
この記事は、Sansan Advent Calendar 2025、5日目の記事です。
はじめに
こんにちは。Sansan Engineering Unit名刺メーカーDevグループの伊藤です。
Sansanでは2025年に「AIファースト」を打ち出し、社内のAI活用は一気に加速しました。名刺メーカーDevグループも、その中心で大きな変革を経験しています。
本記事では、その変革の中で私が試行錯誤しながらたどり着いた「三位一体のAI開発スタイル」について紹介します。
2023年~2024年:AIを避けていた頃
正直に言うと、2024年の私はAIコーディングに懐疑的でした。その背景には、2023年にChatGPTを使ってコードを書かせてみたところ、精度が低く実務では使えないと判断した経験があります。
そのため、タスク分割や仕様整理の相談にはAIを使いながらも、コードそのものは「自分で書きたい」という気持ちが強く、AIを積極的に活用する気にはなれませんでした。
結果として、「まあ、便利な補助ツールくらいだろう」と距離を置きつつ、AIコーディングを避け続けていました。
2025年前半:AIの海に飛び込む
AIファーストの波が社内に広がりはじめると、さまざまなAIツールの事例紹介や、活用ナレッジが共有されるようになりました。
その流れに後押しされ、私は久しぶりにChatGPTにコードを書かせてみることにしました。
すると、驚きました。
初めて使った2023年の「あの頃」とは別物です。
断片の改善、ゼロからのコード生成、文脈理解…。「ここまで進化していたのか」と実感できるレベルでした。
これが私のAI活用へのアクセルを踏む転機でした。
2025年中盤:Devinに出会い、世界が変わる
さらに大きな変化が訪れたのは、他チームの方に誘われてDevinを使い始めたときです。Devinは、ChatGPTとは全く異なる体験をもたらしました。
Devinの衝撃
- GitHubのコードベース全体を理解してくれる
- タスクを非同期に進めて、PR作成までやり抜いてくれる
- 「自分が10人いる」ように振る舞い、スケールアウトできる
ChatGPTも強力でしたが、「会話ベース」であるため毎回やり取りを繰り返す必要があり、その結果、自分の時間が足りないもどかしさを感じていました。
対してDevinは、非同期に自律して活動してくれるので、自分が関与するのは最初だけです。
もう1人の自分が、勝手に開発を進めてくれる
まさにこの感覚です。
2025年中盤:ボトルネックは人間のコードレビューへ
Devinで開発が爆速化したことで、次の問題が明確になりました。
コードレビューがボトルネックになる
これは世界中で同じ課題が叫ばれており、名刺メーカーDevグループも例外ではありませんでした。
そこで導入したのが、コードレビュー特化型AI「CodeRabbit」です。
CodeRabbitの良いところ
- PR上でコードレビューを非同期で実施してくれる
- 指摘の重要度を明示してくれる
- 現在のコードベースを超えた改善案も提案してくれる
CodeRabbitによる一次レビューが入ることで、人間のレビュワーとのラリーが減りました。これは、Devinの導入と並ぶ大きな進化でした。
2025年終盤:Windsurfに出会い、自分が変わる
DevinとCodeRabbitを使う日々の中、ある日、Devinの開発会社Cognition社が買収したWindsurfというIDE型AIツールの存在を知って使い始めました。
これがまた、大きなターニングポイントでした。
Windsurfは「自分を強化するAI」
- Cascade Chatは「優秀な相談相手」
- DeepWikiとCodeMapは複雑な仕様を丁寧に解説してくれる「先生」
- Windsurf TabとCascade Codeはペアプロしてくれる「強力な相棒」
これらの機能に支えられて、自分のコーディング能力がパワーアップしました。
Devinが「スケールアウト」するためのAIならば、Windsurfは「スケールアップ」するためのAIです。
私は、ChatGPTでの相談をやめて、Windsurfを全面的に使う という選択をしました。
三位一体のAI開発スタイルが完成する
こうして私は、3つのAIを中心とした開発スタイルへとたどり着きました。
Windsurf × Devin × CodeRabbit
私の開発スタイル
1. Windsurfで高速にコードを書く
2. Code Rabbitが自動レビューし、改善を回す
3. レビュー終了後、人間のレビュワーに回す
4. 人間からの指摘は、Devinが非同期で自動対応
5. 修正完了するとDevinから通知が届く
このスタイルにより、1人で多くのPRを同時に進めるという従来では難しかった働き方が実現しました。
Windsurf上からDevinを管理できる拡張機能も自作して、さらに活用は進んでいます。
実績:生産性はここまで向上した
Windsurfを導入したところ、明確な成果が数値として現れました。
- Windsurf導入前(3週間平均)Story Point:16.67pt
- Windsurf導入後(3週間平均)Story Point:30.1pt
なんと 約1.8倍 に成長しました。
これから:ボトルネック突破への次の一手
Code Rabbitによりレビュー体験は改善しましたが、それでも「人間のレビュー」はボトルネックとして残り続けています。
しかしチームの経験上、タスクが適切に分割され、PRの説明が明確であれば、レビューは速く終わるという実感があります。
名刺メーカーDevグループでは、AIコーディング品質の担保と、レビューが滞留しない開発を実現するために、仕様駆動開発(Spec-Driven Development) の導入を進めています。
仕様をコードより先に明文化し、タスクの粒度まで落とし込むことで、AIと人間が同じ意図を共有したまま開発でき、レビュー時の迷いも生まれなくなるためです。
おわりに
AIツールは「単体で使う」段階から、どう組み合わせるかで開発体験が変わるという段階に入ったと感じています。
私にとっての最適解は、Windsurf × Devin × CodeRabbit の三位一体スタイル でした。
この3つのAIと共に開発することで、本来の創造的な部分に集中でき、生産性は劇的に向上しています。今後も、この開発フローをさらに洗練し、チーム全体で再現できる形へと広げていきたいと思います。
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