はじめに
Digitization部 Scan Operations Group の吉本です。
今回は、Bill Oneサービスにおける「スキャン」そして、その「オペレーション」について紹介します。
Bill Oneサービスとは
Bill Oneとは「あらゆる請求書をオンラインで受け取る」をコンセプトに2020年5月にローンチされたサービスです。
リリースから4年強で契約者数3,000社以上、ARR(年間経常収益)は84億円超となる、おかげさまで爆速成長中のサービスになっております。
Bill One の実現したい世界と「代理受領」
Bill Oneのサービスの裏側には「データ化」があることは想像しやすいとは思いますが、実は「代理受領」も行っています。
代理受領とは、ユーザーの取引先から請求書を代理で受領し、スキャニングを実施するものになります。
受領からのスキャンオペレーションを代行することで、ユーザーは紙を触ることなく、Bill One上ですべての経理処理が進められる世界を実現しています。
Sansan へのジョイン
私は今のSansanに入るまでも、いわゆる物流管理やオペレーションに長く携わっており、eコマース大手のフルフィルメントセンターや郵便クラウドサービスのスタートアップで、オペレーション構築やオペレーション管理を15年ほど経験してきました。
フルフィルメントセンターでは、日々取り扱う物量規模も考えられないくら大きく世界レベルでありましたし、今思えば「オペレーション」に対する考え方や現場への反映が市場と比較し10年以上は進んでいたなと感じています。「オペレーション」というものの基礎や重要度を大きく学ばせて頂きました。その後、その経験を活かし「オペレーション」の思想を広めていきたいという想いから、いくつかのスタートアップでオペレーション構築、システム・現場の体制構築、運用まで、一気通貫でチャレンジする機会をいただいてきました。今はSansan株式会社でマーケットシェアNo.1のスキャンオペレーション構築、そして運用責任者という役割を担っており、まさに「オペレーション」づくしのビジネス人生を歩んでいるなと実感しています。
Sansan株式会社でBill Oneスキャンセンターの立ち上げメンバーを探しているというお話を頂いた当時、まさに『自分の力を発揮できる場所だ!』と意気揚々とジョインしたのですが、簡単な場所ではありませんでした。
物理オペレーション構築の難しさと面白さ
Bill Oneは有難いことに急拡大し続けているサービスということもあり、私がジョインした当時は、Bill Oneがリリースされて間もないということもあり、増え続ける請求書流入に対して、スキャニングに欠かせないマンパワーの増強やそれに耐えうるシステムの整備などやらなければならないことが山積でした。特に月初の繁忙日は一日中スキャニング作業に追われるような状態です。
私も入社初日から、段ボールを積み上げる・スキャンする、という作業から入り、初日からフルフルに実業務だったりで動き回り、とんでもない業務をすることになったかも知れない...!と思ったのを覚えています。
そんな中ですが、私は入社して、まず、大きく以下の2つのミッションを持ち、現場理解・課題整理・改善の落とし込みに取り組みました。
①急激な事業成長に合わせてスケーリングできるスキャンオペレーションを構築すること。
②7ヵ月後に決まっていたスキャンセンターの移転による新センターを立ち上げること。
デジタルデータと異なり、郵便物で届くアナログデータは受領タイミングではどのユーザーに関する・どの取引先からの請求書なのか、一つの封筒に何件の請求が含まれているのかが分かりません。
もちろん、その送られてくる封筒のサイズや内容物の請求書などはサイズ含めばらばらです。
特定の日にはある日の10倍以上の封筒が届いてくることもあり、その翌日は急にその10分の1以下、などということもあります。さらに、それらはサイズもばらばらなものなので、作業自体もばらつきやすいものです。
入社当初の運用方法では、Bill Oneの事業拡大スピードに耐えきれないことは明確であり、さらに上記のような問題への取り組みまで考慮することが難しく、大きく運用内容を変える必要がありました。
簡単にお伝えすると、Sansan社の強みであるデジタルオペレーションのノウハウと人力のキャパシティを上手く活用できる仕組みを構築し、どうしても発生してしまう物理でしか行えない業務と、デジタルでできる業務を切り分ける中で、物理業務領域を小さくし、できるだけWeb上で作業するようにしていくなど、オペレーションフローの設計・システムの大改修を行いました。これらを進めていくことで、自動化を大きく進めていけるようになるとともに、処理に介入する人を大きく増やすことができたことで、作業効率が大きく向上しました。
このような大改造により、改修前の3倍の量をはるかに短時間で完了し切ることができ、かつ1件あたりの作業コストも低減させるという、Bill Oneスキャンという分野において大きく進化を遂げられたと思っています。
そんな中で、物理オペレーションは場所・人・機材など制約が多く、急拡大や大きな改善が難しい領域ですが、その分奥が深く、とても面白い仕事だと思っています。
新スキャンセンター立ち上げ
さて、私には、新スキャンオペレーションの検証・構築を進めながら、日々の運用を行い、更に新たに開業する新スキャンセンターの立ち上げというもう一つの大きなミッションがありました。
新しいセンターを開設する際、作業エリアと作業導線の整備・人の採用・教育・管理メンバーの育成・保管場所など、物の流れをしっかり意識してオペレーションを構築する必要があります。
そして今回は、管理者・オペレーターいずれもゼロから採用するという痺れる企画(笑)で、採用活動を急ピッチで進めながらジョインしたメンバーを育成・立ち上げ、そして同時に旧センター・新センターでの並行運用〜切り替えも行うという、まさに怒涛の日々でした。
半月ごとに多くの方々が入社し、作業をレクチャーして立ち上げるを繰り返し、立ち上げ前から倍以上でのオペレータ体制を構築することができています。
立ち上げ当時は本当にシンプルに大変でしたが、ゼロからセンターを立ち上げることをど真ん中で経験できたこと、自分の経験を活かしてしっかり成果に繋げられたことを踏まえて、とても貴重な機会になったと思っています。
今後スキャンセンターとしてやっていきたいこと
Sansanという会社はデータ化、SaaSの会社として認知され、もちろんそこの強みは間違いなくあります。ただ、このスキャン業務は急激に変えられるものではなく、継続的に向き合っていかなければなりません。世の中の流れもあり純増するものではないことも理解していますが、スキャンセンターとしては現在の課題に立ち向かい、迅速にお客様に納品できるオペレーションを構築していく必要があります。まだまだ改善の余地が多く、劇的な変化も期待できると確信しています。
スキャンのできる書類でまだ現センターではじめられていないものもあります。世の中のまだまだ存在する特殊なスキャンを含めたマルチオペレーションにも向き合っていこうと考えています。
先ほど述べたように、請求書の到着数には日ごとに大きな差があり、これが閑散の原因となっています。そこをマルチオペレーションを進めることで閑散に対応したいと考えています。そうやって、常にスキャンに向き合い、どんなスキャン業務においてもQCD(品質、コスト、納期)のバランスが高い、世界一のスキャンセンターを目指しています。
私個人の目標としては「誰もが当たり前のことを当たり前にできるオペレーション」を作りたいという目標を持ってます。
誰にも指示をされることなく、ここに物が置かれたら右に移動させる、というルールが誰にでも理解できる環境であれば、自然とその場所から物は右に移動する流れが生まれます。
そういった誰もが把握できる当たり前の難しいことを考えなくてよい環境を作っていく積み重ねが、スムーズなオペレーションの基盤となると考えています。
必要な「当たり前」を皆が共有できれば、無駄のないオペレーションが実現できます。多くの人が単純な業務は難しく考えず実行でき、その分それ以上のことに誰もが挑戦できる余裕のあるセンターにしていきたいです。
最期になりますが、私の所属するScan Operations Groupは技術本部に所属しており、開発を含めた課題解決やシステムアプローチの選択肢が身近にあるのが、この組織の大きな魅力です。
上述のような、色々な様式のスキャンに対応していくこと、さらに最適な未来を見据えたオペレーションを考案し、それにあわせたフロー・体制をつくる、数値から課題を特定し、QCDを磨き上げていく、などなど、今のセンターはまだまだ発展途上であり、遠い道のりですが、高水準の「オペレーション」を、あたりまえにサービスとして提供していけるよう、仕組みづくり・体制づくりを共に推進してくれる方を探しています!お待ちしています!