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UXリサーチャーを始めて気がついた、プロジェクトマネジメント視点を持つ重要さ

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はじめまして。UXリサーチセンター UXリサーチャーの青木です。

Sansanに入社した当初は、Sansan事業部のマーケティング部で、リード(見込み顧客)獲得のためのコンテンツ制作や広告出稿などを行っていました。
UXリサーチセンターに加入してから7ヶ月になりますが、試行錯誤しながらリサーチ経験を積んできたこれまでは、学びが多く、あっという間だったなと感じています。

今回は、そんな私がUXリサーチャーを始めて学んだ、リサーチ案件におけるプロジェクトマネジメント視点の重要さについてお話します。

依頼内容を、ただリサーチするだけでは意味がない。リサーチャーに必要と感じた案件のマネジメントスキル

リサーチャーは、主にプロダクトマネージャー(以下PdM)からリサーチ依頼・相談を受け、その目的や検証することで何を明らかにしたいかヒアリングし、どんなリサーチをしていくのかを進めていきます。

私がリサーチャーになったばかりの頃に担当した案件で、調査結果を報告した後、依頼主側があまり納得した表情をしていないことがありました。

後からその案件を振り返ってみると、下記のことが十分に行えていなかったと気づきました。

【十分に行えていなかったこと】
- 依頼の目的から、「何を明らかにしたいか」の認識が依頼する側も受ける側も曖昧に進めてしまっていた。
- リサーチ依頼を初めてする依頼主に対して、UXリサーチは何ができるのかの前提説明が不十分なままだった。


上記のように、案件で行えていなかったことを洗い出していくなかで
UXリサーチャーは、主に2つのスキルが求められているとも感じました。

【リサーチャーに求められる2つのスキル】
①リサーチャーが調査案件をマネジメントするスキル
②検証点を明らかにするリサーチスキル

特に①がうまくいかないと、②も意味あるリサーチ結果にはなりにくいように思います。
リサーチャーが相手をリードして、いつまでに、どんな結果が得られるとプロダクト開発の意思決定に寄与できるかの全体をマネジメントする。言葉で書くと簡単に見えるかもしれませんが、途中で目的がずれてきていたり、検証点が増えすぎてしまっている…ということはあります。案件の軌道修正をしながら、確かな調査結果を得るためには案件のマネジメント能力は不可欠です。

UXリサーチャーは、依頼のあった内容をただ調査手法に当てはめて調査するだけではない。そう気づいたところから、リサーチ案件の目的からブレなく、バシッ!と結果を出すには、何か考え方の軸となるものがあるとよいのではないか?と考え始めました。

プロジェクトマネジメントの知識をリサーチ業務に応用する

ある時、社内のPdMが、プロジェクトマネジメントの考え方を紹介している話を耳にする機会がありました。

「プロジェクトマネジメントの知識はすべての業務に応用できる」

「あらゆる立場の人が、この視点を持つことで、プロジェクトの質を向上させ、さらなるクリエイティビティの発揮が期待できる」

この言葉を聞いた時、リサーチ案件のマネジメントを、プロジェクトマネジメントの視点で捉えてみてはどうだろうか。その知識が役立つのではないかと思いつきました。
とは言え、まずはプロジェクト、プロジェクトマネジメントとはなにか?を知ることから始めました。


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参考情報元:「PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント」著者 飯田剛弘


上記のように、プロジェクトマネジメントとは何かを自分なりに整理した後、
米国のプロジェクトマネジメント協会が発行するガイドブック、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)に書かれているフレームワークを参考に、リサーチの要件を整理することに当てはめて応用してみました。


相手に聞くべきことが明確になると、案件をマネージしやすくなる

リサーチ案件を、PMBOKのフレームワークに当てはめて振り返ってみると、依頼主へのヒアリングの時点から、案件を進めるにあたって把握しておくべき項目が足りていなかったことに気がつきました。
それから、リサーチ案件の内容をヒアリング時に押さえておくべき項目を一覧にしたシートを作成しました。これらの項目を確認することで、最初に決めた目的からブレることなく達成できるようにする準備ができるようになりました。

【作成したリサーチ確認項目一覧シート】

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リサーチ依頼の全体像を捉え、曖昧な箇所を残さないことが大切

シートを作成してから、案件において把握しておくべきことが明らかになったため、その後のリサーチ案件のマネジメントがしやすくなりました。そして、このプロジェクトマネジメントの視点を取り入れたおかげで、リサーチ依頼の全体像を捉えること、そのなかで少しでも依頼主側とリサーチャーの認識が曖昧になっている箇所を残さないことが、プロダクト開発の意思決定に寄与できるリサーチ結果へとつながると学びました。

最近の調査依頼は、単発で終わるものばかりでなく、数ヶ月かけて長期的に行うものが増えてきました。リサーチャーとしてのスキルは、私自身まだまだ発展途上です。
実査スキルはもちろんのこと、調査案件をマネージする能力をどんどん高めていくことで、これからもプロダクトを強くすることに寄与していきたいです。

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