Sansan Tech Blog

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「Sansanと考えるプラットフォームエンジニアリング」開催レポート

こんにちは、技術本部研究開発部の高橋寛治です。

2025年9月5日に「Sansanと考えるプラットフォームエンジニアリング」と題したイベントを株式会社ロバートハーフジャパンと共催しました。

プラットフォームエンジニアリングは、開発効率や組織スケーラビリティを高める重要なテーマです。 本イベントでは、プラットフォームエンジニアリングをテーマに、Sansanおよび外部登壇者がそれぞれの実践と考察を共有しました。

本記事では、イベントの様子を紹介します。

研究開発部におけるPlatform Engineering

最初の登壇はSansanの高橋による、「研究開発部におけるPlatform Engineering」です。

研究開発部におけるPlatform Engineering

「研究開発からサービス提供までを一貫して支えるエンジニアリング」という視点から、Sansanの研究開発部門がどのように内部プラットフォームを構築しているかを紹介しました。

SlackワークフローとTerraform、SageMakerなどを組み合わせ、機械学習の実験環境を簡単に構築できる仕組みを整えています。 他にも、GitHub Actionsを用いたデプロイ基盤など、開発者がセルフサービスでデプロイするための体験設計が行われています。

Cookiecutterを用いたテンプレート化によって、アプリケーションやCI/CDの標準化を推進するなど、サービス化までのリードタイム短縮に取り組んでいます。

研究開発活動を加速し、サービス化までのリードタイムを縮める存在であることが、研究開発部のプラットフォームであるとしています。

DevOpsの進化と不変

次に登壇したMonoxerのTetsuさんは、「DevOpsの進化と不変」をテーマに、15年間のDevOpsの変遷を振り返りました。

DevOpsの進化と不変

初期の「大規模インフラ運用」から「SREの台頭」、そして現在の「Platform Engineering」へのシフトまで、「開発者の認知負荷を下げ、開発の速度を上げる」という一貫した目的があると強調しました。

Monoxerでは、「No-Platform」戦略と称し、クラウド活用の徹底と権限委譲により、開発者の自律性を向上させています。 すべてをコードとして扱うことをマインドセットとしてもつこと、複雑性を排除することをミッションとして、プラットフォームエンジニアリングを実践しています。

一方で、Tetsuさんは「銀の弾丸はない」とも述べ、クラウドコスト増加や採用難易度の上昇などのトレードオフにも率直に言及しました。 それでも「複雑性を抽象化し、待ち時間をなくすことで開発組織全体の速度を上げる」ことこそが、プラットフォームエンジニアリングの真髄だと語りました。

組織のためのPlatform Engineering: または私が如何にして心配するのを止めてカオスを愛するようになったか

3人目の登壇者、Fujitsu Launchpad(FLP)のAlex Sayleさんは、「組織のためのPlatform Engineering: または私が如何にして心配するのを止めてカオスを愛するようになったか」というタイトルで登壇しました。

Platform Engineering for Organizations

FLPは富士通グループ内のベンチャースタジオであり、複数の新規事業を創出・スピンアウトする組織です。 その中でAlexさんは、「組織全体を支えるPlatform思考」の重要性を説いています。

「Feature Development」「SRE」「Platform Engineering」という3つのスタイルを比較し、Platformが組織全体の生産性を掛け算的に高める役割を持つと考えています。

また、「Reducing Friction(摩擦を減らす)」というキーワードのもと、AIによるナレッジ共有、ガードレール設計、セルフサービス化などに取り組んでいます。 「Everything as Code」「Best Practice by Design」といった原則を通じ、セキュリティやガバナンスを自動化された仕組みに埋め込む手法を提示しました。

最後に、「Build bridges, not walls(壁ではなく橋を架けよう)」というメッセージで締めくくられました。

パネルディスカッション:Platform Engineeringの今とこれから

最後はSansan CTOの笹川裕人をモデレーターに、3名によるパネルディスカッションが行われました。

議題は次の3つです。

  • プラットフォームエンジニアリングの成果をどう測るか
  • 「ユーザを甘やかしすぎる」問題
  • これまでの失敗とそこからの学び

それぞれの組織での課題や哲学が交差しました。 例えば「ユーザを甘やかしすぎる」問題では、プラットフォームを意識せず成果を出すためにはユーザに甘えてもらいたいという立場がありました。 一方では、プラットフォームを理解するための一定の努力は要請しフィードバックを得ながらプラットフォームを通してできることを増やしていくことを検討しているといった、異なる意見が見られました。

まとめ:価値をつなぐ基盤をつくる

本イベントを通じて、共通して語られたのは「価値をつなぐプラットフォームをつくること」の重要性です。 プラットフォームエンジニアリングは単なる内部効率化のみならず、エンジニアリング文化そのものを形作る活動であることを再確認できたイベントでした。

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