ABM ダッシュボード（接点マップ）のコンセプト

こんにちは。Sansan DSOC 研究開発部の真鍋です。
今回、「接点マップ」という機能が、Sansanの本機能としてリリースされることになりました。
この機能は、 Sansan Labs という、Sansan DSOC R&D の研究開発部が実験的なアプリケーションを展開しているプラットフォームに公開されていた「ABM ダッシュボード3」が元となっています。

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今回、Sansan の本機能として、他の機能と連携され、使い勝手がより向上した状態で、リリースされることになりました。私は本機能の開発には携わっていないので恐縮なのですが、それに際しまして、 Sansan Labs ABM ダッシュボードを発案した者として、どのようなコンセプトで、何を考えて作ったものなのか、また今後どのように発展させていく予定なのか、以下、簡単な説明をさせていただきたいと思います。

人脈は財産だとは良く言いますが、そのことを表す「社会関係資本 (ソーシャル・キャピタル）」というテクニカルタームがあります。これは人間関係を「資本」の一種として捉える考え方です。資本なので、投資の対象にもなり得、経済的価値の資源としても見なされます。この社会関係資本は、経済資本と相互に関係していると言われます。人脈が経済的利益を産み、さらに、経済的利益が人脈を呼び込むためです。

研究員として、そのような考え方や研究を調べていく中で、ビジネス上の関係においても、経済的関係性は、ある程度、人脈に反映されており、さらに名刺の交換からその関係性の濃淡が把握できるのではないか、と考えるに至りました。具体的には、より多くの人脈交流のある企業間においては取引高も大きいかもしれず、活発に交流が始まっている企業間では、新しいビジネスが始まろうとしているかもしれません。そのような考え方は、経験的、直感的にも、それほど的を外してはいないように思われます。

人脈が経済的な取引と関連しているのであれば、そのマネージメントは、取引先との経済上のマネージメントはまた別の角度で、その重要な補完となる可能性があります。しかし、人脈のマネージメントは一般に簡単ではなく、そのスキルも属人化しがちです。なぜか取引先に顔がきくベテラン社員などがいるように。マネージメントが難しい原因の一つに、そもそも人脈は、客観的把握や定量化が難しい、ということが挙げられます。
Sansan は、名刺交換を記録するツールです。そこでは、相手企業との人脈のみならず、その時間的変遷までもがデータとして記録されています。このデータを活用すれば、従来は困難であった人脈の客観的把握が可能となるかもしれません。さらに、そこには、相手先企業との経済的な結びつきの強さが現れているかもしれません。

このような考えのもとで作成したのが、ABMダッシュボードです。人脈の濃度を直感的に把握できるように、部署と役職の2軸のマトリックスとして可視化し、相手先企業との人脈がどの程度の深さと広がりを持っているのか、わかるようにしました。またその際、他の企業との比較を容易にするため、カテゴリー化された部署と役職を用いました。

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実際に、人脈と経済的結びつきの間に関連はあるのでしょうか。そのことを、自社(Sansan)のデータを用いて、調査したことがあります。取引先から受注しているかどうか、あるいは、取引額の大きさを、人脈の内容から予想できるかどうかについて、検証を行いました。こちらにそのレポートがあります。
この研究は道半ばで止まっています。人脈形成のプロセスと受注の関係や、取引が消失した企業とそうでない企業の人脈パターンの差異など、より詳細に調べることで、これまで感覚的に進められてきた営業プロセスをより客観的に認識できるようになる可能性があると考えています。機会があれば、この研究は今後もさらに進めていきたいと思います。

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