こんにちは、Sansan Tech Blog編集部です。今回は2025年6月にSansan株式会社のCTO(最高技術責任者。Chief Technology Officerの略)に就任した笹川に、就任の背景や考え、そして今後の展望についてインタビューしました。
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――CTOに就任したことで、ご自身の中でどのような変化を感じていますか?
実のところ、日々の業務やスタンスはこれまでと大きくは変わっていません。必要な人と人をつなげるなどといった日常の動きは、これまでも、これからも変わらないつもりです。
役職がついたことで、社外や他部署からの見え方は変わると思いますし、その肩書を生かす場面もあると思います。ただ、肩書が自分を定義するわけではないと思っていて、これまで通り、チームやプロダクトがより良くなるように手を動かし、声をかけていくというスタンスは変わらないですね。
――Sansanでのキャリアを振り返って、CTO就任の打診を受けた際に決意を固めるきっかけになった出来事があれば教えてください。
一つの転機としては、新規事業や複数のプロダクト開発に関わる中で、プロダクトごとの技術的な判断が、会社全体の未来にも影響を及ぼすという実感を持ったことです。
個人での開発や意思決定が、結果的に会社の文化や技術的な選択肢を形づくっていく。その延長線上に「Sansan全体の技術とプロダクトをどう導くか?」という視点を持つようになったことが、CTOという立場を意識するようになったきっかけかもしれません。
――Sansanのプロダクトが、たびたび笹川さんが口にする「世界を変えるプロダクト」になるためには何が必要だと考えていますか。
3つの要素が必要だと考えています。
一つ目は「圧倒的な技術力」。ただ作れる、動くというだけでは足りなくて、深さと広さを両立する知識や、設計・実装のクオリティーをどこまで突き詰められるかが問われます。
二つ目は「圧倒的なチームワーク」。いいプロダクトは、一人では作れません。特に非同期で動く組織では、コミュニケーションの精度や分担の設計が極めて重要になります。
三つ目は「既存を疑い変える力」。ルールや前提に縛られるのではなく、本当に必要かを見直し、合理的に変えていく。これは技術者としても、組織づくりとしても欠かせない視点です。
――「圧倒的な技術力」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか?
開発の現場では、「クオリティ」と「スピード」はしばしばトレードオフの関係にあると言われます。でも本当に技術力がある状態とは、その2つを両立できることだと思っています。つまり「高いクオリティのものを、素早く届けられる」状態です。
知識の幅があっても、表面的な理解だけでは意味がありません。深く掘る力と、広い視野の両方が必要です。「T字型のスキル」とよく言われますが、僕はむしろ「逆三角形」のように、あらゆる方向に掘っていくイメージを持っています。
また「これは無理だ」とすぐに線を引くのではなく、「必要ならやるし、学ぶ」という姿勢が大切です。そういう人たちが集まると、チームは自然と「なんとかできる集団」になっていく。結果として、大きな成果を生み出せるようになると思います。
――AIの発展が加速する中で、プロダクト開発の現場では今後どのように活用していきたいと考えていますか? また、それに伴って技術者に求められる力にはどんな変化があると思いますか?
AIが出すコードや提案の中には良いものもありますが、それを見抜き、組み込むには判断力が必要です。技術力が高ければ高いほど、AIの出力を「生かす」ことができる。逆に、技術的な土台がなければ、良い出力を見逃す可能性もある。
現状では「速く雑に出してくれる相棒」としてAIを捉えつつ、それをいかにうまく生かせるかが重要だと思っています。
そのためにも、何を求めているのかを正しく伝える「言語化の力」がますます重要になっています。例えば、曖昧な意図で指示すれば、当然出てくる結果も曖昧になる。技術者として、自分の意図を正確に言葉にする力が、今後の差分を生むと思っています。
――CTOとして技術本部で働く面白さは何だと思いますか? また、今後取り組んでいきたい課題やチャレンジは何ですか?
技術的にも組織的にも、Sansanは今「まだまだ変われる」状態にあります。それがとても面白いところだと思っています。
今後は、チームの成果をいかに高めるか、そのためにどんな構造を設計するかに注力していきたいです。プロダクトもグローバルに通用するクオリティーを目指していく中で、エンジニアやPMがより大きな影響を持てる環境にしていきたいと思っています。
何より、既存のやり方にとらわれず、試行錯誤しながら進んでいけるのがSansanの強さだと信じています。
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