Sansan Tech Blog

Sansanのものづくりを支えるメンバーの技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信

リモートワーカーになるまでの振り返りとこれからの話

はじめまして。Sansan事業部プロダクト開発部でエンジニアをやっている P3 です。一言?60年スペシャルでたくみおねえさんが出てこなくて悲しいです。

Sansanには6年前にジョインしました。社員一覧ページを見てみると9ページ中1ページ目に私の写真があったので、確実に古株おじさんの一人であります。

入社した頃はまだワンフロアに社員全員がいるような規模でしたが、6年で対外的にも対内的にも取り巻く環境は大きく変化しました。個人的な大きな環境の変化として、勤務地変更をしたので、それに絡めながら弊社のリモートワークについて書いてみようと思います。

東京から京都へ

私は今年の春に、前職8年+Sansan6年の14年間を過ごした東京を離れて、勤務地を京都に移しました。東京にいる間は

  • プロダクトマネージャーやデザイナーと共にプロダクト開発
  • メンバーとの 1on1 や評価
  • エンジニア採用のお手伝い

をしていました。会社が日々成長していく中、オプション業務は増えれども好きなのはやはりプロダクト開発です。

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穴を掘って埋めて掘るだけの簡単なお仕事。 #1 だー
しかし、6年仕事をしているとそれなりに思うこともあり*1、そろそろ「次の一歩」を考えはじめます。東京でさらなるチャレンジ...も考えましたが、色々な人に相談した結果、勤務地を変更してリモートワーカーとして頑張ってみることにしました。

今私が働いているオフィスは Sansan Innovation Lab という弊社のサテライトオフィスです。ここには別部署である DSOC のR&D 研究員の方が2名常駐しており、3人目の常駐社員として私が異動してきました。私はお二人とは部署が異なるため普段の業務で絡みはなく、部署単体でみると物理的には私一人でリモートワーカーとして働いていることになります。

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ちょうど最近宣材写真撮影がありました

リモートワークの判断基準

ここで弊社のリモートワーク実施の支援制度を紹介します。

1つ目に自宅で作業をする「イエーイ」という制度があります。この記事冒頭にも書かれているように、会社としての制度導入の目的はあくまで「生産性向上」が第一前提にあり、ワーク・ライフ・バランスの実現や、柔軟な働き方の推奨を目的とするものではありません。月の利用回数に制限も設けられており、生産性が向上すると上長が認めない限り、イエーイ利用は承認されません。

2つ目の支援制度として、サテライトオフィスでの合宿というものがあります。弊社には徳島県神山町にあるサテライトオフィス「Sansan神山ラボ」があり、ここで原則本人希望かつ会社が認めた社員は一定の期間神山で働くことが出来ます。条件は「神山に行くことで生産性が向上すること」。希望制なので、会社が負担するのは往復の交通費のみ、日当は出さず生活費も全て自腹です。ここでも目的は「生産性向上のため」です。

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外で仕事するための手作りスタンディングデスク。毎年年間1/4はラボに寝泊まりしながら開発に没頭していました。自己学習も捗るのです

上記2つの支援制度を見てどう思いますか。今どきの会社にしては少し堅苦しいと感じる方も多いのではないでしょうか。東京に籍がある人の一時的なリモートワーク判断ですらこれなので、日常的にSansanでリモートで働くというのは、相応の実績 or 信頼 or 期待がないと難しいということが分かってもらえるかと思います。*2

尚、これら制度を作った方の話によれば、

制度を作った時の「目的」を明確化し、かつそれを風化させないように成果を確認する。でなければ当初の目的と違った思惑で利用され、かつそれが既得権益となってしまう恐れがある。

だからこそ、生産性向上と違う目的での利用はあえて禁止し、別の目的でリモートワークをしたいのであれば、それ専用の別の制度を作る。

だそうで、一貫した強い意志と意図を感じますね。

実際は

とは言え、働き方の多様性を求める声が強い今。実際の現場レベルの話で言うと、上記制度の利用枠を使い切る人は多数いますし、制度の目的を理解した上でみんな柔軟に日々利用しています。会社全体としても、リモートのメンバーがいること前提で打合せの準備が進められるなど、リモートワークに対する理解は十分にありますし、生産性や成果に直結する前提であれば支援は惜しまずやってくれます。*3

現実問題として、上長によって実施判断の甘辛はあります。私は6年いる中で上司(部長)は5人変わりましたが、リモートワークについての考え方は個々に差異はありました。この辺りは会社のフェーズや人数や要望のレベルにも寄るので難しい面もありますね。

私の話でいうと、東京から離れて働くという決断をし、会社と期待値のすり合わせをして実現に至るまでには2年弱かかりました。当時の上長たちは皆非常に理解のある方々ばかりで、「離れて働く」こと自体を否定されるようなことは一切ありませんでした。私が何をやりたいか、会社は何をしてほしいか。お互いの期待値確認を慎重に進めた結果、時間はかかりましたが、納得して進める事が出来ました。*4

逆に、会社側とうまく期待値を擦り合わすことが出来ずに退職に至ったケースも過去には残念ながらあったようです。ただ、個人的には会社としての基準値は高いハードルを課している現状が正しいと思っています。複雑な業務ドメインを持つプロダクト開発だからこそ、本社にいたほうが良いのはやはり真です。

それでも尚リモートワークを求めるのであれば*5、社員としては別の付加価値が求められます。ただの開発要員であれば、他の契約形態でも成り立つことも考えられますしね。マネージメント側としては会社の文化と秩序を守るための意図があるので、社員側も納得させるだけの根拠を示す必要がありました。*6

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これも4年前。会社には文化があるので一筋縄にはいきません

これから

一般的に少数派となるリモートワーカーは多数派の本社メンバーから見るとコストに思われたり、統制を効かせたい勢からするとアンコトローラブルな存在になるのではないかという懸念を持たれます。

では、どうするか。

部本体が東京にある以上、この先も少数派であることは変わりませんが、存在感は消さないようにしたいですね。アウトプットの量と質はキープしたままで。また、一人ではどうしても限界があるので、面と向き合って一緒に議論や設計をしてくれる仲間を増やしたいです。*7

小さいながらもマネージメントも採用もやってきましたし、社歴はそれなりにあるので Sansan 開発のエッセンスも伝達します。人数比率的にどうしても横断型のチームは難しいので、 Feature 型組織の一翼を担うまでが現実的な目標ですね。理想は逆コーンウェイ戦略*8を実行するハシリになれれば良いのですが、この辺りは部の方向性に関わりますので、まだまだ不確定部分が多く様子見です。

また、リモートワーカーは少数派であるが故に、時に対外的な影響力も持つこともあります。*9 ただの一開発リソースとしてだけでなく、会社のブランディング寄与や認知度アップにも貢献できたら良いなと考えています。

最後に

弊社にはもう少し大きい規模の関西支店にもリモートチームがありますので、こちらの記事もどうぞ。関西支店チームMAIDOのエンジニアの日常

また時間が経ったら、このリモートサテライトオフィスがどうなったか、状況をお伝えしたいと思います。

京都に来た際はいつでもオフィスに遊びに来てください!

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宣材写真の別撮りカット。会社ですよ

photo: たやまりこ

*1:ちょうど35歳の定年を少し過ぎたこともありました

*2:実際、弊社の各サテライトオフィスで働くエンジニアの方々はみんな唯一無二の人ばかりです...!

*3:私の好きな制度は KISS という制度です

*4:当初は「今までやっていた役割が物理的に困難になる」こととそれに連動する「評価」について、不安や恐怖はありました。

*5:フレックス制度導入なども同じかもしれませんね

*6:ガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル (∩゚Д゚) アーアー キコエナーイ

*7:京都で働きたいエンジニアの方、お待ちしています。 @iwa4 宛に DM おk

*8:自分たちの望ましいアーキテクチャ設計を促進するように、チームと組織側を機動的に進化させる

*9:少し古いですが私の好きな記事です。 「リモートワークなんていいことない」Sansanが神山にサテライトオフィスを開いた狙いとその苦労とは

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