Sansan Tech Blog

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「プロダクトで成果を出す」 ──Contract Oneのプロダクトマネジャーが職種の枠を越えて挑戦する理由

「プロダクトで成果を出す。そのために必要なら職種の枠にはこだわらない」
そう語るのは、取引管理サービス「Contract One」のプロダクトマネジャー(PdM)を務める午菴と北野です。

二人がいま向き合っているのは、AIによって大きく変わり始めたプロダクト開発の現場です。PdM自らがUI改善を実装し、エンジニアは事業視点で提案し、法務メンバーも企画や商談に入り込む。役割や肩書きにとらわれず、それぞれがプロダクトの成果に向けて動いています。

役割や職種の枠を越えて挑戦する。そんなContract One事業部では、どのようなプロダクトづくりが行われているのでしょうか。
異なるキャリアを歩んできた二人に、Contract Oneならではのプロダクトづくりと、そこでPdMが果たす役割について聞きました。


午菴 夏希 / Natsuki Goan
Contract One事業部 プロダクト室
新卒で広告代理店にて営業・販売促進・新規事業に従事。2017年よりデザイナーに転身し、大手人材企業の転職サービスの企画・開発を担当。
2020年12月にSansan株式会社へ入社し、ビジネスデータベース「Sansan」のプロダクトデザイナーを経て、2024年からContract Oneのプロダクトマネジャー兼プロダクトデザイナーを務める。



北野 浩司 / Koji Kitano
Contract One事業部 プロダクト室
大学院卒業後、外資系計測機器メーカーにエンジニアとして入社し、研究開発者向けSW/HWのテクニカルサポートに従事。その後、製造業調達部門に特化したSaaSスタートアップに転職。マーケティングや導入活用支援を兼務したのちプロダクトマネジャーとして新規事業の立ち上げに携わった。
2025年8月にSansan株式会社に入社し、プロダクトマネジャーとしてContract Oneの製品企画を推進している。

「事業のためなら何でもやる」──異なるキャリアからContract OneのPdMへ

──これまでのキャリアについて教えてください。

午菴:はじめは広告代理店で営業をしていたのですが、お客様と深く向き合う中で「作って届けるところまで関わりたい」という気持ちが強くなり、デザイナーに転身しました。
そこでさまざまなクライアントの案件に携わるうちに、今度は一つのプロダクトに長期的に向き合いたいという思いが生まれ、事業会社への転職を考えていたタイミングでSansanを知りました。個人的にも名刺アプリ「Eight」を使っていて、そこで出会った人との縁が仕事につながった経験もあったので、以前からSansanのミッションには共感していました。

Sansanへ入社後はデザイナーとしていくつかのプロダクトに携わり、約2年前からContract OneのPdMを務めています。

異動のきっかけは、事業責任者の尾花から「PdMをやってみないか」と声をかけてもらったことでした。

──PdMをやってみることに抵抗はなかったのですか。

午菴:全くありませんでした。私の働くモチベーションは、事業への貢献を実感できることにあります。ユーザーに良い体験を届けたり、身近なチームメンバーの助けになったり、形はさまざまですが、自分の働きが誰かの役に立っている瞬間が好きなんです。

なので、「デザインじゃないといけない」というこだわりは特になかったですね。ちょうどPdMが足りていなかったこともあり、「事業のためなら何でもやります」という気持ちで引き受けました。

今振り返ると、尾花が評価してくれていたのも、デザイナーとしての専門性以上に、そのスタンスだったのだと思います。


──北野さんのこれまでのキャリアについても教えてください。

北野:大学院でシステム工学を専攻したのち、新卒入社した外資系の計測機器メーカーではエンジニアとして技術サポートや研修講師の仕事をしていました。
当時、仕事に一定のやりがいは感じていましたが、「新しい事業やプロダクトを作る挑戦がしたい」という思いが次第に強くなり、ご縁のあった創業期のSaaSスタートアップに転職しました。
そのスタートアップでは最初カスタマーサクセスの立ち上げに関わり、その後マーケティングも兼務するようになりました。そうした折に社内で新規プロダクトを立ち上げる話が持ち上がり、「お客様のことをよく知っているし、技術系のバックグラウンドもあるから」と声をかけてもらってPdMに転身しました。そこからはプロダクト開発の仕事を続けています。

──Sansanに入社したのはどういった経緯ですか?

北野: 私は、複雑な業務を解きほぐして、そこから得られたマニアックなインサイトをもとに課題を解決する、というプロセスがすごく好きで(笑)

前職でも自動車業界特有の複雑な商習慣や帳票構造を読み解いて、得られた知見をお客様への活用提案やコンテンツ作成につなげることや、汎用的な機能としてプロダクトに落とし込むようなことをやっていたんです。

そうした経験やスキルが生かせる次のチャレンジを探していたときにContract Oneに出会い、「契約書」という領域が面白いと思いました。
会社ごと、業界ごとに扱う契約書は大きく異なります。そこには各社・各業界固有の商慣習や取引の知恵が埋もれていて、まだ体系的な知見として整理されていない領域がたくさんありそうだと感じました。

もう一つは、Sansanという会社自体への興味もありました。
以前からSansan社員の外部発信を見ていたので、PdMとして成長できる環境があるという印象を持っていましたし、Bill Oneの目覚ましい成長を見ていたので、Sansanが持つ組織的な営業の強さは確信していました。

一定の顧客基盤と営業組織が整った会社の中で、これから伸ばそうとしている新規事業領域で働けば、自分が作ったものが社会により大きなインパクトで届くはずだという期待もありました。

AIで開発スピードは3倍に。Contract Oneで起きている変化

──現在携わっているContract Oneとは、どのようなプロダクトなのでしょうか?

午菴:Contract Oneは、契約書・発注書・見積書など、ビジネスで発生するあらゆる取引書類をデータ化・構造化して管理・活用できる取引管理サービスです。

紙・電子を問わず高精度でデータ化し、契約書になじみがない方でも取引の条件や変遷を一目で把握してビジネスに生かせる環境を提供しています。
直近ではMCPサーバーの提供を開始するなど、契約データベースと生成AIを接続した新たな価値提供にも積極的に取り組んでいます。
jp.corp-sansan.com

──Contract Oneの企画が生まれるプロセスを教えてください。

午菴:いくつかパターンがありますが、まずは「ユーザーフィードバック」ですね。

Sansanには、プロダクトごとにユーザーからのフィードバックを集約したSlackチャンネルがあり、お客様と接するフロントメンバーが、ヒアリングした要望や課題をSlackチャンネルに投稿してくれる仕組みがあります。
私たちPdMも常に目を通しているので、すぐに対応できそうなものは即座に企画として動かしています。

次に、新規顧客の提案ベースで生まれるもの。「この機能がないから導入に踏み切れない」という場面で、クイックに意思決定して実装するというケースが結構あります。

そして、将来的なプロダクトの方向性から逆算して「これをやるべきだ」という私たち自身の意志として考えるもの。

あとは、ビジネス側からだけでなく、エンジニアから提案が上がることもよくあります。具体的には、パフォーマンス改善や将来の発展性を見据えた技術的な提案もありますし、ユーザーフィードバックを見て、「これすぐ対応できますよ」と自主的に拾い、課題や要件を整理してくれることもあります。

そうした声を受けて、優先度を柔軟に組み替えることも多いですね。

──AI活用によってプロセスはどう変わりましたか?

午菴:企画プロセスの大きな流れは変わっていませんが、各ステップのスピードと精度が上がりました。
チームではClaude Codeを活用していて、議事録や社内ドキュメント、Slack、Salesforceなどあらゆる情報を参照しながら企画検討を進められるようになりました。

提案資料やプロトタイプをクイックに作ってお客様に提案し、フィードバックをもとに修正してまた見せる——このサイクルが劇的に速くなっています。

プロトタイプを作りながら企画を詰めていくので、企画が固まる頃にはある程度の体験も出来上がっている。結果として、新機能を届けるまでのスピードも上がってきていると感じます。

実際の開発スピードも体感で2〜3倍くらいになっています。
以前は限られたリソースの中で「どれを優先するか」を必死に議論していましたが、今はAIによって開発スピードが劇的に上がり、「何を諦めるか」ではなく「いかに早く次の企画を生み出すか」という前向きな議論に変わりました。

──以前別のインタビューで「簡単なUI改善ならPdMが自ら実装してリリースしている」と伺ったのですが、本当ですか?

北野: はい、こちらの記事でも触れていますが、エンジニアだけでなく、PdMやデザイナーも影響範囲の限られた改善であれば自ら実装・リリースできるようにしています。

AIを活用しながら、必要なチェックを経ればリリースできるルールを設けています。
PdMやデザイナーが自ら実装・リリースできるようになったことで、それまで開発リソースの都合で優先度を上げきれずにいたユーザビリティの課題をどんどん解消できるようになりました。

そうした改善が進んだ結果、以前と比べてお客様からいただくフィードバックの純度が上がってきた感覚があります。表面的な問題が解消され、より本質的な課題にフォーカスが当たるようになってきた。
そうすると「事業を伸ばすために次に何をやるべきか」についての認識が、チーム内で自然と揃ってくるんです。これはAIを活用する前では得られなかった感覚で、興味深い発見でしたね。


エンジニアも法務も。“職種を越えて”プロダクトを作る

──エンジニア組織との距離感はいかがですか?

午菴:エンジニアとの距離はかなり近いです。毎日のように誰かが私たちの席の隣に来て、気軽に話せる環境ですね。

企画の早い段階からアーキテクトやエンジニアに入ってもらい、事業の状況や数字を共有しながら方針について議論しています。
だからこそ、技術負債の解消や将来の発展性を見据えた提案はもちろん、ユーザーフィードバックを拾って課題や要件を整理してくれることもあります。

あとは、ミーティングの録画や議事録は全員がいつでも参照できる状態になっているので、自然と状況を把握して提案や相談をしてくれたり、ときには「これってどんな状況ですか?」という一言をきっかけに案件が動き出すこともあります。

北野:入社して感じたのは、エンジニアがとにかく優秀だということです。技術だけに閉じず、事業がどうすれば伸びるかに強い関心を持っている。内部品質と事業インパクトのトレードオフが生じる場面でも、高いレベルでバランスよく判断している印象があります。新卒メンバーでもそういう視点で話をしているので、最初は驚きました。

──職種を越えた連携という点では、法務担当との協業もユニークだと伺いました。

午菴:はい。法務担当のメンバーがドメインエキスパートとしてPdMのように企画から入り、さらに自らお客様の商談に同席して、熱量を持って提案することもあります。
AI時代に法務の業務がどう変わっていくべきかを自ら検証し、最前線で動いているんです。

こうした職種の垣根を越えた連携は、Contract Oneの大きな強みですね。

「プロダクトで成果を出す」がPdMのミッション

──Contract OneにおけるPdMの役割はどう定義されていますか?

午菴:以前、チームで「ミッションを言語化しよう」と話したときに、「プロダクトで成果を出す」という言葉になったんです。つまり、プロダクトで成果が出ることなら何でもやる、ということだと思っています。
企画をして、デリバリーのプロジェクトマネジメントをするのはもちろんですが、商談への同席も、展示会への参加も、社内で困っていることへの壁打ちも、デザインもやる。

それぞれの得意なことを生かしながら、必要なことを必要なときにやっていくイメージです。

北野: 実際、商談に同席する機会は多いですね。企画の方向性を考えるときにお客様の反応を直接見たいという目的で参加することもありますし、営業のメンバーから「提案に同席してほしい」と声がかかることもあります。
PdMの役割がきっちり定義されていないからこそ、そういう関係性が自然に生まれているのだと思います。

私自身、お客様との接点が多い方が仕事しやすいタイプなので、こういう環境はとてもありがたいなと感じます。

──AIが普及した時代に、PdMが担うべき価値とは何だと思いますか?

午菴:AIの普及により判断材料が増え、スピードも上がりますが、どこに向かうかの意思決定は人の役割ではないでしょうか。
また、AIを活用することで生まれた時間を使って、一次情報をより取りにいけるようにもなりましたね。商談への同席もそのひとつで、そこでしか得られないものがある。AIが普及するほど、人が足を運んで取りにいくリアルな情報の価値は高まると感じています。


──多様なバックグラウンドを持つお二人ですが、過去の経験がいまの仕事に活きていると感じる場面はありますか?

午菴: 営業時代にさまざまな人と関わってきた経験は、お客様や社内外のメンバーとのコミュニケーションに生きていると感じます。またデザイナー経験から、ヒアリングした課題をソリューションとして形にしていくプロセスを一通り担えるので、企画から設計まで一気に進められる。まさに、これまでの経験が重なって今の仕事につながっている感覚があります。

北野: 製品コードを書いた経験はないのですが、仕事でも趣味でもコーディングはしてきましたし、学生時代は統計や機械学習を研究していました。だからエンジニアと設計を議論するときも、R&Dのメンバーと話すときも、何が論点でどこに難しさがあるのかを掴みながら入っていける感覚があります。マーケティングやカスタマーサクセス時代の経験も、リリースした機能がどんな過程を経て顧客に届き、活用されるのかをイメージするのに役立っています。

いろんな立場の言葉が分かるおかげで、あまり境界線を意識せずに動けているかもしれません。

午菴:ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ、それぞれの領域でAIを使って苦手なところを自分で補えるようになったことで、豊富な経験がなくても広い範囲をカバーできる時代になってきたとも感じています。私のテクノロジーへの知識は簡単なフロントエンド実装程度でしたが、今自ら実装までできているのは、まさにAIの力ですね。

大企業の基盤で、スタートアップのように挑戦する

──最後に、これからどんな人がContract OneのPdMとして活躍できると思いますか?

北野: 「こだわりすぎない人」、つまり自分の役割を狭く定義しない人が合うと思います。自分の強みを活かしつつ、専門外のことにも踏み込んでいける人にとっては、やれることが多い面白いフェーズだと思います。

Sansanは大手企業のイメージを持たれがちですが、Contract Oneの現場はスタートアップのような熱量とスピード感の中で、ときには泥臭く取り組みながら成長し続けています。大企業の強固な基盤に乗りながら、スタートアップのような挑戦ができる。作り手としては、かなり面白い環境だと思います。

午菴:「プロダクトで成果を出す」ことに共感できる人ですね。「この仕事だけをやりたい」というより、事業を成長させるために自分に何ができるかを考えて、あれこれやってみようと動ける人にとっては、毎日変化があって楽しい環境だと思います。
気づいたらいろいろなことに首を突っ込んでいて、「あれ、私PdMになっていた」というタイプの人には、ぜひ来てほしいですね(笑)

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