いので、エンジニアはもちろんのこと、テクノロジーに不慣れな人にとっても使い勝手がいいものになっている印象でした。
また、AlgoliaはReactやiOSなどのクライアントサイドのライブラリも提供しており、カスタマイズ可能なものになっているとのことです。これにより、簡単にA/Bテストができたり、どのコンテンツがどの程度クリックされ、コンバージョンしたかの統計情報を管理画面から見ることができ、その情報を元にして、A/Bテストの結果を最終的に判断してUIに反映させたり、より良い検索結果を返すためのチューニングが出来るようになっています。
パーソナライズ
上記で紹介した統計情報をうまく用いることで、ユーザーごとの嗜好をつかみ、それを検索結果にフィードバックするようなこともAlgoliaでは可能で、それをパーソナライズ機能として提供しています。ユーザーの嗜好を示す属性情報に対してどのくらい重み付けを行うのかもUI上から感覚的に設定でき、実際の結果を見ながらチューニングを行うことが容易にできるようになっています。
Eightにおいては、ユーザーが読みたい投稿をフィードに表示させるユースケースに対して、ぜひ試してみたい機能でした。
安定したサービス稼働
SaaSを使う上で気にしておきたいのが、サービスの安定性です。なぜならSaaSの品質自体や障害が起こった場合の影響が、自身のサービスの品質に関わってくるからです。 これについても使う側の立場に立った設計がなされていて驚きました。
基本的にマスタークラスターの他に複数のサブクラスタを配置し、クラスタ不良が発生した場合にもすぐにフェイルオーバーする仕組みを供えていたり、自前のデータセンターを世界各地に持っていて、リージョンを超えたデータのレプリケーションなども行えるそうです。 また管理機能も秀逸で、どのデータセンターへのアクセスがどこから、どの程度あり、レイテンシーがどの程度あるかの統計もUI上から見ることができます。Algolia内部ではこれらを元に同じデータソースでも細かくデータの再配置を行ってパフォーマンスの最適化を行っている(?)ような事もおっしゃっていたような気がしますが、私のヒアリング力では確かな情報として理解するには至りませんでした。
いずれにしても、SaaSの生命線であるサービス品質と可用性の担保を念入りにされているなという印象でした。
まとめ
Algoliaはやはり素晴らしいサービスでした。資金調達が上手くいっているのも頷けます。 まずは個人的に色々試してみつつ、Eightでのユースケースに当てはめて利用できるか今後考えていきたいと思います。
GitHubオフィスツアー
今回の出張の集大成として、最後にGitHub本社オフィスツアーに招待されたので、正式にオフィスに潜入して来ました。 GitHubというプロダクトが創られているオフィスがどのようになっているかを学んで、持ち帰れるところがあれば我々のオフィスにも反映させていきたいところです。
場所
GitHubのHQはサンフランシスコの中心部からやや南に下ったところにあります。 元々は古い倉庫街だったところのようで、外観はレンガ造りの古い建物となっています。 特にこれと言ってGitHubを想起させる目印がないため、知らなければ気付かず通過してしまうと思います。 また、オフィス自体は2つの別の建物にまたがっているようで、途中オフィス内部に連絡通路があったのですが、レンガの厚い壁をぶち抜いて作られており、安全面で法律的な問題を回避するのに結構大変だったそうです。
エントランスホール
エントランスに入るとまずカフェがあり、ゲストや従業員に美味しいコーヒーを振る舞っています。モナカフェというようです。 名前の元となっているのは、エントランスの象徴となっているOctocatの銅像です。モナリサというようです。ここでのみ写真撮影が許可されていたので、記念に一枚ポーズを真似つつ取らせていただきました。
広大なホールではちょうど従業員がランチを取っている時間でした。 かなり広いスペースで、GitHub Universe1日目のレセプションパーティーの時には200人ほどの人が入れていた感覚でした。奥にはイベントスペースもあり毎日何かしらのセミナーやイベントを開催しているようです。
GitHub Store
オフィス内部で最初に案内されたのは、GitHub Storeです。GitHubのオリジナルグッズやおなじみのステッカーなどが並べられています。今回はGitHub Universe開催後というタイミングもあり、グッズは品切れ状態でちょっと残念でした。が、ステッカーはお土産用にしっかり確保させていただきました。
重役会議室 + 秘密の小部屋
タイミング的にGitHubオフィスの中でちゃんと見学できた会議室はここだけでしたが、設備的にはここが一番整っていそうな会議室でした。 ホワイトハウスをモチーフにしたようで、天井や机に至るまで八角形のデザインで統一されていました。また世界各国のオフィスとリモートでも会議できるように各国の時間がわかるようになっていました。
実はこの部屋には隠し扉があり、そこを抜けると秘密の部屋(書斎っぽい)に入れます。 照明は薄暗く、壁一面に本棚が配置され、そこには古い本が並べられています。 革張りのソファーやテーブルにはチェスが並べられているなどレトロな雰囲気満載です。
何に使われているかは分かりませんが、恐らく役員の方々などが集中してクローズドな議論をしたり、仕事から離れてリラックスしたりするのに使っているのだろうと感じました。
図書室 兼 集中スペース
従業員向けにもサイレントなスペースが用意されており、ツアーガイドをしてくれた方はここが1番のお気に入りだと言っていました。 同じくレトロな風合いの図書室のような部屋です。
ガイド中もこの部屋だけは喋らないようにと従業員の方に気を遣われてガイドされていました。 本棚には技術書を始めとして様々な専門書が並べられており、最先端の知見を従業員の方がインプットできるようになっていそうでした。
また、横になれるベンチスペースもあり、休憩をとっている方もいました。
オープン会議スペース
オープンな会議スペースが、今回私の中で一番のインプットとなったかなと思います。 10数メートルに渡って机が仕切りと平行に並べて配置されており、机の周りには小さな腰掛けが複数並べられていました。
壁はホワイトボードのように、マーカで繰り返し書ける素材でできており、壁にメモを書きながら議論できるスペースとなっています。またこの配置により、ミーティングに参加する人数を問わず柔軟性のある設計だと感じました。2人で1on1のような場として使ってもいいでしょうし、10人程度のチームミーティングでも、スペースを無駄なく利用できます。
このスペースは是非弊社オフィスでも採用してみたいです。
屋上テラス
アメリカらしさも感じ、良いなと思ったのが屋上のテラススペースです。 オフィスツアー当日はちょうど晴れていたので、とても気持ちが良かったです。 海も眺められ、オークランドにつながる橋も見ることができます。 また、よくビーチサイドに置かれている日光浴ができるベッドも配置されておりリラックススペースとしても充実していました。
Wifiも完備しているようで、外の空気を感じながら仕事をしたり、休息をとったり、ランチをしたりと様々な用途がありそうでした。
隣のビルがSplunkのオフィスらしく、そこにも屋上テラスがあり、業務後にBBQなどをやっていることが目視できるので、お互いの従業員が行き来するなんてことも日常的にあるようです。
その他設備
細かくなってしまうので詳細は割愛しますが、他にも従業員のための様々な設備があったので箇条書きで紹介します。
- 蛸猫禅という、マッサージ師常駐のマッサージルーム
- お祈りをするためのプレイングルーム
- ハンモックも供えている仮眠室
- ヨガもウエイトもできるジム
- SFにちなんだグラフィカルアートスペース(iPadをかざすと絵と連動した動画がみれる)
- 社員証をかざすとPCの周辺機器が無料で手に入る自販機
- ビリヤード台や、レトロなアーケードゲーム
まとめ
ということで、盛りだくさんのオフィスツアーを満喫して今回のGitHub Univers参加の締めくくりとすることができました。
最後に欲しかったGitHubのパーカーのお土産もいただけて、うれしかったです。 *1 GitHub Japanの皆様、本当にありがとうございました!
そして、当ブログ記事を読んでくださった皆さんありがとうございます。 稚拙な文章だったと思いますが、お付き合いくださり感謝いたします。 皆様にとって、このブログが少しでもGitHubについてのインプットとなり、現場でソフトウェア開発を進めることのお役に立てばありがたいです。 それこそがGitHub Universeのコンセプトだと思うので、私自身もそこに貢献できれば嬉しく思います。
また来年、GitHub Universe 2020にてお会いできれば幸いです。 それでは!
このシリーズの記事
*1:GitHub Storeにグッズがほとんどなくなっているとのことだったので、手に入らないのではないかと心配していました。