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【UXリサーチャーブログ Vol.1】UXリサーチ専門の組織を立ち上げ、軌道に乗せるまで

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みなさんこんにちは。SansanでUXリサーチャーをしている佐藤です。
今回は2021年6月に正式稼働を開始した、UXリサーチ専門の組織(UXリサーチセンター)についてお話ししたいと思います。

組織立ち上げの背景については、弊社の林が以下の記事でまとめていますので興味がある方はぜひご覧ください。
buildersbox.corp-sansan.com

今回お伝えする内容としては以下の通りです。

  • 組織立ち上げからUXリサーチを定着させるまで
  • 現在の組織構成
  • 今後の展望


Sansanでは他社のUXリサーチャーとの交流も積極的に行っていますので、興味のある方はこちらから気軽にご連絡をいただけると幸いです。
8card.net

組織立ち上げからUXリサーチを定着させるまで

2021年6月から正式稼働を開始したUXリサーチセンターですが、1年ほど前の2020年6月ごろから構想はあり、2020年12月ごろから正式稼働に向けて準備を始めていました。
私が関わり始めたのは正式稼働に向けて動き始めた2020年12月ごろからなので、準備段階から正式稼働に至るまでのプロセスをお話ししたいと思います。

準備段階(2020/12 - 2021/05)

私に与えられた役割は正式稼働に向けたメンバーを集めることと、実際にUXリサーチを実施することでした。

メンバー集めに関しては2021年の始めごろから、インタビューを中心に行うメンバーが参加してくれたことで、6月の正式稼働までは2人でリサーチを行っていました。
また、社内の公募システムを利用して他部署からリサーチャーを2名採用し、正式稼働時には4名体制でリサーチを行うことができました。
現在はさらにメンバーが増え、7名でリサーチを行っています。

UXリサーチの実施に関してまず始めに行ったことは、各プロダクトのPdMにヒアリングを行い、リサーチの入る余地はないかを模索することでした。
ユーザーの状況を理解するためのインタビューや、実装予定の機能に対してのユーザビリティテストなど、実施できそうな調査を提案し、実際にリサーチを進めていきました。
このプロセスで様々な課題や発見があり、現在の組織構造に活かしています。(組織の詳細は後述します)

正式稼働開始(2021/06 - 現在)

UXリサーチを定着させるために、まずはUXリサーチに触れてもらう機会を増やすことを目標にしました。
立ち上げから数ヶ月はリサーチを実施した回数をKPIとし、様々な人にリサーチに触れてもらいました。

プロダクトに携わるメンバーにヒアリングを行い、リサーチの入る隙はないかを検討して少しでも可能性があれば実施しました。

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リサーチ実施回数の推移

その結果、特定の状況におけるユーザの行動を明らかにすることができるようになり、事実ベースでの議論が行えるようになりました。

今ではリサーチャー側のリソースが足りなくなったり、リサーチの質に対して厳しく要求されるシーンも増えてきたので、リサーチの質に向き合うことを中心に行っています。
質の向上に関しては他のリサーチャーが記事にしてくれるはずなのでここでは割愛します。

現在の組織構成

弊社では複数のプロダクトが存在するため、下記の図のようにプロダクト単位でUnitを形成し、各UnitにPMMやUXデザイナー、PdMなどが存在しています。

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UXリサーチセンターの位置づけ

しかしUXリサーチセンターだけはプロダクト横断的な組織構造を採用しています。これには大きく分けて2つの意図があります。

1. 客観性の担保

ユーザーインタビューやアンケートを行う場合、悪意はなくとも恣意的に情報収集を行ってしまう場合があります。
自分たちがやりたいことに対して同意を求めるインタビューや、選んで欲しい選択肢のみを用意してしまうアンケートなど、無意識に誤った意思決定を引き起こしかねない調査を行わないためにも、敢えて独立した組織にすることで客観性を担保しています。

2.専門性の担保

リサーチャー同士がフィードバックしあえる環境を用意するために、独立した組織構造を採用している側面もあります。
弊社の場合ではリサーチを行う際には二人一組で実施しており、お互いがフィードバックできる環境を用意しています。
リサーチャー全員が同じ組織内にいることで、様々なペアが発生し、多様な意見を吸収する仕組みを採用しています。

また、UXリサーチセンター内でも3つのチームに分かれており、それぞれが下記の役割を担っています。

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UXリサーチセンター内でのチーム構成

プログラムマネジメントチームは各プロダクトからリサーチの相談や依頼を受け、必要に応じてプロダクト側に整理し直してもらったり、適切な調査手法を提案したりします。
相談内容に応じて、そもそもUXリサーチとはどのようなことができるのか、どのように活用すれば良いのかなどを提案します。

実査チームは一般的にUXリサーチャーと呼ばれるメンバーが所属するチームです。
案件化されたプロジェクトに対してアンケートやインタビューを実施し、結果をアウトプットすることに責任を持ちます。

ログ分析チームには複数の役割があります。
UXリサーチを実施するために必要なログ基盤の整理やKPI設計を担当したり、アンケートを実施するためのメール配信リスト作成、適切なインタビュー対象者を抽出するための行動データ分析などを行います。

今後の展望

Sansanでは、日本一のUXリサーチ組織を作り上げることを目標としています。
そのためには実施するUXリサーチの数と質の向上が不可欠だと感じています。

UXリサーチの重要性を啓発し数を増やし、リサーチャー同士がフィードバックしあえる環境を整えることで質の向上を目指しています。

組織や仕組みのアップデートを日々行いながら、こういった情報発信も積極的に行っていく予定ですので、ぜひ今後も注目していただけると幸いです。

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