Sansan DSOC研究員の前嶋です。「つながりに効く、ネットワーク研究小話」の第7回です。
ネットワーク研究の世界で最も興味深い研究トピックの一つが、「社会ネットワークがイノベーションやアイデアの創出に対して与える影響」です。例えば、異なる集団を仲介する人ほど、革新的なアイデアを思いつく傾向にあるという研究(Burt 2004)や、創造性にとって、集団"間"の橋渡しと同時に集団"内"の結束も重要である、といった研究(Uzzi and Spiro 2005)は有名です。
セレンディピティ
ところで、皆さんは「セレンディピティ」という言葉をご存知でしょうか。セレンディピティとは、様々な説明の仕方があると思いますが、「思いがけない偶然に出会ったり、探しているものとは別の重要なものに出会うこと、またはその能力のこと」です。科学史上で重要な発見には、多くの場合セレンディピティが関与していると言われています。
例えば、古代ギリシアの数学者アルキメデスは、複雑な形状をした黄金の王冠の体積をどう測るか?という問いに悩んでいたところ、入浴中たまたま風呂桶から水があふれる様子を見て、王冠を水に沈めた時に増えた水の体積をもとに王冠の体積を測るというアイデアを思いついた、という逸話が広く知られています。