こんにちは。Sansanキーボードおじさんの一人、吉田です。
いきなりですが私が普段業務で使っているキーボードはこちらの エスリル ニューキーボード − NISSE です。
以前は肩こり軽減のために左右が分離したキーボード*1を使用していましたが、「左右これくらい離した方が疲れないかな?」「この角度だとどうだろう」みたいなことを毎日考えてしまい正直疲れていました。
そんなときに
- 一体型
- 肩が凝りにくそう
- キーマップがカスタマイズできる
といった特徴を持つこのキーボードを見つけ、1年半ほどNISSEで快適なキーボード生活を送っています。
しかし自分にとって気になるところがいくつかあり、それらを改善したいなとずっと考えていました。
- 打鍵感が柔らかすぎる
- ファンクションキーを利用していないのでその分サイズを小さくしたい
- キーマップをカスタマイズすることで、ファンクションキーまで指を伸ばさなくても特定のキーの組み合わせで同等の入力ができるようにしています。
- 小指のキーが若干押しにくいのでキーの位置を調整したい
これらの気になりポイントを改善するには...そうや、自作や!となるわけです。
前置きが長くなりましたが、今回はNISSEを参考にして自分用のキーボードを作った話を前編後編に分けて紹介します。
なお今回の記事を書き始めた時点で3Dモデリングや電子工作の知識が全くなく、すごいものは出来上がりませんので生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
やっていく
方針
これらを必須の要件として作っていきたいと思います。
- だいたいの形状は使い慣れているNISSEに近いものにする
- 普段使用していないキーは削る
- 小指周りのキー配置を微調整する
- スイッチは金属プレート*5にマウントできるようにする
かたちを考える
まずはどういった形状にするかを考えます。
今回はNISSEを大いに参考にするので、NISSEのWebサイトで公開されているペーパークラフト*6を印刷して自分の手のひらを置いてみたりしました。
特に気になっていた小指周りを少し下げてみることにしました。(えんぴつでなんとなく書いたところ)
また、'O', 'L', '>' の列も自分の指に合わせて微妙に角度を調整することにします。
モデリングする
次に検討した形状を実際に作るべくモデリングをしていきます。ソフトウェアはFusion 360を利用しました。初めて利用しましたが、今回は難しいことをしなかったのでYouTubeのチュートリアル動画を見たりブログ記事を読んで覚えられる範囲の操作で十分でした。
まずFusion 360のスケッチ機能を利用し、14mm四方のスイッチをマウントする正方形とその外側にキーキャップをつけた際の大きさを表す19.05mm四方の正方形を描きます。これを複数並べて理想の形にしていきます。
一旦ファンクションキーを除いたNISSEに近い形を作ってみて、
その後ペーパークラフトで調整した自分に合う形に微調整します。(ケースを設計するときのために外枠も描いています。)
形が整ったら押し出し機能を利用して厚みを持たせます。
ここまでできたら3Dプリンタなどで利用できるSTLファイルを出力することができるようになります。我が家の3Dプリンタはあまり大きいものをプリントできないため、確認用として2分割して印刷しました。実際にプリントしたものにスイッチをはめて触ってみましたが、なんなく良さそうな感じがしたのでこの形状で進めます。
今度はプレートに合わせたケースを作っていきます。
初めてNISSEを見た人が少々驚くかもしれない部分として左右方向の傾斜があります。これは手や腕への負担を減らす効果を狙ったものです。*7
この形は私にとっても非常にしっくり来ているので同じように傾斜をつけることにします。角度については参考にした文献*8によると左右方向、手前方向ともに10°が良いと報告されていますが、NISSEはそれぞれ8°, 10°くらい*9になっているようです。
今回はNISSEを使っていて少し手前方向の角度が急かなと思ったことがあったため左右、手前方向ともに8°としました。
それでは傾斜をつけるようにそれっぽいケースをシュッと作って....
完成です!
実物を作ってみる
手元の3Dプリンタでプリントしたツギハギなケースだといまいち気分が盛り上がらないので、トップケースのみDMM.make 3Dプリンターサービスを利用して作ってみました。
またプレートも3Dプリントのものではなく金属で作りたいのでLaserBoostを利用してアルミ板をレーザーカットしてもらいました。
トップケースとプレートを組み合わせるとこんな感じです。プレートのマウント方法はトップマウント*10です。
いずれは高級感を出すために金属でケースを作ってみたいですね...
長くなってきたので前編はここまでです。
後編ではこのキーボードが動くところまでやっていきます!
参考
- Shiki Okasaka. エルゴノミック キーボードの簡単な歴史. Shiki’s Weblog, 2017/02/04 (参照日2020/04/07)
- 大岩元. キーボードによる日本語入力. コンピュータ ソフトウェア, 1988, 5.3: 3_218-3_227.
- 坂村健, et al. BTRON における入力方式-TRON キーボードの設計. 情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI), 1986, 1986.41 (1986-HI-007): 1-8.
- 中迫勝. キーボードの人間工学的設計. 人間工学, 1986, 22.2: 53-61.
buildersbox.corp-sansan.com
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*1:ErgoDoxを使っていました。 ErgoDox Mechanical Keyboard
*2:プリント基板のこと。PCB - Self-Made Keyboards in Japan
*3:スイッチをはめること
*4:カスタムキーボードについてはこちらの記事が詳しいです。 カスタムキーボードって何? どこで買えるの? 自作キーボードとの関係は? 調べてみました! – recompile.net
*5:プレート - Self-Made Keyboards in Japan
*6:こちらからダウンロード可能です。エスリル ニューキーボード − NISSE
*7:こちらのページに説明があります。よくあるご質問に関して(FAQ) − NISSE
*8:中迫勝. キーボードの人間工学的設計. 人間工学, 1986, 22.2: 53-61.
*9:私の雑な測定によると