Sansan Tech Blog

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オンライン勉強会のリモート登壇とそれらを通して考えたこと

こんにちは。CTO室改めプロダクト戦略開発室*1の鈴木由香です。何度か本ブログにも寄稿していますが、テックブランディングにまつわる仕事をしています。*2
勉強会などを企画運営することも業務のひとつなのですが、2月後半からは COVID-19 の感染拡大を防ぐために全社でオフラインイベントの開催を自粛しています。*3

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弊社主催のものだけでなく多くのイベントが中止や延期になっており、必要な判断とはいえ、参加予定だった方や主催者の方、そのほか会場やイベント会社の皆さんなど関係者の残念な気持ちを思うと苦しい気持ちになります。
しかし、一部内容を変更するなどしてオンラインで開催するイベントも見受けられます。短い期間で関係者一丸となって協力し合い、開催にこぎつけようとする明るいエネルギーはこちらにも活力を与えてくれます。

もともとはオフラインでの開催予定だったTECH PLAYさん主催の「『データ分析基盤Developers Night #4 〜活用されるデータ基盤のつくり方〜』」も、前述の理由からオンラインに切り替えて開催されることになりました。登壇予定だったDSOCの千葉*4に相談すると是非やってみたいということだったので、そのままお引き受けすることにしました。

この記事では、オンライン勉強会のリモート登壇と、それらを通して考えたことをまとめていきます。あまり深くは踏み込めていない領域ですが、少しでも役立つ情報になれば幸いです。

イベントについて

概要

今回の勉強会は『データ分析基盤Developers Night』の第4弾で「活用されるデータ基盤」について、メルカリ社・マクロミル社・Sansanの3社がお話するものでした。もともとは会場のキャパシティにあわせて参加者の定員は100名に設定されていましたが、オンラインに切り替えることでその制限がなくなり、結果的に333名の方にお申し込みいただきました。配信中は瞬間最大で160名を超える方にご視聴いただいたそうです。

オンライン配信

登壇者3名はそれぞれ別の場所から登壇をすることになりました。マクロミル社は元々会場の予定だったTECH PLAYさんのセミナールーム、メルカリ社はご自宅、Sansanは自社の会議室からです。リモート登壇者については、事前に通信チェックがありました。
Sansanの場合は、TECH PLAYさんのセミナールームと会議室をZoomでつなぎました。その映像を、テスト用に作った限定公開のYouTubeで問題なくミラー配信できているかを確認しました。
本番では、Zoomでリモート登壇者がいる2箇所と繋いだ映像と会場でのライブ映像がYouTubeで配信されました。その様子は以下からご覧いただくことができます。(千葉の登壇は59:12頃から。登壇資料はこちらからご覧いただけます。)

youtu.be

TECH PLAYさんのご尽力があってこそですが、配信に大きなトラブルは起こらず、安心してご覧いただけたのではないかと思います。視聴者の方からの反響も、コメントがリアルタイムで更新されていくので臨場感があり、また気軽に投稿してくださっている印象を受けました。

オンライン登壇のスピーカーとしての準備

わたしたちは、以下のものを準備してオンライン登壇に臨みました。

  • 登壇者が資料を見るためのPC
  • 登壇者が音を拾う&マイクとしてのAirPods
  • 大型モニター
  • モニターにZoomとYouTubeを映すためのPC
  • iPhone(YouTubeの音を確認するためなど)
  • 2台のPCとiPhoneの充電器

どれもすぐに準備できるものばかりです。わざわざ書き出すほどでもないと思われるかもしれません。
しかし今回のような場合、リアルタイムで配信されている映像を確認したいときには、登壇者のPCのみだと少しやりにくいのではないかと思います。理由はZoomとYouTubeに時差が発生することが大きいですが、それ以外に、たとえば登壇者のPCなどにトラブルが起こった場合にも、別のPCをZoomに繋いでおくことでリカバリーが効きます。

今回は事前のチェックでZoomとYouTube上での配信の時差が30秒程度あることがわかったため、実際に配信されている映像(YouTube)をいつでも確認できるようにしながらも、映像も音声もZoomを基準とすることにしました。(YouTubeを基準とすると会場とのコミュニケーションの際にズレが発生してしまいます。)
また、iPhoneではYouTubeをすぐ確認できる状態にしておき、音声の確認はそちらで行えるようにしました。

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登壇中の千葉の様子。ZoomとYouTubeに時差があるため映像が異なります。


登壇スタイルの一例のご紹介ですが、先日DEIM2020でオンライン登壇した、DSOC研究開発部の奥田は以下のような形でお話したそうです。


千葉もUSBコンデンサーマイクの使用を検討したとのことで、登壇を含めオンラインでのコミュニケーションが頻繁になるようであれば、こういったものもあるといいかもしれません。このマイクの詳細についてはこちらの記事に詳しいです。

千葉の所感

初めてのオンライン上での勉強会登壇だったので、心配もありましたが無事終えることができました。
特に映像の調整等はテックプレイ側の専門家の方がかなり調整してくださっていたので、不安なく発表ができました。(そういう意味では、今後このような映像配信の専門家は各企業必要になってきそうな感じがします。)
発表した感覚としては、普段のZoomを使ったオンラインMTGと同じでした。
聴衆の目も体感としてはなかったので、余計な緊張をせずに済みました。Youtube Live での、コメントによるレスポンスはなかなか新鮮で、これはオフライン勉強会にはないメリットかなと思いました。
心残りなのは、こちら側の環境が MacBook の内蔵カメラ + AirPods Pro で望んだことで、ガジェット好きとしてはもう少しこだわりたかったです...!

まとめ

じつは弊社でも、過去に勉強会のライブ配信をしたことがあります。会場が16名ほどしか入れない場所だったため、より多くの方に届くようにそのような挑戦をしました。結果、大きな問題は起こらずご覧いただけたのですが、当然ながらオンライン視聴者は懇親会に参加できないなど、解決できない課題はあるなと感じました。

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そういった経験も踏まえ、勉強会のオンライン開催のメリットや考えるべき事柄についても簡単にですが触れてみたいと思います。

オンライン開催のメリット

ほかにも多くあると思いますが、簡単に例をあげていきます。

  • 物理的な制限がなく多くの方に届けることができる
  • 参加者が会場の遠さなどを考慮せず参加できる
  • 参加者は途中参加や途中退場が気軽にできる
  • 参加者はコメント欄などで気軽に質問したり反応したりできる
  • 参加者は他人に知られずに参加できる
  • 資料が見やすい
  • 遠方に住む方にも登壇をしてもらえる
  • 登壇者がリラックスして話せる
  • 荒天や電車の遅延などに影響されない
  • 人との接触がないため感染症などの予防ができる

考えるべきこと

上記に挙げたメリットは、裏を返せばデメリットになったり、ある条件のもとでは役に立たない可能性もあります。
また、懇親会で親睦を深めたり偶然の出会いが起こることはありませんし、乏しい経験上ではありますが、アンケートの回答率は下がります。
さらに、主催者側はカメラやマイクをはじめとした設備のほか、できれば専門的な方を、そうでなくても知識がありトラブル対応可能な方を常駐させなければなりません。生放送なので当然リスクは高くなり、その洗い出しと対応方法や責任者を決める必要もあります。登壇者ともリスクについての調整が必要です。*5少し考えただけでも、オフラインの場合よりスタッフや準備が必要なことは明白です。
それでも、オフラインではでき得ないことを可能にする魅力もあります。

わたしたちは、当然ですが「オンラインとオフラインが選べる時にどちらを選択するか」そして「その理由は何か」ということを、イベントの趣旨や目的と合わせて考えていかなければいけません。また、オンラインとオフラインのいいとこ取りができる併用とそのバランスについても模索していきたいと思います。

おしまいに

今回、短い準備期間で勉強会をオンライン配信する環境を整えてくださった、TECH PLAYさんには大きな感謝を申し上げたいです。また、同時にこのような動きができることはとても素晴らしいと感じました。改めて、開催に向け動いてくださりありがとうございました。



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*1:経緯はこちらにあります。 プロダクト戦略開発室の業務について - Sansan Builders Box

*2:詳しくはこちらでお話しています。Sansan Tech Podcast #8

*3:2月3月のイベントにお申し込みいただいた皆さま、ご迷惑をおかけし申し訳ありません。可能な限りちがう形やタイミングに振り替えていきたいと思っています。

*4:ガジェット大好きで、こちらの連載の筆者です。

*5:たとえば、スライド内に機密情報や著作権侵害になるような画像がないか、など

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