こんにちは。Sansan株式会社でエンジニアをしている伊藤です。
契約業務をDXで革新するプロダクト「Contract One」の開発業務を担当しています。私は現在、5人のチームに所属し、新規機能の開発とチームマネジメント業務を担っています。今回は、私のチームで実施している「個人目標」と「360度FB」の取り組みについて紹介します。
エンジニアリング組織において、個々のメンバーが成長し続けること、そしてチーム全体がその成長を最大化できる環境を作り出すことは重要だと考えています。今回、「個人目標」と「360度FB」という2つの取り組みを導入し、個人とチームの成長速度を上げる試みを実施しました。その内容や結果について、今回ブログにまとめてみます。
個人目標
背景と課題
私たちの組織はOKRを運用しており、クォーターごとに組織全体の目標を設定しているため、組織的な目標は明確になっています。しかし、個々のメンバーが中長期的なキャリアや成長戦略について考える機会が少なく、短期的なタスクの遂行に追われることで、メンバーが自分の成長を振り返り、次のアクションを考える時間を確保するのが難しい状況でした。個人の成長への考え方、取るべきアクションなどは個人によって異なるため、環境やそれぞれの考え方に合わせて考えていくべきですが、それぞれが高いモチベーションで成長を続けられていることは自分のチームにとって重要であると考えています。
理想の姿
理想の姿として、メンバーそれぞれが自分の「Will」「Can」「Must」について考え、その上で組織やプロダクトへの貢献を最大化するための実行可能なアクションを言語化し、定期的に振り返りながら継続して行動に移せる状態を目指しました。
また、各メンバーの目標をチーム内で共有することで、互いにサポートしやすくなり、目標を達成しやすくなるという環境を作ることも考えました。
実際の取り組み内容
個人目標は「課題」「理想」「行動」の3つの項目をフォーマットとし、4半期の初めにマネジャーとすり合わせながら作成します。
具体例として、詳細は省略しますが以下のようなイメージです。
- 課題:チームの活動を邪魔する運用タスクなどがたくさんあり、コンテキストスイッチが発生してチームの生産性が落ちている
- 理想:ストリームアラインドチームとして、機能開発に集中してアウトプットの最大化ができている
- 行動::運用タスクを5件改善・自動化する、開発体験を向上させる、指標を可視化する
チームメンバー全員分が揃ったら組織全体への共有会を実施し、目標の共有やフィードバックをもらう機会を設けています。これにより、周囲のサポートを得やすくするだけでなく、目標達成に向けた新しい視点や具体的なアドバイスを得る機会になりました。
成果と学び
この取り組みによって、メンバーそれぞれが自分や組織の課題を言語化して実行可能なアクションを考える機会や、他のメンバーのチャレンジをサポートする機会が増え、チーム全体の成長が促進されたと感じています。実際に、共有した個人目標をきっかけに他チームとコラボレーションする機会が生まれたり、目標達成のために他チームメンバーと会話する場面が増えました。
一方で、運用を進める中での課題も見えてきました。特に初期の段階では、個人目標が抽象的で実行可能な内容になっていないケースが多く、振り返りの際に具体的な進捗や成果を確認しづらいという問題がありました。この課題を解決するために、目標設定時に会話を通じてブラッシュアップを行い、できるだけ実行可能で具体的な目標に仕上げることを意識しています。これにより、メンバー自身も目標に向けた具体的なアクションを明確にしやすくなり、振り返りの質も向上しました。
360度FB
背景
以前は評価の際に同僚評価の仕組みを導入しており、各々が各々へのメッセージを送信することを行っていました。このメッセージは感謝の気持ちだけになりがちで、時間をとって行っている取り組みとしては改善の余地があると感じていました。
自分だけでは気付けない自分の強みや、成長のためのアクションのアイデアなどをフィードバックする文化を強化することで、より良い振り返りができないかと考えました。
このような取り組みに近いもので、「360度評価」があります。SansanでもBill One事業部がその制度を導入していることを聞いていました。しかし、自分のチームでやりたいこととしてはフィードバックの文化を強化することだったため、評価の部分まで持ち込む必要はないと感じ、Bill One事業部の方から共有いただいたフォーマットにしつつも、評価と言う面は削ぎ落とした「360度FB」にしてみました。360度FBは、メンバーの見えにくい成果などを評価者が知るために行われる側面がありますが、自分のチームでは私が評価を行っており、距離が非常に近いためにそういった取り組みの必要性は感じなかったためです。
実際の取り組み内容
四半期ごとのフィードバック記入
各メンバーが自分以外のメンバーについて、「成果」「チャレンジ」「More(次の成長に向けた提案)」の3項目を記載する形式でフィードバックを行いました。この形式により、具体的かつ建設的なフィードバックが行えることを期待しました。
フィードバックの共有と活用
フィードバックはチーム内で共有され、それをもとに次の四半期の個人目標や行動計画を見直す際に活用しました。
成果と学び
360度FBを行ってみて、仕組み自体に以下のようなFBがありました。
- フィードバックを通じて、自分がどのようにチームに貢献しているか改めて気づくことができた。
- フィードバックを個人目標に反映させることで、より多角的なアクションを考えられるようになった。
他メンバーへのメッセージを考えることに時間を要しますが、有用な取り組みとして今後も運用していこうと思っています。メッセージ記入も時間がかかるため非同期で記入する形にしていましたが、全員が記入完了するのが遅れてしまったという反省点もあったため、次に実施する際は全員の時間をブロックして書く時間をとるようにしたいと思っています。
最後に
「個人目標」と「360度FB」という個人とチームの成長を向上させる試みの紹介でした。
個々のメンバーが自分の成長に主体的になり、チーム全体でその成長を支え合うことで、より強いエンジニアリング組織を作ることができると思っています。この取り組みが、皆さんのチームにとっても参考になれば幸いです。
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